33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
天文民俗学者北尾浩一氏の著作本
2018-06-26 Tue 00:00
1806013.jpg最新著作『日本の星名事典』を紹介した機会に、私が所蔵しているものだけだが、これまで刊行されてきた北尾浩一さんの著作をここに挙げておく。また、拙ブログで取り上げたものはリンクも書いておいた。

■『ふるさと星物語』 北尾浩一著 神戸新聞総合出版センター 880円 1991年
 『スカイウォッチャー』創刊号1983年8月号から88回連載した「星の和名」をまとめたもの。148頁。
■『星と生きる 天文民俗学の試み』 北尾浩一著 ウインかもがわ 1200円 2001年
 『天界』1998年4月号〜2000年12月号に連載された「天文民俗学試論」をまとめたもの。136頁。
■『星の語り部 天文民俗学の課題』 北尾浩一著 ウインかもがわ 1000円 2002年
 『天界』2001年1月号〜2002年6月号に連載された「天文民俗学試論」をまとめたもの。95頁。
■『星を見よう おじいさんおばあさんの星の話』 ごま書房 1200円 2004年
 『天界』2002年7月号〜2004年2月号に連載された「天文民俗学試論」をもとに、大幅に写真や図を加えて書き直したとある。152頁。
■『天文民俗学序説 -星・人・暮らし-』 北尾浩一著 学術出版会 2730円 2006年
 私が最初に購入した北尾さんの著書。春の七夕ともいえる、アネサマボシ(スピカ)とアンサマボシ(アルクトゥルス)の星名に心惹かれた。また、「満点の星を見て「プラネタリウムのようにきれい」と人が感激するとき、バーチャルな世界が本物と偽物を逆転させ、人間の感性と言葉を狂わしている恐ろしさに気づく」という言葉は示唆的だ。北尾さんの他の本に比べると、学術的色彩の濃い内容になっている。2004年以降の『天界』に掲載された「天文民俗学試論」第78回〜第86回、1999年以降の『日本民俗学』に掲載された3本の論文で構成されている。139頁。
  →春の七夕
■『ふるさと星事典-星とあそぼう-』 福澄孝博・北尾浩一共著
             南日本新聞開発センター 1500円 2008年
 『天界』に連載された「天文民俗学試論」第87回〜第100回(第93回を除く)の鹿児島に関連する記事をまとめたもの。156頁。
  →晴耕雨読、もとい、晴観雨読、さらにもとい、曇読雨読
■『日本の星名事典』 北尾浩一著 原書房 3800円 2018年
 北尾民俗学の集大成。465頁。
  →北尾浩一ライフワーク 遂に刊行! 『日本の星名事典』
  →北尾浩一ライフワーク  『日本の星名事典』が到着
  →北尾民俗学の真髄  『日本の星名事典』
■「天文民俗学試論」(東亜天文学会『天界』2018年5月現在176回連載中)
  →北尾浩一さんのこと
  →文献天文学に遊ぶ
別窓 | 星の本 | コメント:7
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この記事のコメント
>『星を見よう おじいさんおばあさんの星の話』
 を私は出た頃に買って読みました。
 普通のおじいさんおばあさんが、星の和名を知っているという書き方に感激しました。

 実際には、現在では、もうそのへんにいるおじいさんおばあさんは、星座の和名などほとんどの人は知らないのです。天気占いくらいなら知っているかもしれませんが、それも知らない人のほうが多いでしょう。知っていても、本やラジオなどで知った知識かもしれません。

 でも、北尾さんの調査によると、星座の和名を教えてくれたおじいさんおばあさんは、たぶん、農業、漁業をやっていたのだとは思いますが、紛れもなく普通のおじいさんおばあさんであったのだと思います。普通の人なのだけれども、若いときに修行をしていて何らかの機会を得て星の和名を知ったということなのでしょう。職業上の知識というのは、そういうものだなぁと納得しました。
2018-06-26 Tue 12:14 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>現在では、もうそのへんにいるおじいさんおばあさんは、星座の和名などほとんどの人は知らないのです。
 私も地元の郷土史に詳しい古老に昔の話を色々と聞く機会がありますが、確かに星の和名は知らない様です。そのまたじいさまから聞いた話として正月の三日月の角度でその年の豊作を占ったという事は聞き出す事が出来ました。
 2010年に北尾さんと泉佐野や岸和田の元漁村をぶっつけで歩いた時に、いくつかの和名を聞く事が出来、北尾さんご自身が驚いていました。また昨日、日本海側の小島で数日前に比較的若い世代からも和名を拾ってきたというメールを北尾さんからもらったところです。島の若い世代がその和名を知っているからといって生業に大きく役に立つという時代ではないでしょうが、それでも伝承として残り続けていることと、それを2018年時点で拾いに行った人がいることに驚きを感じます。
2018-06-26 Tue 13:29 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>若い世代がその和名を知っているからといって生業に大きく役に立つという時代ではない

 日本では、一般の職業人が天文測量や天文航法をしたことはあまりないと思うので、星はおもに時刻を知るためのものだったでしょう。時計が家庭に普及した時点で不要になったと思いますが、漁船には時計が乗せにくかったのかもしれません。揺れるし塩水がかかりますからね。

 確かに、星の和名を知っていたからと言って現代に役に立つことはほとんどないと思いますが、大工やトビや畜産従事などの若い人は、今でもある程度古い道具や材料の名前を知っているのではないかと思います。新しい道具が出ているので、古いのは知らなくてもそんなに困らないと思いますが、先輩は持っていて教えてくれるかもしれません。星の名前が「業界用語」になっているとしたらすごいことだと思います。
2018-06-26 Tue 21:00 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>時計が家庭に普及した時点で不要になったと思いますが、漁船には時計が乗せにくかったのかもしれません。揺れるし塩水がかかりますからね。
 時計があるから星は見なかったと言う漁師さんも、星へ向かって何分走ると漁場に着く、みたいな目当てにしていたことがどこかに書かれていました。
2018-06-26 Tue 21:35 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>星へ向かって何分走る
 そうですね。近海なら天文航法を利用しなくても、晴れていれば星は方角を知るのにも使いますね。曇ったら磁石が使えるでしょうし、磁石がなくても陸地が見えるところまで戻れば大丈夫だったかもしれません。

 漁師は、空がほとんど曇っていても、明るい星が1つ2つ見えていたら方角がわかったといいます。この点は、我々とほとんど同じレベルだと思います。
2018-06-27 Wed 06:16 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>天文民俗学
 民俗学ではないかもしれませんが、昨夜、街角で楽しい会話を聞いたのでご報告します。

 昨夜19時半頃、つくば市の住宅地を歩いていると東の空の高度15度くらいに満月が昇っていました(いわゆる本当の満月は今日ですが)。それを見ながら駐車場警備員と通行人の2人の熟年男性(60代?)が会話していました。

通行人「今日は月がきれいだな。まんまるだ」
警備員「そぅだねぇ。それに、さっきはもっと大きかったよ」

 その後は特に月の観察に関する会話はなかったようですが、これは、満月は昇りながら縮むという感覚があるのか、と少し新しい発見をしたような気がしました。
2018-06-28 Thu 05:34 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
地平線から上がった直後の月を見て「大きい!」と感じる機会は多いですが、時間経過と大きさの変化を表現してくれている面白い会話ですね。大きく生まれて昇りながら小さくなる、って感じでしょうかね。周りを注意深く観察している警備員さんの性格を一言で表す演劇的な台詞にも感じました。
2018-06-28 Thu 06:25 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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