2020-05-22 Fri 00:00
児玉龍彦先生の話を聴いても、PCR検査をむやみに増やすことを勧めてはいない様だ。必要なところに十分な検査を行ない基盤業種を守りインフラを維持することで社会を立て直せと聞こえる。PCR検査数を増やせと言う段階はすでに終わっている様だ。
PCR検査をめぐる「5つの理論」を検討するという記事を読んだ際に、絞り込みをしないでPCR検査を行うことでどの様な違いが出てくるかについて何か情報が得られないものかと、今更の感はあるが4パターンの感染率を仮定して致死率と陽性的中率を以下の条件で計算してみた。計算方法は、先日紹介したこれ。 感度 70% 特異度 99.9% 人口 1億2千万人 死亡者数 700人 感染率 (1)0.0133%、(2)0.1%、(3)1%、(4)10%の4パターンを仮定 (1)感染率0.0133% これは感染者数16000人の場合に相当する。(そんなことはあり得ないが)それ以外に感染者がいないとすると致死率4.4%となりかなり怖い病気と感じてしまう。ただ、検査前に絞り込みをしない場合の的中率は8.5%と低く、これでは陰性が出たところで安心の担保にはならないだけでなく、大量の偽陰性者が市中へ出て動き回ることで再流行を起こしそうで、そちらの方がよほど恐ろしいと感じる。しかし、実際の検査数は全然足りていないから、もしかすると何倍とか何十倍とか感染者がいるのかもしれず、そうであれば致死率は下がる。どのくらい下がるかは以下。 (2)感染率0.1% 12万人が感染している場合。致死率は0.6%。発症すると1000人に6人が死ぬということで、依然怖い病気と感じられるかもしれない。的中率はまだ41%なので偽陰性者の扱いには気を配る必要があるだろう。 (3)感染率1% 大阪市大の抗体検査による感染率1%を仮定すると120万人が感染していることになり、致死率0.06%ということで、季節性インフルエンザの致死率の倍くらいの値になる。このくらいの感染率になると的中率は88%とかなり高くなるので大規模検査にも意味が出て来るが、一方で、社会的損失を出さない感染症対策でないと釣り合いが取れなくなる。 (4)感染率10% 1200万人が感染していて、致死率0.006%になり、死者数だけで見れば社会的損失を出して防衛する感染症ではなくなっている。的中率は99%と素晴らしい信頼度だが、もはや大規模検査をする意味はないだろう。 |
>4パターンの感染率を仮定して
この設定は有意義だと思います。 結局は、無作為検査は、感染率を知るために検査する以上の意味はなさそうに思います。新型コロナの場合は、速効的な意味はないが、このタイプの流行病の研究としてやるくらいでしょうか。 また、感染調査目的に絞るなら、個人検査用とは判断基準を変えて陰性、陽性のいっぽうの検出効率を犠牲にして的中率だけを上げる方法も考えられると思います。しかし、この方法が有意義なのは、中途半端な感染率の時に限られるでしょう。 [附記] それから、無作為検査と全数検査、やたらめたら検査 を混同してはいけないと思います。無作為検査は、少数のランダムサンプリングでもできます。感染を少しでも疑われる人を全員検査することもできますが、それは無作為検査とは言えません。世間では、このへんを切り分けずに議論が錯綜していると思います。
2020-05-22 Fri 07:43 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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