2022-05-14 Sat 00:00
![]() アマゾンでの予約購入本としては珍しく、奥付の発行日以前に届いた。つまり想定よりもかなり早く到着してしまった訳で、読みかけや読む予定の本の待ち行列が長く伸びているのだが、いまや山本みなみ本は読書待ち行列を飛び越える力を備えている。若い世代の日本語なのだろうか、若干てにおはで気になる箇所はあるが、文章は読みやすくぐいぐい先へと引き込んでくれる。歴史の流れを追っていく部分は前著『史伝 北条義時』と重なる部分も多いのだが、まぁ、この二人の伝記で異なる内容の歴史を書くことは不可能だろう。前著同様、『吾妻鏡』以外の同時代史料や日記などの新史料も使って、研究史の紹介→現時点での理解→新史料紹介→新たな解釈の提示という記述方法は健在だ。両著に共通する特徴としては、後代の評価と主要な研究史をまとめた最終章があるが、これはオリジナリティのある構成と評価したい。 北条政子は、カリスマ頼朝の後家の立場を最大限に利用して周囲の期待以上に頼朝の伝統を具現化し納得させてしまう政治的・人間的力量のある人だったのだろう。頼朝の死以降、周りを固めるブレインも優秀だったが、あの程度の混乱で済んだ鎌倉幕府の政権運営の歴史を眺めるとそのように感じる。 この後、山本みなみ氏の師匠である野口実氏による『北条時政』(ミネルヴァ書房)の刊行が予定されているとのことだが、現在進行中という校正、ゆっくり進めていただけるとありがたい。 |
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