
『天使で大地はいっぱいだ』 後藤竜二 作 市川楨男 絵
講談社 1967年 480円
この本のことはどこかで書いたと思っていたが、なかった様なので書いておきたい。世界の名作文学以外の新作として読んで心に深く残った(いまも残っている)、自分にとっての小説との最初の出会いの記念すべき1冊だ。今読み返すと、サリンジャーの小説みたいな文体(と言っても野崎孝翻訳の文体だが)なのは、本書が書かれたのがそんな時代だったからだろうか。
こういう爽やかで純情な物語がまだリアリティを持って受け入れられた時代に育ったこと、いまや遠い彼方へ飛び去って行った時間、そんなことを改めて感じる。