2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
地球の風土が紡ぐ味わい
2023-06-09 Fri 00:00
2304271.jpg巽好幸氏の『「美食地質学」入門』については、そこで取り上げている食材だけを簡単に紹介した(→5月15日の記事)。その後、ところどころをつまみ食いで読んだので少し追加しておく。

 関東で昆布出汁が主流にならなかったのは、ヨメさんはすでに知っていたからこれは有名な話なのかもしれないが、関東特に利根川流域は硬度が高い中硬水のためカルシウムが昆布表面に膜を作りグルタミン酸の抽出を妨げることが理由らしい。このように著者は利根川流域は中硬水と書いているが、茨城県の酒蔵について読んでいたら県内は全ての水系が軟水と書かれていた。軟水で作った酒はまろやかな特徴が売りらしいが、硬度が高いほど麹菌が活性化して発酵が進み辛口の酒になるらしい(硬水で有名なのが灘らしい)。そのあたりはともかくとして、プレート運動に伴う地殻変動や火山活動が山地を形成したことで出汁文化の違いが生まれたということにはなりそうだ。和食の素材と調味料と調理方法が、地球そして日本列島の成り立ちと直結しているという壮大な連環を示してくれる内容だ。
 変動現象を繰り返して試練を与える日本列島に対して、著者はエピローグで以下の様に書いている。「畏敬と尊敬とともに諦念を持ってひたすら耐え忍んできた先人たちの自然観、もしくは倫理観の危うさも感じている。なぜならば、これまで日本人が有史時代に経験してきたものとは比べものにならないほど破局的な試練が、日本列島の進化というタイムスケールでは必ず起きるのだ。例えば、ひとたび起きれば日本喪失を引き起こしかねない超巨大噴火は、今後100年間に約1%の確率で発生する」と言う。この数字の受けとめ方は人それぞれだろうが、これを1万年に換算すると100%ということになり、過去1万年に起こっていないということは、今の人あるいは近い未来の人が遭遇してしまう確率としてはそんなに小さな数字とは言えない気がする。それであるならば、破局的な試練が1日でも遠からんことを祈りつつ、日本列島の危うさの上に成り立っている和食の美味しさを味わっていきたいものだと思った。
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