33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
『きみは宇宙線を見たか 霧箱で宇宙線を見よう』
2018-05-19 Sat 00:00
ヨメさんが図書室で借りてきたこの本をご紹介。宇宙線の話題、案外トレンドなのか?

1805181.jpg『きみは宇宙線を見たか 霧箱で宇宙線を見よう』
      山本海行・小林眞理子著 仮説社 1200円 2018年

この本は、中高生向け課外実験講座の授業プランをもとにした内容で、中学生が自力で読めて、宇宙線を観察できる霧箱を自力で作れレベルということだ。60頁そこそこなので30分もあれば読み終わって、宇宙線の基礎知識を持った上で霧箱製作に取りかかれる。著者の山本海行さんのサイトには霧箱実験以外にもいろいろな話題が満載だ。
 →うみほしの部屋>霧箱実験室

本書で作り方が紹介されている簡易型霧箱は、A3版クリアファイルを使ったシンプルな構造で、工程に難しいところはない。原型は名古屋大学客員研究員・林煕崇さんが考案したもので、名古屋大学理学研究科素粒子宇宙物理系F研基本粒子研究室のWebサイトの一般の方へに詳しい製作方法が紹介されている。かなり高感度の様で、降り注ぐ宇宙線を次々と捉えている様子を動画で見ることができる。
 →F研基本粒子研究室>一般の方へ
別窓 | 宇宙と物理ネタ | コメント:10
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この記事のコメント
>宇宙線
 宇宙線の見える霧箱のマニュアルは貴重ですね。

 でも、私の見解は単純で、霧箱で宇宙線が簡単に見えるようになったのは、低温領域の深さと均一性を稼ぐという霧箱の工夫はあるものの、決定的なのはLED懐中電灯の発明なんですよね。豆電球の懐中電灯では見えません。それならとごっつい投光器やハロゲンランプをもってきても、今度は霧の温度が上がってだめです。赤崎、天野、中村先生の仕事はこんなところにも生きています。
2018-05-19 Sat 06:05 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>決定的なのはLED懐中電灯の発明
 そこですか、という結論ですね。
 今回紹介されている霧箱はA3ファイルの長辺を丸めて作るので直径260cmほどあり、大勢で観察するのに良さそうです。しかし、たくさんのグループが狭い部屋で同時に製作すると、気化したエタノールで火気注意も必要ですし、酔っぱらってしまう注意も必要かもしれません。
2018-05-19 Sat 08:16 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>A3ファイルの長辺を丸めて作る
 宇宙線は、空から降ってくるので、軌跡を見やすくするには、口径をかせぐ、深さをかせぐ、ということが必要になりますね。それで大きくなって、大勢の人で見やすくなりますが、酔っ払いの危険も増えることになります。

 私が担当した範囲では、40cm角くらいのものでも大勢の実習でも酔っ払ったという話は聞きませんでしたので、A3くらいなら広い部屋なら大丈夫だと思います。学校などで昼間にやるなら、暗幕のある部屋が理想です。
 
 私の高校では備品で空気を減圧できるタイプの霧箱がありました。販売している製品だったと思うのですが、使い方がわからず宇宙線を見たいと思ったもののシュポシュポいじるだけで見方がわからず、どうにもなりませんでした。先生も時間がなかったのか、原理は教えてくれましたが、実演はしてくれませんでした。今の生徒さんは、宇宙線が霧箱で見られて幸せだと思います。
2018-05-19 Sat 09:36 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>私が担当した範囲では、40cm角くらいのものでも大勢の実習でも酔っ払ったという話は聞きませんでしたので、A3くらいなら広い部屋なら大丈夫だと思います。
 霧箱が多少大きくても部屋が広ければ酔っ払う心配はないですか。

>使い方がわからず宇宙線を見たいと思ったもののシュポシュポいじるだけで見方がわからず〜
 上の本文に追加しましたが、うみほしの部屋→霧箱実験室→科學史上の重要実験→ウィルソンの膨張式霧箱と辿ると、シュポシュポいうのが載っています。こういう製品だったでしょうか?
2018-05-19 Sat 14:36 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>シュポシュポいうのが載っています。こういう製品だったでしょうか?

 おっしゃるように、ウィルソンやアンダーソンが使った霧箱は膨張式だそうですが、どんな機構なのか、手動なのか自動なのか知りません(すみません)。私の学校にあったのは、カエルの玩具のようなゴムの握りのついた手動式のずっと簡単なものでした。冷やして膨張させれば霧は出たと思いますが、水蒸気の霧でよいのか、何か別の薬剤を入れるのかそういうことはさっぱりわかりません。ひょっとすると、物理の先生の自作品だったかもしれません。その先生は、真空ポンプとか蒸気機関を自作するのが得意でした。
2018-05-19 Sat 17:05 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
断熱膨張式の霧箱は上記のうみほしの部屋で紹介されている島津製作所製のようなものをイメージしていましたが、現在の様に学習教材の情報共有をするネットのない時代ですから、S.Uさんの物理の先生はご自分のオリジナルなものを工夫されたのかもしれませんね。

大阪市大は乗鞍に水平断面積2mx0.65mの大型ウィルソン霧箱を置いた話は聞いています。以下は武谷三男編『宇宙線研究』に載っている写真です。この六つの弁がタイムラグなしに膨張しないと画像にムラができそうです。
https://goo.gl/cFKoyi
2018-05-19 Sat 20:21 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
ご紹介ありがとうございます。1950年代は、最先端研究では霧箱最後の黄金時代だったのでしょうね。霧箱は、1930年代に陽電子、1940年代にK中間子の発見に導きました。
2018-05-19 Sat 20:57 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>1950年代は、最先端研究では霧箱最後の黄金時代だったのでしょうね。
 その後の機材の発達はめざましいですが、手軽に自作できて、自然の実体を体感できるものは少なくなったでしょうね。
2018-05-19 Sat 21:21 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>手軽に自作できて、自然の実体を体感できるものは少なくなった
 我々の子どものころは泡箱時代だったのですが、それでは、泡箱の自作はできないものでしょうか。水素とかプロパンとかは当然使えないとして、何か手軽に使える液体はないでしょうかね。誰か、考えていただきたいです。
 
 ビールで・・・ という話は、発明者グレーザーの逸話とともに物理教室の飲み会でよく出る話ですが、実際に出来るという話は聞いたことがありません。
2018-05-19 Sat 21:55 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>泡箱
 拡散式霧箱は手軽ですが、泡箱は事情がかなり違いそうです。
2018-05-20 Sun 13:32 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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