2020-01-20 Mon 00:00
今夜の観測:α Ori(ベテルギウス)1.4等。1.5等から1.6等まで暗くなっているという報告もあって、気持ちにはバイアスかかっているのだが、1.5等に近い1.4等といったところ。
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>α Ori(ベテルギウス)
今朝未明、ベテルギウスを見ました。もう西に低くなっていました。私も、ギリギリ1.4等と見ましたが、1.5等も誤差の範囲と思います。 それで、みゃおさんご提案の緑色セロファンを試しました。これで星を見ると、確かに星の色の違いは感じにくくなります。しかし、赤っぽい星は、ただ暗くなるだけではなく、肉眼のピントを合わせにくくなるというか、パシッと点に見えません。ボケて見にくい感じになります。見にくいからといって、全光度的に暗くなるわけではありません。目の感色のスペクトルのかたちが不自然になるためかもしれません。彗星と恒星の光度比較に似た感覚になりました。 次に、ベテルギウスとベラトリックスの光度比較をしてみました。裸眼では、ベテルギウスが0.2等ほど明るく見えましたが、緑セロファンでは0.1等ほど暗く見えました。WikipediaによるとベラトリックスのV光度は1.64等です。 私は、赤っぽい星を明るめに見る傾向があり、これは何らかの脳の神経の興奮によるものだと思っています。これは主観的なものなので、この部分は気をつけて勘定にいれないようにしています。しかし、眼視で明るさを感じるということ全体が視神経と脳神経の興奮なので、客観的に境界線を引けるわけではありません。色を感じないというのは、問題の一部を回避できる利点はありますね。
2020-01-20 Mon 07:16 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん、さっそく試していただきありがとうございます。
セロファン越しでぼやけるのは、セロファンの平面性の問題があるのかも知れません。私が何種類か試した中では、使用に耐えないものが数種類ありました。目にセロファンを当てた状態で、数十センチ先の新聞やPC画面が読めないもの、セロファンを動かすと遠景がボケたり、色むらがあるもの、色が濃すぎるものは失格ですね。 本当は白黒フィルム写真用のコントラストフィルターか、三色分解用のフィルターが良いのですが、出費がかさみます。私は白黒フィルム用アセテートフィルター(もう生産終了してます)のストックがあったので、それを使いました。青、緑、オレンジの三種類を用意して、ここ一ヶ月ほど見比べています。これでボケを感じることはありません。 昨夜は緑フィルターだとベラトリックスより暗く感じました。青フィルターに至ってはミンタカ(δOri)とサイフ(κOri)の中間でした。高度差があるため正しい測り方ではないけれど、「色分解してオリオン周辺を観る」という体験は面白いです。 デジカメで測ったら、16日測定と比較して0.02等暗くなりました。もちろん誤差として片付いてしまう数値ですが、「測る度に下降している」状況を覆せません。(もし誤差が正規分布なら上下にばたついても良さそうなのに、そうならないのです。) ここ1週間のベテルギウスは、1月初め頃よりは暗くなっているように思いますが、1回1回をとれば誤差の範囲ですね。
私にベテルギウスがボケて見えるのは、セロファンのせいではないようで、他の青白い星はボケません。たぶん、目のピントの位置が波長の分布の伸びている方向に引っ張られてずれるのではないかと思います。レンズの分散があれば、赤は遠視だとピントが合いにくいという傾向になるのかもしれません。 緑フィルターで、黒体輻射の短波長側がカットされるスペクトルは自然に感じられ、長波長側がカットされると違和感がある、とかそういうのがわかるなら面白いと思います。昔の白色LEDは3色分解が丸わかりでしたよね(時間的にもずれて点滅していたかも)、最近のはチカチカしても3色は感じづらくなりました。
2020-01-20 Mon 16:07 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
昨夜、再度、緑セロファンでベテルギウスを見ましたが、やはり私の目にはピントを合わせにくかったです。アルデバランもそうでした。青い星は暗くても小さくポチッと見えますが、赤い星はそれなりの明るさがあっても、大きめの灰色に見えます。
それはそうとして、比較星の明るさにも問題があるように思います。できれば、みゃおさんに、写真で確認していただきたいのですが、 カストル(1.5等)、ベラトリックス(1.6等)、アルニラム(1.7等)、ふたご座ガンマ(1.9等) というのは、この順番と間隔で並んでいるというのは正しいでしょうか。比較星の光度が間違っていると光度測定も間違うことになります。おついででよろしいのでよろしくお願いいたします。 昨夜は空の条件が良かったです。ベテルギウスはここ数日確かに暗くなっていると思います。今年になってからは、1.40~1.50等の0.10等以内の変化ですが、ベラトリックスとの光度差の印象で見ているので、色の違いがあるにしても、変化の精度はあると思います(ベラトリックスが変光しないとしてですが)。
2020-01-21 Tue 07:06 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん>
ちょっと長くなります。 星表から直接光度を調べてみました。カンマ区切りテキストで下に書いておきます。普段から星表星図のユーティリティソフトを自作しているので、おやすいご用です。 name(proper-name),Vt,HipMag(Johnson V),HipMag(Mean VT),HipMag(Median mag),Hip-Spector,Hip-number αGem(Castor),1.934,1.58,—.—,1.5811,A2Vm,36850 γOri(Bellatrix),1.629,1.64,1.629,1.5493,B2III,25336 εOri(Alnilam),1.692,1.69,1.692,1.6235,B0Ia,26311 γGem(Alhena),2.024,1.93,2.024,1.9290,A0IV,31681 インデックスの意味は下記です。 name(proper-name)……バイエル符号(名称) Vt……Tycho-2 VT magnitude HipMag(Johnson V)……Magnitude in Johnson V HipMag(Mean VT)……Mean VT magnitude HipMag(Median mag)……Median magnitude in Hipparcos system Hip-Spector……Spectral type Hip-number……ヒッパルコス番号 Vtのみティコ2星表、あとはヒッパルコス&ティコ星表です。各数値が真に意味するものを私は十分に理解してません。一般に「等級」と言ったらティコ星表のVt等級か、またはヒッパルコス&ティコ星表のジョンソンシステムによるV等級を充てる、またはそれらの値から算出した計算光度のようです。 測光で特に問題なのは変光星や二重星(連星系)ですよね。たとえばカストルやベラトリックスは肉眼で分離しない重星です。じゃあ、この等級は何を表すのか、ということになります。どちらか片方なのか、主星だけなのか、それともポグソン光度式から計算した合成光度なのか、と。 ティコ星表はヒッパルコスより細かく恒星を分離してますので、カストルなどは主星(A系→これも分光連星)と伴星(B系→これまた分光連星)それぞれ書いてあります。でもヒッパルコス&ティコ星表はひとつです。 上記の通り、カストル主星Vtは1.934、そして伴星Vtは2.972でした。合成光度を計算すると1.58083448559…となるから、ヒッパルコスのV=1.58は合成光度らしいと分かります。ちなみにカストルは10等級のC系(これも分光連星)までありますが、カストルの光度には含まれていないようですね。いっぽうベラトリックスはティコ星表でも分かれていませんでした。 またGeneral Catalogue of Variable Stars(Version 5.1)を参照すると、ベラトリックスとアルニラムが変光星登録されています。例えばアルニラムはカタログ値によると1.64等から1.74等まで変化するようです。 測光の基本となる標準比較星がこれだけ複雑怪奇なので、引用元が明らかでない星図などは怖くて使えません。色が極端に違う(スペクトルやB-Vインデックスの差が大きい)場合も、AAVSOなどではnot recommendedになってますよね。とは言え、明るい星を測定するための比較星はとても少ないから、本当に困ってしまいます。 お調べありがとうございます。
2重星について合成していただけないといけませんが、計算による合成で問題ないと思います。 明るい星については複雑怪奇ですよね。そもそも、Tycho2星表に2等より明るい星ははいっていないのじゃないでしょうか? ヒッパルコスには入っていますが、ヒッパルコスが輝星の光度を真面目に測るプロジェクトだったかと考えると、わたしは懐疑的です。当時の自動測光システムにどれほどのダイナミックレンジがあったか。ジョンソンシステムがちゃんと補正しているかどうかもわかりません。 また、私が目で見る限り、仮にベラトリックスを1.6等として、カストルも四捨五入で同じ1.6等とは思えませんし(もっと明るいだろう)、ふたご座ガンマが1.9等とも思えません(もっと明るいだろう)。ベラトリックスはもっと暗いのかもしれません。 それで、私はイエール輝星星表などのほうが信用できるかと考えて、ネットではなく古い本の星表などを参照しようとしているのですが、これらの星については大きくは違わないようです。どこかになんらかのバイアスがかかっているのかもしれません。 私としては、みゃおさんの写真観測のまたのおついでに期待いたしたいと思います。
2020-01-21 Tue 14:14 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
YaleのBSC.ver.5も手元にあったので、試しに抜き出してみました。
name(proper-name),Vmag,合成光度 αGem(Castor),1.980,1.587 γOri(Bellatrix),1.640,1.640 εOri(Alnilam),1.700,1.700 γGem(Alhena),1.930,1.930 このカタログにはDmagという項があり、重星・連星系などの場合は最も明るい伴星・近接星について等級差を記録してありました。上記四星はすべて数値があったので、合成光度も計算しておきました。カストル以外は等級差が9等とか10等だったため、Vmagと合成光度の差は小数3桁より小さくなり影響しませんでした。 星表ってバージョンによってもわずかに差があったり改良されてるので、気が抜けませんね。S.Uさんの仰る通りTycho-2の主ファイルには輝星がありませんが、一緒に付いてるsupplyファイルのほうに分割されて入っています。輝星は位置精測に向かないし、かと言って古い乾板写真時代でもハレーションが発生して正確な光度を測るのは難しかったでしょう。本当に、どれを信じていいやら分かりません。詳しい方が正確な比較星図と解説を作ってくれることを待っています(笑)が、ベテルギウス減光が報じられてからひとつとして見かけないですねぇ…。 デジカメ測光の場合は大気減光補正が大問題で、この補正にも正確な星図が必要なので、堂々巡りです。 みゃおさん、重ねてありがとうございます。
イエール輝星とヒッパルコスのジョンソンVは、エラい近いですよね。私も驚きました。イエールは1991年から改訂されていないと思うのですが、ヒッパルコス・ティコが自分の測定に自信がないので、輝星はイエールを借りたのかと勘ぐるくらいです。でも、3桁目が合っていません。 独立に測定して3桁目が1違うだけなら数値を信用することになるのですが、両者がそんな精度を持っているとは信じがたいので、疑うばかりです。 写真も地上から撮ると、大気減光がありますね。 あとは、変光星屋さんの職人的見解に期待しましょうか。
2020-01-21 Tue 16:17 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
おっと、うっかりしました。
YaleのVmagの最後のゼロは取ってください。有効数字は小数二桁までです。失礼しました。 ReadMeを読み返しましたが、ヒッパルコスがイエールを引用した等の記述は見つかりませんでした。星表間の貸し借りは多少あるみたいですが、ヒッパルコスはどうだったのか分かりません。特に輝星は。 独立して測定したかだけでも知りたいですね。ひとつの星表が完成した後に機器精度が上がり、わずかな変光が判明したとかありそうです。 重ねてのお調べありがとうございます。
私の場合は、自分の眼視観測で納得のいく精度が得られればよいので、0.05等以下のことはどうでもよいのですが、0.1等を大きく上回る誤差が疑われる状態は困ります。新しい星表が古い星表よりも一般には精度がよいのでしょうが、輝星の光度については自明ではないので、やはりどなたか専門家にちゃんと調査してもらって説明がほしいですね。 あるいは、最近のアマチュアの方の写真測光であっても、0.1等内外の誤差で、星表に大きな問題が無いことがわかれば、それで安心できるものと思います。アマチュアのカメラなら、明るい星専用に低感度あるいは短時間露出の撮影をすればよいわけですね。
2020-01-21 Tue 20:33 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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