33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
宇宙空間で超高エネルギー電子を捕獲・識別
2017-11-09 Thu 00:00
・早稲田大学:国際宇宙ステーション搭載の宇宙線電子望遠鏡(CALET) 宇宙からの直接観測で3テラ電子ボルトまでの高精度電子識別に初めて成功
 宇宙空間でも高精度で高エネルギー宇宙線を捕まえられるようになったということで、地上よりも高頻度で事象を捉えられる宇宙空間のアドアンテージは地上観測への刺激にもなるだろうか。
1711081.jpg 「高エネルギーの宇宙線がどこからきてどのように加速されたのか(=高いエネルギーを得たのか)は、まだ充分にはわかっておらず〜」とあるが、自分の卒業研究の時に輪講に使ったテキスト、小田稔著『宇宙線[改訂版]』裳華房(1972)の最初の頁にも「宇宙線が宇宙のどこでつくられ、どのようにして高いエネルギーを獲得したのかというastrophysicalな問題〜長い間ほとんど憶測の域を脱しなかった」と同じようなことが書かれていた。あれから45年が経ったのだが。
別窓 | 宇宙と物理ネタ | コメント:6
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この記事のコメント
>宇宙空間のアドアンテージは地上観測への刺激
 宇宙空間での最大のアドバンテージは、1次宇宙線が粒子か反粒子かを識別できるところですよね。地上観測では、超高エネルギーの場合は、実用的な識別能力がまったく得られないのでどうしようもありません。いっぽう、地上のアドバンテージは、観測装置の数を大量生産で増やせることです。宇宙は、装置をたくさん作っても地球軌道に持っていって置くのがたいへんです。なんかうまく棲み分けているように思います。
 
 粒子と反粒子の区別は、ダークマター探索については重要ですが(ダークマターは粒子生成にも反粒子生成にも平等に作用するから)、超高エネルギー宇宙線の加速機構については、わざわざ数の少ない反粒子を使う必要はなく、陽子の加速現場を観測すればよいのだと思います。ただし、陽子そのものは銀河磁場中で曲がって方向の情報が失われてしまうので、光子又はニュートリノで陽子加速の場所を観測せねばなりません。

 光子(ガンマ線)観測は宇宙、地上とも継続的に進歩していますので、今後は、地上観測のアドバンテージ最大のニュートリノ観測装置を大きくすることがこの方面に重要であると思います。(で、その前に最近のガンマ線観測で、陽子の加速機構について何がわかったかまとめて学習しておく必要がありますね)
2017-11-09 Thu 07:25 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>地上観測のアドバンテージ最大のニュートリノ観測装置を大きくすること
 明日紹介するネタなのですが、まさにその方向を示しているのがこれですね。
http://www.nnso.jp/news/20171108.html
2017-11-09 Thu 09:18 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
おぉ、これはハイパーカミオカンデ推進の枠組みの設立ですね。

 この分野では、南極のIceCubeが先行しましたので、その分かりやすそうな解説資料をご紹介します。

http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/~tmorokuma/research/WS/201702KOOLSTomoe/material/YTanaka.pdf 

ブレーザーというのは何なのでしょうね。ガンマ線バーストとは違う活動銀河の一種なのでしょうか。また、教えて下さい。
2017-11-09 Thu 10:09 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>IceCube
 南極の氷の下でもこんなことをやっているのですね。IceCubeのdetectorはどのようなものなのでしょう。

>ブレーザー
 クエーサーを正面から見ている様な天体などと書かれていますね。
2017-11-10 Fri 22:18 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>IceCubeのdetector
 簡単に言えば、カミオカンデの水タンクが南極の氷で置き換わったようなものです。

南極氷の利点: 横穴や地下設備の必要がなく、ボーリングの穴にケーブルでつり下げるだけで光電子増倍管(PMT)設置できるので、安価。拡大も容易。

欠点:純水よりは透明度が劣り、PMTの密度も上げられないので、光量が稼げず、高エネルギーの宇宙線しか捕らえられない。

 高エネルギーのニュートリノに限れば、ハイパーカミオカンデにも負けることはないと思います。展開体積約1立方キロですから、おそらく世界最大の測定器ではないかと思います。

>ブレーザー
 クエーサーの一種なのですね。
 活動天体からの高エネルギーニュートリノで、もっとも観測強度が強く最初に観測できるのは何か、銀河系内パルサーか銀河系中心か、それとも名の知られたクエーサーとか活動銀河か、それともさらに遠くの名もない銀河か という質問があったのですが、最後の選択肢が答えだったようです。
2017-11-11 Sat 06:57 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>高エネルギーのニュートリノに限れば、ハイパーカミオカンデにも負けることはないと思います。
 みなさんお互いの隙間を狙って工夫していますね。

>ブレーザー
 クエーサーを正面から見ている様な天体ならそのままそう言ってくれた方がいいように思いますが、それを頻繁に使う人には代わりの短い名前が必要ってことですね。
2017-11-11 Sat 20:42 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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