33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
可航半円と危険半円
2018-10-05 Fri 00:00
1810031.png今年はどれがどれだったかをなかなか覚えていられないくらい大きな災害が立て続けに起こっている。忘れないようにとまとめたのもつい先日のことだ。
 →この夏の大災害を生き延び(2018/9/18)
茨城はここまで大きな被害を免れているが、それも偶然の幸いなのだと思っている。9月30日から10月1日にかけて本州を串刺しに通過した台風24号だが、自宅周辺地域では甚大とは言えないまでも停電や吹き返しの暴風を受ける被害は生じた。[写真は気象庁の気象衛星のページより]
台風はその西側と東側では影響に大きな差がある。船の人は「台風の左側を可航半円、右側を危険半円」というらしい。そのことをugemさんがわかりやすく説明してくれていたのでぜひお読みいただき、次の台風の時に参考にしていただきたい。
 →ugem通信:台風
別窓 | 雑感 | コメント:8
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この記事のコメント
ご紹介ありがとうございます。
船員さんたちは流石によく理解しているのですが、事務方の若いもんが知らないのですよ。一般の人達はもっと知らないでしょうね。
2018-10-05 Fri 00:18 | URL | ugem #-[ 内容変更]
>事務方の若いもんが知らない〜一般の人達はもっと知らない
 関連するお仕事をされている業界でも、意外とそんなものなのですね。きっと、「可航半円」という用語によって船員用の知識という意識に限定されて、陸上生活へ浸透しにくいのかもしれませんね。台風のことですから「可航半円」は安全と油断できないまでも、「危険半円」が予測されたら防御体制をとっておくことは、どこで生活していても必要な知識と感じました。
2018-10-05 Fri 07:37 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
とても興味のある話題だったので、(たまたま私も調べてたので)、失礼ながら私のブログで勝手にコラボして紹介させていただきました。ほんの少しだけ踏み込んで記事を書いてみました。
2018-10-05 Fri 10:14 | URL | みゃお #chDfx1pU[ 内容変更]
最近の例でいうと、台風21号の時に、南近畿と北近畿でだいぶ事情が違ったようですね。

 この速度ベクトルの足し算で説明する件ですが、ガリレイの相対性原理を使うと確かにその通りだし、事実その説明で正しいのですが、これを「物理原理」と捕らえてよいかは私は自明でないように考えます。

 台風が単体で勝手に回りながらベルトコンベヤーに乗っているのでしたらそうですが、回りから吹き込む風は台風の外から来ているので、台風から離れた周辺の境界条件や地面、海面の制約を受けるはずで、足し算になるというのはあまりに単純化されているのではないかと思いますがどうなのでしょうか。

 結果的に足し算の成分の寄与がとても大きいということなのでしょうが、それ自体、観測事実として驚くべきことのように思います。(気象の素人の単なる感想です)
2018-10-05 Fri 12:05 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
最初に教わった高校の頃、まさにS.Uさんと似た疑問を持ちました。自分も専門外ですし、S.Uさんには釈迦に説法ですが、自分が考えてるイメージを書いておきます。

最初に風ありきで考えると堂々巡りなので、風は「最終的な結果」としていったん忘れ、風が起きる原因となる気圧勾配を考えます。台風は中心に向かう漏斗状の傾斜のようなものですね。よく重力場やブラックホールの説明演示で、次元をひとつ落とした展示物が科学館にありますが(下記URLなど)、あのようなものを考えれば良いと思います。

http://www.ncsm.city.nagoya.jp/cgi-bin/visit/exhibition_guide/exhibit.cgi?id=A521

この「傾斜」が、実際は周囲の気圧と台風中心の気圧が作る圧力差です。小さいビー玉を大量に落とせば、グルグル回りながら中心へ落ちてゆき、風として認識されます。

このまま装置が止まっていれば(台風が止まっている)方位による傾斜の差は生まれませんが、実際は気圧配置の影響で「装置全体が傾く」ことになります。こうなると中心から等距離のビー玉も、方位によって運動が変わる事になるでしょう。可航半円側では傾斜に逆らいつつ落ちることになり、危険半円側は傾斜と運動方向がほぼ一致します。ベクトル加算で表現されるのはこの状況のみ切り出したものです。

実際の気圧勾配は地球全体でつながっているので、例えば巨大ストッキングのような伸びるシーツを水平にピンと張り(メルカトル地図的平面世界)、低気圧や台風は下に引っ張り、高気圧は上に持ち上げることで、あちこちの気圧差をシーツの傾斜で表現できるでしょう。引っ張る位置や度合いは常に変遷し、そこにどんな風が吹くかはビー玉を転がしてあげれば視覚化できます。もちろんシーツの引っ張り合いを実際に行っているのは海や地面が持つ熱ですね。

地球自転を考えればコリオリ力も取り入れられますし、大気の厚みまで考慮すれば上下する風も考慮できますが、このイメージ自体が次元を落としてますから破綻するでしょう。地上を覆う空気層のみ考えるなら、どうにか伝わるかなぁと思います。
2018-10-05 Fri 17:11 | URL | みゃお #chDfx1pU[ 内容変更]
 ご説明をありがとうございます。
 
 確かに「物理教育的」に見れば、重力ポテンシャルの穴のようなものが傾いていると考えるほうが、単にガリレイ変換からスタートするよりもよいのではないかと思います。(一般に、速度ベクトルの足し算が成り立つという直感的説明がそれなりに理解できるのは、電車の中でボールを投げるようなガリレイ変換の説明を前提とするに他ならないと私は考えています。たとえば、束縛された媒体中を進む音速に加算則を期待するのは誤りです)

 ただし、実際に天気図を見ると、台風は高気圧のまわりを進んだり、高気圧低気圧間の空気の流れに沿って進んだりすることは理解できても、台風の中心付近はきれいな円対称に見えますので、(ポテンシャルが)傾いているというのはちょっと理解しにくいように思います。

 また、日本本土付近で高速になって風速に左右差ができるのも、そもそも高速になる主因は偏西風で、その主因はコリオリ力で、台風の左巻きもコリオリ力で、コリオリ力は慣性力で、慣性力が生じるのは台風が地球に束縛されているからで、結局は、堂々巡りから解放されません。

 まあ科学の説明というものは、ものわかりの良い人にはそれでわかってもらってけっこう、理屈っぽい人が逆らうのもそれはそれでけっこう、ですから、問題はないと思います。
2018-10-05 Fri 17:50 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
本格的に議論が深まってきましたね。ここから先は物理学マニアの世界ですね。
いまのところは、船員以外の業界の方や一般の方の知識としてはugemさんの解説あたりがわかりやすいかもしれません。
2018-10-06 Sat 10:35 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
そうですね。
 気象の理解としては、それでよいし、結果的にもそれで正しいものと思います。
 
>「物理学マニア」

(言っちゃ悪いですけど)物理の試験の出来が悪い学生ほど、よくこういう議論をしたものです。物理学、工学を目指す高校生、大学生には、点数はさておいて、こういう議論をしてほしい気がします。
2018-10-07 Sun 07:26 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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