2022-01-19 Wed 00:00
![]() その中でもややこしさの極め付けは曽我兄弟の敵討ちの原因となる人間関係だろう。初回から、伊東祐親と工藤祐経の確執が描かれているが、そもそもこの二人がいがみ合うことになった原因は二人の共通する祖父工藤祐隆に始まっている。この辺りのことを呉座勇一氏がまとめてくれているのを読みながらメモってみたが、それでもごちゃごちゃになってしまった。 →第1話:いよいよ放送開始!『鎌倉殿の13人』第1話を歴史学者はどう観たか →第2話:仲が悪いけど実は〇〇〇!?伊東祐親と工藤祐経の複雑すぎる関係 よくもこれだけこんがらがる遠因を作ってくれたものだと、工藤祐隆の迷惑ジジイぶりに呆れる。曽我兄弟の敵討ちはドラマではまだ先のことだが、それまでに何度も反芻しておかないといざというときに忘れてしまっていそうなくらいややこしい。 |
『曽我物語』を読了しました。ただし、原本でなく菊池寛の少年向けのものです。内容は原本に準拠していると推測しますが、よくわかりません。長くはないので、比較的短時間で読めます。
工藤祐隆以来の4代にわたるゴタゴタについては、少年向けとして全貌がわかりやすく書かれています。ただし、書かれたのは大正の終わりか昭和の初めで、頼朝の決起や赤穂事件など武士精神については当然の少年の了解事項と扱われています。今の子どもさんには難しいでしょう。 以下、『曽我物語』ネタバレ注意です。「鎌倉殿の13人」に対してもネタバレ注意になります。 菊池寛版では、淡々と伊東祐親の非道と工藤祐経の気の毒な境遇を書いていますが、特に、祐経に贔屓はしていません。敵討ちの発端になった「祐親襲撃・河津三郎祐泰殺害事件」と、伊東・北条の敵対の発端となる「祐親による千鶴丸殺害・頼朝暗殺未遂事件」は、後者が後に登場しますが、互いに無関係な事件として描かれているので、ぱっと見に史的な時間順序ははっきりしませんでした。 ただし、祐親が京都の職務から帰ってきてすぐに、初めて頼朝と娘八重の間に子ども千鶴丸があったことを知り、その後すぐ千鶴丸を殺害し、頼朝暗殺を企てたようです(ただし、伊東祐親が本当に平家の了承無しに独断で頼朝暗殺を公言できたかどうかは怪しいので、その辺の詳細はわかりません)。その後まもなく、祐親の子の伊東九郎祐清が頼朝に会って父の暗殺の意図を知らせて北条に逃げるように勧めたので、頼朝は北条時政にかくまわれたということになっています。 工藤祐経は教養のある鷹揚な人として扱われていますが、人情的な取り扱いはなんとなくニュートラルです。頼朝側の武将が曾我兄弟の敵討ちを助けたというテーマの物語になっており、これは勝者(頼朝軍団)の余裕を示す形になっているようです。
2022-01-19 Wed 12:55 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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