
『図説 享徳の乱』 黒田基樹著 戎光祥出版
2021年 1800円
この春、中世史の本の中で最も期待するものが届いた。数多の戦国武将の中で一推しの足利成氏が享徳3年(1454)に起こしてその後足掛け29年に及ぶ「享徳の乱」の戦乱について、新資料・新解釈が提示されているということで期待が膨らむ。ただ、読み始めてさっそく疑問を感じたのは、宝徳2年(1450)の江の島合戦をほぼスルーしていること。前哨戦としてこの合戦を位置付けなければ享徳の乱の勃発を説明できないと思っているのでこの構成には不満を感じた。と思ってあとがきを読むと「それらについては拙著『長尾景仲』、拙編『足利持氏とその時代』、『足利成氏とその時代』を参照されたい」とのこと。はいはいすでに参照しておりまする(完全に囲い込まれていたわ)。
『長尾景仲』 黒田基樹著 戎光祥出版 2015年 2800円
『足利成氏とその時代』 黒田基樹編著 戎光祥出版 2018年3800円
NHK大河ドラマでは全く扱われていない時代なので一般の知名度は低いが、登場人物は多いし各人個性的だし関係するご当地も多いし、魅力的なドラマになるのでは無いかと思うのだが、それはまだ少し先のことか。