33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
『図解入門 よくわかる素粒子の基本と仕組み』
2009-03-28 Sat 00:52
0903152.jpg 『図解入門 よくわかる素粒子の基本と仕組み』
   横山広美著 秀和システム 2006年 2600円

 昨年の小林誠、益川敏英両氏のノーベル物理学賞受賞をきっかけに、素粒子物理学の入門書を読もうと本書を手にされた方は多かったと想像する。素粒子についてまったく知識が無い人への1冊目として本書を勧めることには躊躇するが、素粒子について少しでも知識がある場合には、現在世界で進行している素粒子実験物理学の主要な流れを把握できる手頃な書籍として分かりやすい内容だと思われる。
 2年ほど前にふと本屋で購入したのだが、昨年9月のLHC稼働のニュースを聞いては本書でその装置と実験目的を確認したり、小林誠-益川のノーベル賞受賞を聞いた後には、本書で関連するKEKBファクトリーのBell実験の内容を確認したりとリアルタイムで大いに参考にさせてもらっている。素粒子理論よりも素粒子実験について知りたい方には大いにお勧めできる。
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この記事のコメント
かすてん様、
 こういう本で、素粒子実験にかかわらず、物質科学でも天文でも実験や観測の研究をめざす若い方が増えてくれるとうれしいと思います。先人の長年の努力によって、日本の大学の研究室で学生さんが世界の最先端の実験や観測に触れられるようになりました。日本の若い人にぜひともこのチャンスを生かしていただきたいです。

 昨日は、立教大学であった物理学会で、益川先生の講演を聴いてきました。小林先生、三田先生、吉村太彦先生の講演もありました。(一般向け講演は本日あるそうです)
 私ごとになりますが、益川さんを拝見したのは今回がおそらく初めて、小林さんは30年近くになりますので、ここへ来て対称性の破れが少し減少したように思います。
2009-03-29 Sun 07:12 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
私が大学に入った頃、「ブルーバックスを読んで物理へ入って来た奴なんか」的な見られかたがあったように感じますが、切っ掛けなんてなんでもよいように思います。

>益川先生の講演を聴いてきました。小林先生、三田先生、吉村太彦先生の講演もありました。
 CP対称性の破れの大御所揃い踏みって感じですね。
>益川先生の講演
 専門家向けの講演でも益川氏ならではですか。
>ここへ来て対称性の破れが少し減少~
 なるほど、物理学用語を日常生活ではこのように使えば良いのですね。
2009-03-29 Sun 19:22 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてん様、
>「ブルーバックスを読んで物理へ入って来た奴なんか」的な見られかた...
 確かにそういうことをいう人がいましたね。
 でも、「ブルーバックス」的な観点というのは、科学少年・少女の見方と専門家の見方の接点として、誰もがずっと大事にしていかなければならないものだと思います。今日では、「ブルーバックスなんて」などという人は、物理教育にたずさわる人にはまずいないのではないかと思います。

>専門家向けの講演でも益川氏ならではですか。

 一般向けの講演と同じく、クォーク6元模型成立前の研究状況を紹介するものでしたが、多少細分化した素粒子理論の研究分野の話が中心であったところが専門家向けでした。明瞭で痛快なところは共通でした。
 「『クォークが実体の粒子で場の理論が有効である』とは考えられていなかった」時代の話でしたので、その雰囲気を多少なりとも知っている人(我々が最後の世代だと思うのですが)が聞くと誰でも実感としてよくわかったのではないかと思います。若い研究者の人にはかえって信じられないことかもしれません。
2009-03-29 Sun 21:44 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん
>「ブルーバックスなんて」などという人は、物理教育にたずさわる人にはまずいないのではないかと思います。
 それは隔世の感を感じます。
>「『クォークが実体の粒子で場の理論が有効である』とは考えられていなかった」時代の話
>若い研究者の人にはかえって信じられないことかもしれません。
 私もS.Uさん世代の側に属するわけですからね。
2009-03-29 Sun 23:09 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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