33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
受賞直後しか流れないノーベル賞受賞者の正論
2018-10-03 Wed 00:00
・NHK:ノーベル賞 本庶佑さん 記者会見の要旨
 その中でも特に印象に残った言葉を抜き出してみた。
・簡単に信じない。それから、よくマスコミの人は、ネイチャー、サイエンスに出ているからどうだ、という話をするが、僕はいつもネイチャー、サイエンスに出ているものの9割はうそで、10年たったら、残って1割だと思っています。
・生命科学は、ほとんど何も分かってないところで、デザインを組むこと自身が非常に難しい。その中で応用だけやると、大きな問題が生じると私は思っています。つまり、何が正しいのか。何が重要なのかわからないところで、『この山に向かってみんなで攻めよう』ということはナンセンスで、多くの人にできるだけ、たくさんの山を踏破して、そこに何があるかをまず理解したうえで、どの山が本当に重要な山か、ということを調べる。まだそういう段階だと思います。
・1億円を1億人にばらまくと全てむだになりますが、1億円を1人の人にあげるのではなくて、せめて10人にやって、10くらいの可能性を追求した方が、1つに賭けるよりは、ライフサイエンスというのは非常に期待を持てると思います。もっともっと、たくさんの人にチャンスを与えるべきだと思います。特に若い人に
・教科書に書いてあることを信じない。常に疑いを持って、本当はどうなってるんだ、という心を大切にする。
・賞というはそれぞれの団体とか、それぞれが独自の価値基準で決められることなので、長いとか待ちに待ったとか、そういうことは僕自身はあまり感じていません。
・今回の研究に関して製薬企業は全く貢献していません。それはもう非常にはっきりしています。企業側は特許に関して、ライセンスを受けているわけですから、それに関して十分なリターンを大学に入れてもらいたいと思っています。

今回のノーベル賞は、本庶佑先生の上げられた業績が高く評価された素晴らしい受賞だと思うが、受賞直後のインタビューでのコメントはさらに評価を高める要素が満載だった。毎回ノーベル賞受賞者のインタビューを聞いて思うのは、ノーベル賞を受賞した瞬間はマスコミも視聴率稼ぎで取り上げるが、政府も企業も聞きたくない、耳の痛い、世間に流して欲しくない正論なので、まもなくマスコミの忖度によってフェイドアウトになるというパターンが横行していること。
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この記事のコメント
正論をおっしゃっていますね。

 本庶先生のおっしゃっているようなことは、科学研究者ならみんなというのは言い過ぎでも、過半の人が感じていることで、まあ偉くなった先生の2、3人に1人はおっしゃっていることですが、対外的にはなぜかうやむやになってしまいます。

 国が進めていることは、これと正反対の「選択と集中」です。口ではいろいろ言っていますが、やっていることは単純で、全体の予算を減らして一部だけを残すということです。驚いたことに、大学改革を進めている理由の一つは、少子化にあるとされており、もし、子どもの数が減ってきているので、教育も研究も縮小しようということなら、人口が減ってきたので今後は名実共に弱小国になろうという、これほど後ろ向きの話はありません。

 でも、最近は、科学をめざす若い方が、いろいろと主張して下さっているようで悲観はしていません。

https://togetter.com/li/1270146
2018-10-03 Wed 07:33 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
評価を得たことに加えて、あとは叩かれても干されても大丈夫という気骨ある方でなければ、なかなかここまでの発言はできませんね。小柴先生や梶田先生も折に触れそういうコメントを出されていますが、やはり流れてくる頻度は激減しています。ご本人たちの書いたり言ったりしてくれる頻度は変わらなくても、マスコミの流す意思が無くなれば、発言が消えたと同じことになります。

この中学生、研究者の叫びを普段から聞いている感じですね。
2018-10-03 Wed 08:01 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>マスコミの流す意思
 マスコミの流す情報の場合、海外との比較が中心になると思います。海外と比較しても芳しくはないのですが、比較方法が難しく、欧米あたりも最近は似たような問題あり、アジアの国々もそれぞれ事情ありなので、これだけでははっきりしません。
 過去の日本との比較をしてもらうほうがよいと思いますが、マスコミはそういう観点は苦手のようです。

>この中学生
 嬉しいです。

 少子化で子どもの数が減ったら、そのぶん、一人あたりが頑張って勉強していただきたいと思います。

 本当に勉強するかしないか、何の勉強をするかは、まったく個人の自由ですが、これまで以上に勉強が出来る環境を整えないことには話になりません。
 そういうふうに国が進めれば、若い人に活気が出てきて、少子化自体もまた緩和していくのではないかと思います。
2018-10-03 Wed 08:52 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
(付記)
 過去の新聞記事のインタビューの時に、

「小さいころは、天文学者になりたかった。」
「野尻抱影の本が好きで、天文少年だったんです。」

とありました。昭和20年代でしょうね。野尻抱影のどの本だったのか知りたいと思います。そして私も読んでみたいと思います。

 天文学者にもなれたでしょうが、この場合、ならなくて幸いでした。
2018-10-03 Wed 17:53 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>国が進めていることは、これと正反対の「選択と集中」
 その分野の最先端に立って未来を見通すわけでもない官僚が行う「選択と集中」ですから、将来は悲惨な結末になりますよ。

>野尻抱影の本が好きで、天文少年だった
 本庶先生も天文少年だったのですか。
2018-10-03 Wed 22:18 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>未来を見通すわけでもない官僚が行う「選択と集中」

 一応、「集中」するほうは予算規模に応じて識者の意見は聞くのでしょうが、よほど勘の良い学者でないと未来は見通せないでしょうね。本庶先生が「運が良かった」とおっしゃっているくらいだから、見通しは誰にも無理、つまり原理的に無理ということではないでしょうか。

 いっぽう、削減のほうは、毎年1%減少(十数年連続)で機械的にやっています。「国立大学運営交付金減額」で「画像」を検索すると、きれいな右肩下がりのグラフが山ほど出ます。減らすことが目的で、機械的に減らしているということがよくわかります。
2018-10-04 Thu 07:39 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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