2019-10-21 Mon 00:00
![]() 『歴史を変えた気象・災害』 講師:田家康(日本気象予報士会東京支部長) が始まった。 田家氏は、最新の高校世界史Bの教科書の冒頭に「気候変動と人類の生活」が挙げられていることに驚いたという。天候不順による食糧不足が戦乱を長引かせたとか権力基盤を弱めたとか、日本史のざっとした知識だけでもいくつかの事柄が思い当たるのでこれは大変意外なことだが、これまでの歴史学では環境や気候と結びつける発想は長い間否定されてきたからだという。また、田家氏は「近年の気象災害を、なんでもかんでも地球温暖化だけに求めるのはあやまり」ということを、30分の番組の中で3回強調している。温暖化傾向があるにしても、それ以外の要因と責任から目を逸らす意図を感じる胡散臭さい温暖化強調論ではなさそうなので、この番組は聴いてみようかと思った。 番組を聞き逃しても、しばらくの期間は以下で聞き直すことができる。 →NHKラジオらじる★らじる聴き逃し |
>環境や気候
最近、前方後円墳は水田の灌漑施設であったという本を読みました。残念ながら説明に説得力があるかどうか私にはわかりませんでしたが、稲作技術の進歩により前方後円墳の文化が始まり、なんらかの環境変化によって終焉したというのは事実ではないかと思います。 最近、地球温暖化で台風が増えるということが報道されていますが、暖かい年に台風が多いという相関データを見たことはありませんので、これはウソです。(台風が1960年代に多く1990年代に少なかったこと、気温はその逆だったのは明らかなので、プロットを作ればおそらく逆相関になると思います) [付記: 自作しました。下のURLご参照。相関係数は-0.13(相関無し)です] 江戸時代が涼しかったのは事実なので、江戸時代に日本に来た台風の数を調べれば統計上有為なことがわかるのではないかと思いますが、そういう研究はないのでしょうか。 >前方後円墳は水田の灌漑施設であったという本
大洗など古墳の下の低地で米を作っていたようには思えませんし、我が家の近くにも100m級前方後円墳がありますが、汽水湖だった霞ヶ浦周辺ではそんなに米が獲れたとも思えません。畿内ではそうだったのかもしれませんが、事情の違うこちら関東ではあまり当てはまらないような気がしました。私は古墳については分かりませんが、近年の説の一つとして、大きな前方後円墳は港を支配する権力の象徴と海から見るためのランドマーク、という話を聞いたことがあります。 灌漑については、第2回目の放送で、日本ではため池(特に皿池タイプ)がほとんど作られなかったと言われていました。別の考えもあって、日本では、ため池や河川から水田に水をひく方法がいち早く用いられてきました、と書かれているものもあります。 http://www.komenet.jp/bunkatorekishi03/30.html >台風が1960年代に多く1990年代に少なかったこと、気温はその逆だった 相関図をありがとうございます。目視だとわずかに右下がりにも見ますが、統計学的には相関なしなのですね。したがって、暖かい年に台風が多いというのは妄想となりますね。では、「暖かい年の台風は凶暴」という命題はどうなのでしょうか。凶暴に感じたと言う感情を排除するためには、パラメータとして台風の勢力とか最大風速とか雨量とかで評価できるといいのかもしれません。
2019-10-21 Mon 14:41 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>畿内ではそうだったのかもしれませんが、事情の違うこちら関東
この本の著者が議論している前方後円墳は、おもに4~5世紀頃の畿内の、平地を掘って濠を作って中央に土を盛るタイプの物に限られているようです。畿内で廃れた後の時代に他の場所で流行したものや、森林や丘陵を利用した古墳についてはあまり問題にはしていないようです。朝鮮半島の古墳には触れていたので、畿内以外でも平地を大規模に掘るタイプの古墳なら問題になるかもしれません。 まあ古墳が墓であることは間違いなので、それが水田のための溜め池として使える状況が整っている場合に、その主要な目的が灌漑用であるかどうかの問題提起だと思います。 >「暖かい年の台風は凶暴」 「凶暴」の定義が難しいですが、気象庁データなら歴代ランキングが役に立つかもしれません。 (上陸時の中心気圧) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/air_pressure.html 比較的昔が多いです。1960~70年代は涼しかったですね。 最大(瞬間)風速、降雨量のデータは、こちらにあります。 https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rankall.php 風速は、新旧ランダムに入り乱れているように見えます。降水量は最近の記録が多いように見えます。これらは、各観測所の歴代最高記録のランキングなので、風や雨のような局所的な記録は、観測所が新設された場合、観測所数が増えた場合に、新しいランキング記録が出やすくなるというバイアスがあると思います。(なお、日本ではこれまでいちばん平均気温が高かった時期は2000年代で、2010年代は少し下がっています) バイアスをかけないようにするには何を見ればよいのか? 全国の平均気温と総降水量の相関を見ればよいのかもしれませんが、それだったら水蒸気の蒸発量に比例して降水量が増えて当然で、台風の形成との相関とは関係なさそうに思えるし、多くの変数の中からパラメータを探して選び出すこと自体が主観のバイアスだし、難しいですね・・・
2019-10-21 Mon 17:51 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>最近、地球温暖化で台風が増えるということが報道されていますが、
ちゃんと聴いていなかったのでアレですが、ラジオでどなたかが「台風の数は減るが、超大型化する」と言ってましたよ。 なんでも小さい並な台風は出来にくくなるが、いざ出来た台風は大型になるんだそう。
2019-10-22 Tue 06:12 | URL | 名無しの権兵衛 #-[ 内容変更]
>小さい並な台風は出来にくくなるが、いざ出来た台風は大型になる
名無しの権兵衛様、コメントありがとうございます。 強い台風が増えるのではないかと、海外でも言われていますし、気になるところですね。私は気象の専門家ではありませんので、 気象庁のデータ分析によりますと↓、 気候変動監視レポート2018 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/2018/pdf/ccmr2018_chap2.pdf 42ページの図2.4-3を見ると、「強い」以上の台風の割合も数も目立った変化はありません。 半分くらいは「強い」以上になりますので、この程度では大した台風とはいえず、「非常に強い」「猛烈な」台風を見るべきかもしれませんが、そうするとたぶん統計不足になり、現時点では判断できないことになると思います。北米大陸付近のハリケーンは、強力なものが増えているそうですが、増えているところもあれば変わらないところもあるのは統計上は当たり前で、それだけで結論が出せるものではありません。 大型で強い台風が温暖化で増えるというのは、たぶん、一つの仮説というか論理のマジックであると私は考えます。最近の地球温暖化→気象災害増加論者の論法は、 他のすべての要因がすべて揃った場合に地球温暖化があると台風はさらに大型化する。従って、大型の台風が地球温暖化のために超大型になる という論理のようです。つまり、最後の一押しを地球温暖化が決めて、地球温暖化がなければ起こらないような超大型が実現する、という主張です。 私は、この論法は計算式の上ではもっともらしいかも知れませんが、実際には正しいとは言えないと思います。「他のすべての要因」がよくわかっていないからです。他の要因の中に温暖化よりも強力に結果に響くものが多くあれば((たとえば、太陽活動とかエル・ニーニョとか)、温暖化が超大型の台風を作ったとは言えません。また、他の要因と温暖化は不可分であって互いに干渉するでしょうから、温暖化の効果がサッカーでサイドからクロスを入れるアシストのようにフリーで働けるかどうかはわからず、他の要因によって温暖化の働きが左右されるかもしれないからです。 実際、太陽活動の活発化によって地球は温暖化することがわかっていますが、なぜ太陽活動が活発になると暖かくなるのかはよくわかっていません。また、エル・ニーニョが発生した年は温暖化が抑えられると言われていますが、エル・ニーニョの発生メカニズムはまだよくわかっていません。 以上、真実は私にはわかりませんが、データ上、「強い」以上の台風が温暖化とともに増えていないというのは、事態はけっこう複雑で、単純な予想やシミュレーションが通用しないことを示唆しているのではないかと思います。 一般的に言って、気象、気候というのは、地球温暖化の有無にかかわらず、数十年単位で変動するものであり、言うならば、異常気象とか「これまでに経験したことのないような災害」というのはいつの時代にも起こり続けているものであり、それを地球温暖化と結びつける合理的な理由はありません。ましてや台風の数や強大化については「異常」が起こっているかの証拠もないのに「温暖化のために台風被害が増えている」などという説を流布することのほうが「異常」だと思います。
2019-10-22 Tue 08:05 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>風や雨のような局所的な記録は、観測所が新設された場合、観測所数が増えた場合に、新しいランキング記録が出やすくなるというバイアス
ここ数年、年がら年中歴代最高雨量、過去最大風速とか言ってますが、あれは「測定器を新設し続けています」というPR程度の意味なので聞き流すべきですね。 >小さい並な台風は出来にくくなるが、いざ出来た台風は大型になるんだそう 直接被害に結びつくのは、年間に発生する台風の数よりも、名無しの権兵衛さんの言われる様な、大型化の問題だと感じます。気温と大型化の間に相関があるのかは気になります。と書いたところで、順番が前後しましたが、S.Uさんのコメントによると、「強い」以上の台風の割合も数も目立った変化はなさそうですね。 2000年以降は、最大風速分類の「弱い」「並みの」がなくなり(正しくは何も言わないことになり)「強い」「非常に強い」「猛烈な」だけになり、また大きさの階級では「ごく小さい」「小形」「中型」がなくなり(同じく何も言わないことになり)「大型」「超大型」だけになっています。このことも台風の凶暴化の印象に影響している感じがします。防災の観点から緊迫感を与えるためということらしいですが、どれほど脅かされたところで個人レベルでできるのはせいぜい前日の内に風呂桶に水を貯める程度まででしょう。鬼怒川決壊以来4年も経っているのに、まだ堤防工事が完了していないという防災行政の緊迫感のなさの方が、余程各地での被害を大きくしている様に感じます。
2019-10-22 Tue 09:40 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>歴代最高~PR程度の意味
「歴代」ということ自体が観測のバイアスが掛かっていることの言明なので、科学研究発表には決して使わないマスコミ用の表現ですね。研究発表会で「観測所歴代」という言葉を使うと、「それは自然現象の客観的評価ではないので、バイアスの補正をしてから発表しろ」と突っ込まれて終わりです。 >鬼怒川決壊以来4年も経っているのに、まだ堤防工事が完了していない このへんは地方行政の問題が大きいので難しいと思いますが、私は、郊外の農地を新興の宅地に転用していること、数十年規模の気候変動により台風の被害の発生箇所が変わってきていること、が行政の対応の遅れを招いているのではないかと思います。 地球規模での温暖化のざっくりした影響を予想してもらっても根拠薄弱で信用できないし、役にも立たないので、予想するならば、台風の進路や大雨の場所の傾向の変化を読んでほしいです。 >「弱い」「並みの」がなくなり~台風の凶暴化の印象に影響 結局、気象庁は国民に対しておおっぴらに印象操作をしているわけですから(その防災上の効果はさておいて)、そのぶん科学的なところも差し引いて考えるべきでしょう。本当は、気象庁は純粋な科学分析だけを行い、印象操作や防災対策は国土交通省の別の機関が担うべき、そうでないと、どこまでが科学的知見で、どこからが宣伝かわからなくなって信用を落とす、と思いますが、予算人員不足でできていないのだと思います。国民が注意すべきと思います。
2019-10-22 Tue 10:27 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>本当は、気象庁は純粋な科学分析だけを行い、印象操作や防災対策は国土交通省の別の機関が担うべき、そうでないと、どこまでが科学的知見で、どこからが宣伝かわからなくなって信用を落とす
本当にそうですね。温暖化利権稼ぎの片棒を担いでいる感があります。
2019-10-22 Tue 13:04 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
この番組は知らなかったですが、最近ふと似た様なことを考えていたのでちょっと驚きました。
自分も科学者や専門家でなはいから、たいしたこと言えませんが、台風のピーク値とか個数だけでは議論にもなりませんね。あと、関連付けるとしたら日本の気温ではなく海面温度だと思われますがどうでしょう?また、世界全体で均してしまうと関係性が薄れるので、適切な分割をした上で相関を見ると良いかと思います。 私は台風分析するとき、できるだけ「蓄積エネルギー」を計算してから考える様にしてます。この方法の一例として、例えばエルニーニョ監視域の海面温度変化と台風の蓄積エネルギーの関係を調べたグラフが下記にあります。 http://kuusou.asablo.jp/blog/2016/12/26/8294519 しかしながら、台風の科学的データのストックはまだ1世紀ぶんも無く、気象観測全体だって2世紀ぶんも無いので、そこから得られる統計は「優位」とはほど遠いと感じます。太陽もそうですよね。黒点データは1世紀ちょっとしか溜まっていません。 将来にスーパー台風の数が云々という情報は過去統計からの推測ではなく、数値シミュレーションによるものではなかったでしょうか?国内では、気象研とか海洋研究開発機構とか名古屋大とかが取り組んでいたと思います。現状を初期値として与え、50年、100年先がどうなるかの予測です。 かすてんさん、みゃおさん、コメント、ご解説をありがとうございます。
海表面の熱による大気の分子運動の激化とかエネルギー保存則とか水分の流れの収支とかは、短期の保存則(1年未満)がありますから、相関があって当然だと思います。問題は、仮に地球温度が長期的に1.0℃上がった時代が来たとして、そのために台風発生数が(あるいは強大な台風の発生数が)平均としてどれほど底上げされるかですが、過去の10年~30年単位で相関が見えないのだから、それより長期的なことは現時点ではまったくわからないはずと思います。 深海まで暖まる影響とか氷河が後退する影響とかより長期の変動が効いている可能性はあり、それらの効果をシミュレーションで計算することはできるでしょう。しかし、長期的な効果は観測に見えないのだから、他の知らない要因もあるはずで、一部の要因だけを入れたシミュレーションの結果は、参考になるかどうかすらわからない、というのが私の意見です。 なお、太陽黒点数の変動は一応ガリレオの時代(17世紀初頭)から精度が悪いながらもデータがあり、それ以前は炭素14含有量の測定から推定されているようです。下のURLをご参照下さい(連載になっています)。 うろ覚えですが、
・温暖化により海水温が上がる。 ・海水温が上がったことにより従来より強 い上昇気流が連続して発生する。 ・上空に昇った暖かく湿った空気は連続する強い上昇気流のせいで中々下に落ちて来られず、小さな台風は出来にくくなる。 ・で、限度を超えると一気に大きな塊になって下に落ちてきて、超大型台風になる たしかこんな説明だったような。
2019-10-22 Tue 18:55 | URL | 名無しの権兵衛 #-[ 内容変更]
名無しの権兵衛様、
説明のご情報をありがとうございます。 わかるようなわからないような(笑)。私は気象に詳しくはないのでやはりよくわかりません。 素人向けの説明(あるいは素人考え)で、温暖化を温室化と考えると、水分の蒸発量が増えて世の中が湿気るのは納得いきますが、温度は一様になって気流や風は穏やかになるのではないかと思います。少なくとも、温度が上がるとエネルギーが蓄積されて台風が大型になるという説明は成り立たないと思います。物理学では、熱エネルギーを運動エネルギーに変換するのは、温度ではなく温度勾配ということになっています。 それでも、結果は正しいのかもしれませんので、私としては、江戸時代の台風のデータが気になるところです。
2019-10-23 Wed 08:27 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
http://www.godac.jamstec.go.jp/catalog/data/doc_catalog/media/be74_all.pdf
たぶん↑の6/23 「地球温暖化で「台風」はどう変わるか」 と同じ事を言っていたと思います。
2019-10-23 Wed 10:22 | URL | 名無しの権兵衛 #-[ 内容変更]
名無しの権兵衛様、
資料のご教示ありがとうございます。強い台風は減るものの極端に強い台風は増える傾向にあるということですね。そういう結果もありうると思います。 しかし、これは数値計算の結果なので、この結果について合理的な説明や観測の裏付けがないと、正しい傾向かどうかはわからないと思います。 モデルにCO2の増加という不安定なシステムを入れたために台風強度のバラツキが大きくなっただけということも考えられると思います。バラツキの増大が実際にも起こるなら正しいですが、実際には安定化のシステムも働くと思うので、相当微妙な部分の議論のように感じます。 このレポートは2004年なので、今はもうちょっと進歩しているかもしれません。 このようなシミュレーション計算は大いにしていただくとよいと思いますが、マスコミがこれを報道する時は、「計算結果はこうなった」とだけ述べるべきで、「計算の結果、こういうことがわかった」と言ってはいけません。計算ができただけで、何もわかってはいません。
2019-10-23 Wed 11:25 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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