2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
ほぼ全編が土浦を舞台にしたSF物語
2023-08-21 Mon 00:00
2308102.jpg『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』 高野史緒著
              ハヤカワ文庫 2023年 940円

『「軍都」を生きる 霞ヶ浦の生活史 1919-1968』の著者清水亮さんから、土浦を舞台にしたこんな小説がつい最近出ていましたよとお知らせを頂いた。阿見や土浦にまたがる旧日本軍海軍航空隊の調査をされてきたアンテナはこういうものも受信するようだ。メールには海外出張前に読み終わらなかったと書かれていたが、帰国される秋以降の話のネタ用に読んでおくことにした。

【以下はネタバレ内容なのでご注意ください】
著者の高野史緒さんが土浦出身ということで、昭和から現在までの街の変化を思い出させる描写は特に当時を知っている地元民には懐かしさを感じさせるところだろう。土浦の街並みが詳細に描かれ、その中の何ヶ所かは物語の展開上重要な場所になっている。例えば、度々登場する奥井薬局とそのマダム。モデルはもちろん奥井登美子さんと奥井薬局だ。また、土浦城址である亀城公園とその周辺も細かく描かれる。残念なのは、現存する江戸時代の建物遺構には事の他冷たい書き方だと感じるところ。本編に関係ないのではあるが城好きとしては気になった。土浦二高は1994年から共学になっているので、主人公の一人夏紀が女子高生として登場する場面はそれ以前の土浦ということになるが、タイムリープの物語なのでどこかで時代がすり替わるかもしれない。気をつけて読まねば。もう一人の主人公登志夫がバイトする光量子コンピュータが置かれている元結婚式場とはどこのことか、あそこのことかここのことかなどと想像する。それぞれのパラレルワールドを生きる主人公の夏紀と登志夫が交信を始め、登志夫が飛び込んだメタバースの中で二人は出会い合体し夏紀=登志夫となる。そして大団円で夏紀の存在が消える代償を経てかつて分岐してしまったパラレルワールドは合流する。1/3ほど読んだ段階では展開に乏しく物語に入っていけなかったが、半分ほど読み進んだあたりから上記のような物語の世界観が見えてくる。そして、メタバース空間からハタと現実に戻った時、物語の登場人物だけでなく読者の目の前にも、地方都市土浦のリアルな街並みが見えている。これだけ土浦(一部つくば)が主要舞台になった小説は他にあったのだろうか。
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