33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
遺物の苦手を突破するきっかけになるか
2022-05-07 Sat 00:00
かわらけの編年を研究されてきた方から論文抜刷をいただいた。知識の乏しい分野なので拝読後の感想をまだお伝えできていない。次にお会いする時には何か共通の話ができるようになっていたいと、そのようなことを考えてこの本を手に取ってみた。

2203091.jpeg『中世かわらけ物語』 中井淳史著
             吉川弘文館 2022年 1900円

 発掘調査の現場でも、調査報告書でも、展示会でも、遺物はその遺跡を語るための重要な資料として提示される。その中でも焼き物は時間経過の影響が少なく遺跡の時代や地域間交流を推定するための要素として重要だが、大陸渡来の舶来物は威信材くらいまでしか知識がない。この本を読んでこの苦手意識を多少なりとも解消したいと思う。特に、中世城館での宴会用の紙コップ的使い捨て容器と例えられるかわらけはどこの調査でも必ず出土する遺物なので、これについての知識は汎用性がありそうだ。
 かわらけ(土器)は、土師器の中でも特に中世に作られたもので、低温焼成なので特別に高度な技術を必要としないため地産地消されていたようだ。西国のかわらけ工人について書かれているが、一方で近代の例が示すように女性が行う家内制手工業的生産物だった一面もありそうだ(島田貞彦『山城幡枝の土岐』(1931)の昭和初期の作業写真は貴重)。そして、本書でもっとも興味深かったのは京風かわらけについてだ。もともとロクロ成形かわらけが作られていた常陸国だが、ある時期だけ京風の手づくねかわらけも作られる期間があるという。今後は出土遺物を見る際に注目したいと思う。
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この記事のコメント
>かわらけ
 私は、すべてについて知識はありませんが、木材や紙なら炭素年代法、塗り物や金属製品なら元素成分分析から時代がたどれると思うのですが、何の芸もないかわらけだと、土の産地がわかる程度で時代はどうにも決めようがないと、出土したという破片を見るだけでものすごく不安に襲われるのですが、そういうことで正常なのでしょうか。
2022-05-09 Mon 15:49 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
自分も全然わかりません。本書を読んでようやく京風かわらけが混じっているとある程度時期が限定できることを知りました。今後遺物を見る際にはその辺りに注目したいと思います。
2022-05-09 Mon 21:22 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
小学校の社会科資料室に、古代の物と思われる焼き物が展示してありました。埴輪の形をしているものや、いかにも弥生式という優雅で端正な形をしているものは、小学生の目にも、古墳時代、弥生時代ということでいいのですが、その他の見慣れない形のものや、素焼きの破片のようなものは、今から思えば、さらに古い縄文の可能性もあり、ずっと新しい鎌倉・室町の可能性もあったわけですね。今思うと、自分は小学生の時から進歩していません。
2022-05-10 Tue 08:25 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
私も、小中学校の縄文・弥生時代の学習で竪穴式住居を習っただけでしたので、平安時代や鎌倉時代になっても使われていたと聞いた時は驚きました。興味を持たない分野の知識は小中学レベルで止まりますね。
2022-05-12 Thu 07:52 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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