
写真の『枕草子』とはなんの関係もないのだが、挟まっていたしおりに書かれていた「美瑛(びえい)」が心に止まった。丘陵の連なる美しい風景で知られる一方で、アイヌ語の「脂ぎった」という意味を含む美瑛川に由来する地名は景勝地にそぐわないようにも思うと書かれている。これを読んだとき、美唄(びばい)出身の職場の知人のことを思い出した。もう20年も前になるが、お酒を飲みながらの雑談で聞いた出身地は美唄だと言われたとき、咄嗟に思い出したのは富良野と並んで観光地として売り出し中の美瑛のことで、「美唄も綺麗なところなのでしょうね」と何気なく言ったのだが、それに対する返事は意外にも「どこがきれいなものか」というものだった。生い立ちなど詳しくは聞かなかったが、炭鉱に関係していたのだろうとなんとなく想像できた。世代によっていろいろな感慨があるのだろうと、きれいに整備された現在の美唄の写真を見ながら感じるものがあった。