2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
『星のふるさと』 -眼視のすごさ-
2008-10-16 Thu 00:02
 晏次郎さん、中井さんという眼視の達人たちがおもしろいことを書いている。経験を積むことで重星の分離能力が格段に高まるのだという。望遠鏡の分解能は口径によって決まっているが、それを引き出せるか否かは、見る人の眼(と脳)の能力にきわめて大きく依存していて、その能力は一朝一夕に獲得できるものではないということのようだ。

 晏次郎のぐうたら日記>重星に魅せられて(弐)
 中井健二の星のホームページ掲示板>10月13日~

081015.jpg 最近たびたび紹介している『星のふるさと』の鈴木壽壽子さんも眼視の達人といえる方だ。6cm望遠鏡での火星の見え方をご存知の人であれば「衝撃のデビュー」に載せた鈴木さんのスケッチを驚きを持ってご覧になるに違いない。それも8月12日の大接近のわずか40日前(梅雨の最中)に初めて手にした望遠鏡を使ってなのだから。『星のふるさと』のp46の「ひろった火星」にその秘密が詳しく書かれているので、お持ちの方はぜひお読みいただきたい。
 簡単に説明すると、かがりの切れた硬球の芯に雑誌に載っていた火星図を貼付けて吊るし、双眼鏡の対物側から覗いて模様も見えないビー玉のように小さな火星を何日も眺めながらスケッチの練習をしたという。本物の方が明るくて見やすかったと感じられるくらいまで短期間に能力を開発されたようだ。
 「次第に目が慣れてくると、少しずつ模様が見えはじめる」ことや「たったひとつの気がかりは、ちょっと来て、ちょっとのぞいた人たちには、私が見えると思う模様が「何も見えない」こと」を鈴木さんは書かれている。晏次郎さん、中井さんは大いに共感できるではないだろうか。
[左上は『星のふるさと』挿画]

今夜の観測:月明かりから遠いχCyg4.9等、P Cyg4.7等くらいしか見えない。今年のχCygはかなり明るくなっている。昨年は5.9等まで明るくなったのを観測したが、今年は10月29日の極大予定日まで2週間を残しすでに4.9等をクリア。どこまで明るくなるかこの先も楽しみだ。
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この記事のコメント
おはようございます。
鈴木さんのトレーニング方法はユニークで面白いです。が、効果的で短期間にて鍛えるために最適な方法ではないでしょうか。
また、実際に火星を何度もスケッチされていくうちに、益々目と脳の学習が進んでベテランもビックリのスケッチを描けられたのだと想像しています。

>「次第に目が慣れてくると、少しずつ模様が見えはじめる」ことや「たったひとつの気がかりは、ちょっと来て、ちょっとのぞいた人たちには、私が見えると思う模様が「何も見えない」こと」を鈴木さんは書かれている。

同感です。
2008-10-16 Thu 06:16 | URL | 中井 健二 #7w5mtEUg[ 内容変更]
重星の分離にしろ、惑星表面のスケッチにしろ、経験を積むことでどのように見えるのかが体得され微妙な差異を捉えられるようになるのだと思います。
鈴木さんも上の言葉に続けて「(見えている模様の記録よりも見えない模様の記録)と思って描いたつもりだった(あやしいと思うものは全部省いた)」と言っています。自分の記憶の中にある地形の内、確実に見えたと思えるものだけをスケッチブックへ落として行かれたのでしょう。
2008-10-16 Thu 11:06 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてんさん、こんばんは。

眼視の達人には未だ未だ程遠い段階で、やっと、重星の世界への扉から一歩踏み出したと云ったところでしょう。
尚、私の文章は気持ちが先行するタイプで実力は伴っていないので、其の辺り、割り引いて読んで下されば有り難いです。(^^;

鈴木さんのボールの火星はとても印象に残っています。
淡い模様の火星面を観測する上で、地形が頭に入って居るのと居ないでの模様認識は雲泥の差と思います。
確実なもの、不確実なものの境界は非常に狭く、ややもすると描いてしまったかもしれない。
そうした中、冷静に取捨選択しスケッチをとられたことに感銘を覚えます。
2008-10-16 Thu 18:39 | URL | 晏次郎 #-[ 内容変更]
>確実なもの、不確実なものの境界は非常に狭く、ややもすると描いてしまったかもしれない。

 晏次郎さんの言われる事と同じ事を佐伯恒夫先生も別の視点から書かれていました。
 『天ガ』1972年6月号には応募された観測記録の中から12人が選出されたのですが、佐伯先生はそれらの一人一人へきっちりと講評をされています。全体的なポイントは次の5点:1.データを取れ、2.対象についてのメモを残せ、3.客観的なスケッチをせよ、4.どこを見ているのかを十分に確認せよ、5.全体に気を配れ。
 スケッチについては「見えたと思うものを片っぱしからかいていけば、イリュージョンだけの変なものになってしまう」と指摘されています。鈴木さんはまさにこの落とし穴に入らないように自覚的にスケッチされたわけですし、晏次郎さんの言われるのもこのことですね。
 鈴木さんのスケッチをご覧になられた方のお話によると、それはそれはすばらしいものだそうです。そのことから絵の才能が人並み優れている事は想像できますが、それだけでなく科学的な筋道で物を考えて行くことができる方の様です。
2008-10-16 Thu 20:44 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてんさん、晏次郎さん、こんばんは。

惑星もですが、重星も同じようなことが起こります。
惑星のスケッチは土星と木星しかしたことがないのですが、土星はかなりイリュージョンが発生しやすい対象でした。
難しい重星もイリュージョンや擬似伴星が発生します。
その際、例えば10回見て最低5回以上確実に見えたのだけを「見える」としてコメントに書いたり、スケッチに残します。擬似伴星はイリュージョンではないので、参考までに一緒に書き加えることもあります。
またデータと違う位置や距離に見えることがありますが、それは元のデータがどこかおかしいからです。こればっかりは地図がないので自分で開拓するしかないのです。
でもそれがまた楽しいのですから病気みたいなもんでしょうか。
2008-10-16 Thu 21:07 | URL | 中井 健二 #7w5mtEUg[ 内容変更]
皆様、
惑星と重星のイリュージョンのお話し、興味深く拝見しました。
私は、空の明るいところで彗星を見るということをしております。この場合は、彗星が見えないというより、彗星様の斑紋がその辺の何カ所かに見えます。
 なぜかわからないのですが、それが再現的に同じ場所に見えます。極限ギリギリの微星が複数個(2個でもよい)あればそのように見えることはよく理解しているのですが、そうでもないらしいのに星の配置の一角だけが明るいように感じる場所があります。
 対策としては、できるだけ正確な位置予報を使わずに彗星を探して、あとで予報と比べて合致する場合だけを正しい観測(の候補)として採用しています。それでも、偶然のイリュージョンがあるかもしれません。
2008-10-17 Fri 00:02 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
書評?、新刊案内?
S.Uさん、こんにちは。

 10月13日の記事につけていただいたS.Uさんからのコメントの中に「私が鈴木さんのお名前を初めて知ったのは『星のふるさと』が出版されて、『天文ガイド』に広告や書評が載った時のことでした」とありますが、その「書評」というのはある程度まとまった長さのものだったかそれとも新刊案内程度の短いものだったか、ご記憶でしたら教えてください。

 空の明るいところで彗星を見ているというのは、そうしようとしているのではなく、空の明るいつくばで見ているからということですよね。それと、あそこに書かれているのは網膜の場所による感度の違いなのでしょうかね。
2008-10-17 Fri 11:15 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
疑似伴星?
中井さん、疑似伴星とは何ですか?
2008-10-17 Fri 11:39 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてんさん、みなさん、こんにちは。

擬似伴星とは・・・偉そうなことは言えませんが、
円形開口の屈折では何か絞りか遮蔽物でも使わない限り発生しません。
反射などでは、斜鏡(副鏡)やスパイダーなどにより光の回折が起こり、それが原因で星のような光点が星の周囲に発生することがあります。
これが「擬似伴星」です。
擬似伴星は望遠鏡に対して同じ場所に起こりますので、赤道儀では鏡筒を回転させる、経緯台では時間経過とともに本物の伴星と位置がずれてきますので見分けが付きます。
本物の伴星は中央集光がありますが、擬似伴星は私の経験では中央集光が乏しいです。
また、お互いのディフラクションリング同士が接する場所に発生する場合があるようです。ディフラクション同士は干渉しないと言われていますが、私の望遠鏡では現実に起こっています。
2008-10-17 Fri 13:44 | URL | 中井 健二 #7w5mtEUg[ 内容変更]
かすてん様、お尋ねありがとうございます。残念ながらよく憶えていません。状況証拠から推測するしかないという情けない状況です。

1)当時、『天文ガイド』を毎月届けてもらっていたので、誠文堂新光社の新刊案内は即座に目にしたはずである。
2)『星のふるさと』が刊行されてから、私がそれを実際に目にするまでには何ヵ月かを要したと思う。
3)初めて『星のふるさと』を目にした時、私はすでにこの本が読者によって非常に高く評価されていることを知っていた。
4)好評であることを知っていたのは、当時の私の情報源を考えると天文ガイド(または天文年鑑)で書評か読者の感想文を見たとしか考えられない。(新聞にでていた可能性も排除できない)

ということで、短文・長文の別はわかりませんが、何らかの宣伝文句以上のものがあったものと思います。当時の天文ガイドが手元にありませんので確認できません。とにかく『星のふるさと』が発行直後に人々に注目され、名声を得ていたことは間違いありません。当時、誠文堂新光社から新刊される天文書の単行本自体、数が少なく、しかも、このような全くのアマチュアのエッセイのようなものはそれまでなかったと思うので、ただでさえかなり目立つ状況にあったと記憶しています。長々と書いたわりには役に立たない情報ですみません。

 つくばの自宅のへんで空を見ていますが夕方はかなり明るいです。明け方になるとずっと好転して満足できるレベルになります。

彗星のような暗い天体は視野の中心から少しはずれたところにおいてみるとよい、といわれていますよね。ですから、上にはずしたり、右にはずしたりしていますが、それでも、星空の同じ場所に幻覚の明るい場所が生じます。それで周囲の星の配置によるのではないかと思っています。
2008-10-17 Fri 19:01 | URL | S.U #znXM71jk[ 内容変更]
中井さん
 疑似伴星についてありがとうございます。
2008-10-17 Fri 22:06 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
S.Uさん
 30年も前の事ですから記憶が朧なのは当然です。それにしても、3)と4)は興味深いです。出版当時、ちょっとした評判になったという事の様ですね。また、新聞記事として紹介されたことについては確実な証言を頂いております。ただし、何新聞のどの版だったかまでは未確認のため、四日市を含む中京地方だけだった可能性もあります。でも、S.Uさんのお話から福知山を含む京都・近畿エリアの新聞記事になったこともあり得ますね。

 これまでのところ、『天ガ』に載った4行の新刊案内と『天界』の12行の案内は確認しております。その他に紹介記事が無かったものかと探している最中なのです。
2008-10-17 Fri 22:12 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてん様、情報をどうもありがとうございます。細かく調べていらっしゃいますね。『天ガ』に4行しかでていないとは本当に意外です。前回も書いたように「目立つ」出版物だったので、それだけで十分に私の印象に残った(あるいは私にとって気になる書籍になった)可能性もあります。
 他の可能性としては、誰かの感想文を読んだか(『天ガ』の読者サロンのようなところに出ていませんでしょうか)、あるいは知り合いの天文関係者から口頭で聞いたのかもしれません(当時そんな機会があったとも思えませんが)。
 とっくにお調べかもしれませんが、当時自宅でとっていた朝日新聞の縮刷版を見ました。1975.11-1976.3のあいだの出版・書評記事には見あたりませんでした。ところで、誠文堂新光社が広告を最初に出したのはいつでしょうか。

私が初めてこの本を見たのはいつかという問題ですが、当時の私の状況からして1976年の春の可能性が高いように思います。 遠い記憶はいくら掘り起こしても頼りないものです。また、なにか確かなことを見つけたらお知らせします。
2008-10-18 Sat 16:52 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん、こんばんは。
 「『天ガ』に4行」というのは新刊案内の囲み記事のことです。書名とか版型とか値段などを含めるともう数行ありますが、内容については4行でした。
 「読者サロン」「広告」「朝日新聞縮刷版」などについて今の私にはそこまでは調べようがないです。
2008-10-19 Sun 00:19 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてん様、どうもありがとうございました。
なんとなく記憶では、この刊行のニュースを知ったのが発行日よりももう少し早い時期(1975年秋頃)のように感じたのでお尋ねしました。ぜんぜんあてになる感覚ではないです。昔の事件などについて調べると、自分の体験の記憶の感覚と合わないことはざらです。

私にとって、これ以上調べることは難しそうですが、また、私が見たかもしれない当時の資料に接する機会があれば注意してみます。
2008-10-19 Sun 05:03 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
手元にはもちろん近場にその時代の『天ガ』バックナンバーがそろっている場所は無さそうなのですぐに検索とはいきません。知人に声かけして何ヶ月か後に見せてもらえるかなといったペースです。

このブログをご覧の方で何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらお知らせいただければありがたいです。
2008-10-19 Sun 10:58 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
はじめまして
75.7~76.12の天ガ18冊を調べてみました。
まず、75年には記事も広告もありませんが、10月号と12月号の佐伯恒夫氏等の記事に鈴木さんの火星のスケッチがそれぞれ1枚づつ掲載されています。特に10月号の73.10.15のスケッチは、「6cm屈折によるすばらしいスケッチ」として紹介されています。
76年では、1月号の4行囲み記事に続き、4~7月号の巻末広告ページの新刊案内に掲載されています。(構成等を除いた本文は6行)
なお、これとは別に4月号の読者サロンに愛知県の女子中学生の方からの投稿がありました。
「先生というより、近所のおばさまのような方の書いた、やさしくて、本当に星空を愛して、星に語りかけている、素敵な本」
以上、ご参考まで。
2008-10-20 Mon 20:22 | URL | 星盗人 #WhgfB/.c[ 内容変更]
星盗人様、はじめまして。
 『霞ヶ浦天体観測隊』をご覧になっていただきありがとうございます。その上お手持ちの資料をお調べいただきほんとうにありがたいです。範囲が絞れると検索や資料の借り出しが格段にやりやすくなります。おおいに参考にさせていただきます。
 ご紹介の読者サロンの女子中学生の投稿、とても良いですね。私にとっても近所のおばさんか、同級生のお母さんか、自分の母のお友達かといった親近感を感じてます。
2008-10-20 Mon 21:24 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
星盗人様、かすてん様、ありがとうございました。
改めて私の記憶が当てにならないことを確認できました。おそらく、
・ 本書の発行は奥付記載の通り1975年12月上旬で、天ガ1月号までに発行の予告のようなものは目にしなかった。
・ 私が本書を初めて見たのは、1976年4~5月ごろ。
・ 1976年3月に天ガ4月号の巻末広告や女子中学生の方の感想文を読んだ。
ということが正しいのだと思います。これ以外の書評や感想を聞いた気もしますが何とも言えません。
2008-10-21 Tue 12:27 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん、西中筋のお友達の中に『星のふるさと』についての思い出をお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?
2008-10-22 Wed 17:57 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
離れているので電子メールで聞いてみますね。
2008-10-24 Fri 07:23 | URL | S.U #-[ 内容変更]
じわじわ共振の輪が広がって行きそう。
2008-10-24 Fri 09:34 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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