33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
ミューオン研究履歴が売りになる時代がくるかもしれない
2018-04-29 Sun 00:00
SuperKEKB初衝突実況のニコ生に熱中した1週間が終わったばかりだが、宇宙線ネタをもう一つ。

1804244.jpg・NHK NES WEB:宇宙からやってくる見えない脅威?!
 太陽のスーパーフレアの様に突発的に起こって大きな影響を与える現象を別にすれば、地球のある特定地域に降り注ぐ宇宙線量はほぼ一定だろうから、その影響とかリスクは専門家の間ではすでに予測できているのではないかと想像される。一般の人には対策しようのないことなので、聞かされたところでどうしようもなく、いらぬ不安を抱かせるだけに思われる。宇宙線や太陽フレアーに関わらず、失いたく無い情報のバックアップ対策を普段からしておけばいいだけのことでは無いだろうか。
 こういう時代になってくると、履歴書に「ミューオンの観測経験有り」などと書いておくと、思いがけない売り文句になるかもしれない。[写真はNHK NESWEBより]
別窓 | 宇宙と物理ネタ | コメント:12
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この記事のコメント
>バックアップ対策
 最新コンピュータ技術では、最終的には電子1個で計算が出来るようになるそうで、そうなると宇宙線が心配ですね。

>ミューオン
 これは、Belleなどで、宇宙線を見た経験によりますが、コンピュータのエラーを引き起こすのは、ミュー粒子ではなく、電子かハドロンのシャワーではないかと思います。あるいはガンマ線か中性子の原子核衝突かもしれません。

 ミュー粒子は宇宙線の主成分ですが、測定器でそれが直接派手な反応をするのを見たことはありません。問題を起こしているのは、主成分でない電子、光子、ハドロン(中性子、中間子を含む)ではないかと思います。(遮蔽をして実験すればわかると思います)
2018-04-29 Sun 06:20 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
ニコ生中継中もイベントディスプレイに貫通する宇宙線がひっきりなしに写っていました。本番では宇宙線イベントでトリガーがかからない様になるのですか。
2018-04-29 Sun 10:45 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>本番では宇宙線イベントでトリガーがかからない様になる

 本番では、現状のトリガーのままでも、
  宇宙線イベントのレート<<衝突イベントのレート
になるので、宇宙線は問題ではなく無理してトリガーで排除することもありません。問題ないなら、トリガーというものは、ヘタに小細工しないほうがよろしいです。
2018-04-29 Sun 12:42 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>宇宙線イベントのレート<<衝突イベントのレート
 本稼働するとバカスカ衝突している中に、たまに宇宙線イベントが混じるくらいになるわけですね。
2018-04-29 Sun 13:46 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>たまに宇宙線イベントが混じるくらい

 また将来、ネットでディスプレイを公開できるようになり、「あっ、宇宙線だ、珍しい。」と言えるようになればよいと思います。
2018-04-29 Sun 14:36 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>将来、ネットでディスプレイを公開できるようになり、「あっ、宇宙線だ、珍しい。」と言えるようになればよいと思います。
 科学者が成果を上げられることに意義を唱える人はいないですが、普通の人が宇宙線のイベントを見ながら何かを感じる、さらには面白いと感じる、そのような機会を提供していただけるようになったとしたら、それも成果として数えていただきたいものです。
2018-04-29 Sun 22:51 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>そのような機会
 そうですね。宇宙線、衝突イベント、ビームバックグラウンドなどの区別がつくだけで一般の人には面白いかもしれません。私も素粒子物理を始めた頃は、泡箱写真をみて見た目で軌跡や反応が読めればとそう思いました。天体写真の通が、星空の写真を見ただけで、星座を識別できるような楽しみと共通すると思います。

 ネット公開には多少時間がかかるかもしれませんが、実験室への団体見学の方向けには、比較的早めに公開できるのではないかと思います。ただ今期の運転は、加速器調整の時間が長いので、実況中継がある程度できるのか不明です。

 団体見学は高校生、大学生が大半ですが、私個人的には、近隣の企業や地域団体、有志連合企画でももっと来ていただければと思います。
2018-04-30 Mon 06:30 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>宇宙線、衝突イベント、ビームバックグラウンドなどの区別がつくだけで一般の人には面白いかもしれません。
 今回のニコニコ番組では衝突本番がいつなのかわからない状況の中で、各検出器の紹介に加えて、イベントディスプレイやビームステイタスの読み方を毎日解説してくれていました。私も同じ話を繰り返し聞く中で、日ごとに理解が深まるのを感じました。このニコ生を見続けた方々の中には同じような方が大勢いただろうと想像します。Belle実験の時にはB-Labという一般人参加型の解析プログラムがありましたが、あそこまで深く付き合いたいわけではないけど、チラ見はしたいという私のような加速器ファンには、イベントディスプレイやビームステイタスをリアルタイムで観られるというのはかなり楽しい体験になります。将来的に、家庭からでもチラ見ができるようになるのを楽しみにしています。
2018-04-30 Mon 08:56 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>チラ見
 ここでイベントディスプレイの効用というのを議論しておくと面白いかもしれません。衝突実験の初期の頃、1970~80年代は、専門家もイベントディスプレイを見て目を養うということをしていたと思います。泡箱実験時代には、「アイスキャン」という人力による判断が客観的解析にはいっていた名残もあったでしょう。

 でも、現在では、イベントディスプレイは中継し、実験の進行をモニタし、皆で楽しく見たりするものの、それを使って、物理の解析をすることもなければ、先生が学生に、先輩が後輩に、正課として見方を厳密に伝授することはありません。でも、若い学生は興味があるでしょうから、いっしょに見ながら、先輩に質問を連発することは当然あるでしょうね。B-Labも現代の物理解析に近く、イベントディスプレイを全体に漫然と見るというよりは(そういうのを最初を少しやりますが、それが最後まで重要なわけではなく)、詳細を数値的に解析して1次元ヒストグラム化するところに重点が置かれています。戦略で言う「大局観」と「局地戦」の違いに似ているかもしれません。イベントディスプレイは大局観です。AIがなかった頃は、大局観の自動解析では、パラメータ化にいろいろと工夫がされました。大局観は、人間でも教育で簡単に習得できることはありませんね。

 さて、一般の人にこのようなイベントディスプレイをどう楽しんでもらうかですが、もちろん、漫然と見たい人はただただぼーっと見ていただく、多少なりとも目を肥やしたい方には横から音声でスポーツ的実況解説を入れるというのが理想であることは間違いないと思いますが、なかなか時間的制約により後者はできません。これだけで、数時間はかかるように思います。野球だって、ルールをある程度理解して楽しむには、数試合10時間以上はかかるでしょう。

 私は、見学に来た人にこういう説明をしたいしたいと思っています。加速器実験データを長く解析してきたというのが自分の専門になっているということもあります。でも、見学時間の制約により、せいぜい1分くらいしか割けないのが残念です。イベントディスプレイで目を肥やすというのは、大局観ですから、最低でも3時間程度の暇人向けイベントディスプレイ鑑賞講座というのを、おそらくは、高校生ではなく、大学生~大人を対象にやるべきなんだと思います。そこまでの需要はありますでしょうか。
2018-05-01 Tue 05:52 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>イベントディスプレイ〜いっしょに見ながら、先輩に質問を連発する
>横から音声でスポーツ的実況解説を入れるというのが理想
 今回のニコ生中継では、これに似たことが行われたと感じます。しょーたくんも質問のごく一部を拾っただけですし、実況中継と言っても録画されたイベントの再生画像を見ながらの解説ですから、S.Uさんが書かれているレベルではないですが、一般の人の興味を喚起する効果はあったと思います。

>見学時間の制約により、せいぜい1分くらいしか割けないのが残念です。
 一般の見学に来られている方々にイベントディスプレイ解読法の説明していたらさわりだけでも1分ではムリですね。かといって、「イベントディスプレイ・アイスキャン講座(鑑賞講座)」を別枠で設けても、それほど需要があるとは思えません。おそらくそういう知識を希望する方はその先のB-Lab的なことをやりたいのではないかと思うからです。やはりここは、「イベントディスプレイ・アイスキャン講座(鑑賞講座)」はネット公開を目指していただくのがよろしいかと思います。そこで人が育てば、あとはニコ生のように画像垂れ流しをしておいていただくだけで、視聴者が自主的にコメントを入れながら加速器実験を観望するという、新たな時代が来るでしょう。
2018-05-01 Tue 11:42 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
 ご提案ありがとうございます。参考になりました。
 
 Eテレ講座番組、あるいは、ビデオ講座のようなものが、作りやすくて、運用もしやすいでしょうね。それ以外の方法は、受講者の年齢やレベルを仮定しないとやりにくいように思います。B-Labのようなのは、高校生とか大学2年生とか対象が決まっているから講義が出来るわけで、中学生から大人まで混じっているのを一つの教材でやろうとすると、苦労多くして成功するかわからないということになると思います。
2018-05-01 Tue 20:00 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
手の込んだものや対象を想定し過ぎたものは、きっと後の維持に手間がかかって、苦労多くして成功するかわからないと思います。今回しょーたくんも紹介していた高校生だか大学生だかが作った加速器愛の感じられる「Belle2実験解説シリーズ」(https://goo.gl/h6sHFc)くらいのレベルで提供してもらえると良いのではないかと感じます。
2018-05-01 Tue 21:17 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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