2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
『CP非保存と時間反転 失われた反世界』
2009-02-08 Sun 00:16
またまた素粒子の本を紹介。机の上に積まれている山もかなり崩れてきたが、崩れるとまた買い足したりなんかして、、、。

0901123.jpg 岩波講座 物理の世界 素粒子と時空2
『CP非保存と時間反転 失われた反世界』 三田一郎著 2001年 1300円

 著者の三田一郎氏はB中間子系のCP対称性の破れが非常に大きい事を理論的に予言し、世界に呼びかけてBファクトリー実験を推進した中心人物だそうだ。本書が発行された2001年というのはスタンフォード大学線形加速器センターとつくばの高エネルギー加速器研究機構それぞれのBファクトリー実験で小林・益川理論の最終検証となる結果が出た年。それと相前後して執筆された本書はそのころの雰囲気を醸し出しているような気がする。

 実は『消えた反物質』を読む前にこちらに目を通していた。内容が易しいわけではないのだが、私のような単なる物理学ファン程度の知識の者が読んでもなんとなく分かったような気分にさせられるところが本書の魅力かもしれない。分かった気分だけでも十分楽しいから良いのだが、やっぱり何も分かっちゃいないことはその後に『消えた反物質』を読んですぐに自覚した。
■小林誠氏の横顔
 CP非保存の問題は昨年のノーベル物理学賞を受賞した小林・益川理論と深く関連している。その小林誠氏と益川俊英氏、マスコミを通じてそれぞれのキャラの違いが際立っているが、小林氏の横顔についてはasahi.com茨城版の「ソリューシの夜明け」に興味深く描かれている。これは、朝日新聞茨城版の地方版にとどめておくには惜しい(と関係者が思うような)「熱血取材」だったそうだ。

■シンポジウムのお知らせ
 先にお知らせしたシンポジウム「小林・益川理論とその検証」はまだ締め切られていないらしい。参加希望者はネットで予約しておけば安心(体験済み)。このシンポの予習として『小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力』(朝日新聞出版、1900円)などはどうでしょう。かすてんはシンポへ行けないのでこれを読みます。
★★
今夜の観測:ますます月は明るい。ミラは4.4等、RX Lep5.8等。その他は見えないか、比較星が見えないかで観測なし。
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この記事のコメント
「小林・益川シンポ」についてのご紹介ありがとうございました。 

2月10日のところのコメントを移動させていただきますと、

>『天文ガイド』..(中略)..んなわけないですね。

 詳しくはわかりませんが、読者アンケートなどだと思います。いずれにしても、「天文ガイド」と「霞ヶ浦天体観測隊」の両方で取り上げていただければ「鬼に金棒」です(意味不明のたとえ)。

 三田氏とBファクトリーについては、「日経サイエンス」の2009.2月号と3月号(1~3月号の3回連載)にも取材記事がありますので、ドキュメンタリー調に興味がおありのかたはご覧いただければ幸いです。

 話はがらっと変わって、
昨日の朝(7日)久しぶりにルーリン彗星を見ました。双眼鏡で見ると、残念ながらそれほど増光しておらず、いまだ6.0等と見ましたが、中心部が以前より白っぽくなってザラついた感じに思えました。ダストがでてきたのだと思いますが、もう近日点を過ぎているので、大化けには時すでに遅しでしょうか。
2009-02-08 Sun 09:50 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん、こんばんは。
 来週のシンポジウムの会場日比谷公会堂はつくば国際会議場の倍近いキャパがあるのですね。まだ余裕があるのはそんな理由でしょうか。
 「日経サイエンス」も探して読んでみます。
 ルーリン彗星は思ったほど明るくなりませんね。そのうえ月がじわじわ近づいてきていて、ますます見づらい状況です。しかし、近日点が過ぎているとはいえ、ホームズ彗星の例もありますし、ってあんなことは希有の現象でしょうが。
 ここ数週間頭の中には素粒子が飛んでますが、先ほど南の空に大きな火球が飛びました。
2009-02-08 Sun 20:09 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
日比谷公会堂のキャパに対して東京の人口ですから、私には予想もつきません。「つくば」は小林先生の住所であるというアドバンティッジがありましたが、東京の皆様もよろしくお願いします。

 ホームズ彗星は、太陽からの距離からして、小惑星が衝突したという可能性があるといいます。まあ、そんなことはめったにないでしょうね。

 火球は見たかったですが、家の中にいて見逃しました。

2009-02-09 Mon 20:13 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん

つくばは研究学園都市というだけに住民層も科学に興味を持つ割合がかなり高いと思います。科学に興味ある人口密度は全国でも有数でしょう。小林先生の現在の地元、KEKBの地元というアドバンテージはもちろんでしょうが、上の様な土壌があったからこその超満員だったのだと思います。それにしても大都市東京のみなさんは忙し過ぎてサイエンスに耳を傾ける余裕は無いってことでしょうかね。

明日のネタは『小林・益川理論の証明』。Bファクトリーをこんなに詳しく紹介した本はこれまで無かったのではないでしょうか。この本を傍らにもっと詳しい話を今度聞かせて下さい。

それから、どうも素粒子ネタで記事を書くとカウンターが跳ね上がる様ですので、所員のみなさまにお礼を言っておいて下さい。
2009-02-09 Mon 21:10 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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