33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
日本から優れた発明を出させないための素晴らしい法律
2015-07-05 Sun 00:00
・中村祐輔:長期の日本出張で感じたこと
 「「自分の研究費がどうなるのか」と困っている声を多数耳にした。しかし、日本の医療や医学研究の将来を語る声は、ほとんど聞かれなかった。あいかわらず、研究分野間で、お互いにパイを取り合って非難している姿は寂しいものだ。」STAP事件は日本の研究者社会の今を象徴する事件なんだと思う。「若い人たちには、もっと大きな視点で物事を考えてほしいと願ってやまない。」もはや日本社会にはそういう人を育てる力も引き止める力もないでしょう。

・社員の発明が会社の物に!改正特許法が成立!個人の開発意欲低下を招く恐れも・・・
 日本から今後優れた発明が出ないようにするには有効な法律だな。
別窓 | 大震災・原発・社会 | コメント:9
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この記事のコメント
>そういう人を育てる力も引き止める力もない
 プロアマを問わず研究者も文科省の役人も政治家も、研究は人間がやるものだから、研究者の育成とよい研究環境の維持が大切だと言っています。しかし、政府のやっていることは、これと逆で、金で締め上げて若い研究者の有期雇用を延々と続け、続くならまだしも研究者の使い捨てをやっています。シニアのスタッフにもごく短期間(年ごと)の成果で生涯賃金が上下する年俸制を導入しました。また、物件費にも人件費も通常経費は毎年下がり続けています。

 現在行われている手口は、例えば、数年間で、国立大学研究機関の研究費(物件費も人件費も)を総額5%減らす。さらに大学の経常経費は、10~20%減らす。後者の減らした分は、重点大学の目的を決めた研究に回す。これで重点的に研究をしているような格好にはなりますが、なんせ時限的研究なので、中途半端な成果に終わったり、若い研究者の使い捨てに終わったりします。また、総額を減らしながらいかにも真面目に考えているように見えるタチの悪い精度です。また減らした総額の5%は政治的ハコモノ行政に回しているようです。

 私は最近、若い人たちに大学や国立研究機関のプロの研究者になるよう勧めることをやめました。私だけではないらしく他の先生方からもそういう声をほとんど聞かなくなりました。科学研究の普及はしますし、研究者への道を既に歩んでいる方のサポートは喜んでしますが、一般に皆さんプロの研究者を目指しましょうとは、とても言えない状況です。悲しいことです。国民の方々にこの国の研究が今後どうなるのか危機感を持って監視していただきたいと思います。

 では、外国へ行って研究すればよいではないかと言われるでしょうが、外国も似たようなものでどんどん悪くなっています。いや、昔の日本(といっても今から30年ほど前)が良かったので、今でも日本のほうが外国よりマシかもしれません。ただ国の教育支出は、昔も今も日本が突出して低いです。
http://synodos-jp.check-sixcore.jp/wp/wp-content/uploads/2013/03/61f0cff5.jpg
2015-07-05 Sun 05:35 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
S.Uさん

近年の研究者を取り巻く状況の悪化について、40年近く研究業界にあって、この間の変化を肌身に感じてこられたS.Uさんならではのわかりやすい解説をありがとうございます。自分の学生時代には研究職は憧れの的でしたが、大きく変わってしまったようです。

>一般に皆さんプロの研究者を目指しましょうとは、とても言えない状況です。悲しいことです。国民の方々にこの国の研究が今後どうなるのか危機感を持って監視していただきたいと思います。
 大きな夢と野心を持った若者を研究業界へ心から誘致できないとは悲しいことです。研究業界の将来というよりも科学技術で立国を目指す日本の将来は暗いですね。

>外国も似たようなものでどんどん悪くなっています。
 そうですか、残るも地獄、出るも地獄ですね。
2015-07-06 Mon 22:57 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
もちろん、科学の研究は面白いしやりがいはあるので、その点はお勧めです。しかし、現状は、研究者がそれに閉じ籠もってしまったのが責任(敗因)とも言えると思います。自分の研究さえ面白ければよい、自分のところに研究予算を持ってくればよい、ということで、内部談合ばかりで外に向けて主張をしなかったら、どんどんその行動範囲が外の権力から制限されていくのが当たり前と思います。自分たちは社会に役に立つことをやっているんだと(少々自信が乏しくても)、広い社会に主張することが必要だと思います。残念ながら、それほどの強い主張をできるだけの人物が、業界トップにいないので、我々サンピンで頑張るしかないでしょう。

 日本が海外よりましなら、そこに状況打破の手がかりがあるかもしれません。また考えてみます。
2015-07-07 Tue 07:36 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>自分の研究さえ面白ければよい、〜ということで、〜外に向けて主張をしなかったら、どんどんその行動範囲が外の権力から制限されていくのが当たり前と思います。
 学生時代、飲み屋で普通のおじさんたちと話をする中でも物理の面白さを語ってしまう場面があって、それが俺たちにどういう役に立つの?という問い返しをされることもしばしばでした。科学(その他の学問でも)を追求するときにはそういう世間の思惑から離れているのが真摯な態度と思う一方で、社会との関わりを絶ったところに成り立つ思想というものは非力なのではないだろうか、ということも感じていました。

>日本が海外よりましなら、そこに状況打破の手がかりがあるかもしれません。また考えてみます。
 科学分野にとどまらない未来への手がかりがあるかもしれません。
2015-07-07 Tue 09:51 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>俺たちにどういう役に立つの?
 学問には、文系・理系含めていわゆる「役に立つ」学問とそうでない学問がありますが、その境界はあやふやですね。物理は、かなり役に立つ学問のほうです。力学、物質、材料、電気、電子、原子力(商業用原発の安全性はまだまだ不足ですが)、放射線、各種測定技術など信じられないほど役に立っています。

 でも、私は、そのような境界があるにしても、「役に立つ」学問とそうでない学問に垣根を作って扱いに差をつけるという発想は間違っていると思います。役に立たないものが役に立つようになったり、役に立つ側をアシストしたりすることは十分考えられるからです。
 こういうことを研究者は結束して社会に発信しなければならないと思います。それをせずに「私の研究は役に立ちます」と勝手な宣伝だけして研究費さえもらえばあとは知らん顔、こういうのが敗因ですね。
2015-07-07 Tue 12:24 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>学問には、文系・理系含めていわゆる「役に立つ」学問とそうでない学問がありますが〜
 やはりありますかね。いかにもすぐに役立ちそうな学問ではなくても、たいていの学問は個人や社旗の枠組みを構成する何かに役立っているように感じられます。

>役に立つ」学問とそうでない学問に垣根を作って扱いに差をつけるという発想は間違っていると思います。役に立たないものが役に立つようになったり、役に立つ側をアシストしたりすることは十分考えられるからです。
 科学(に限りませんが)、初めはどのように役に立つのか見当もつかなかったものが大いに役に立っているなんてことは枚挙に暇がありません。

>「私の研究は役に立ちます」と勝手な宣伝だけして研究費さえもらえばあとは知らん顔、こういうのが敗因ですね。
 今の日本で生き残っている主流のように感じますが、長期的に見るとそのままでは生き残れないでしょうね。
2015-07-07 Tue 14:29 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>いかにもすぐに役立ちそうな学問ではなくても、たいていの学問は

 私から見るとあります。文系の○○史の枝葉末節と思われるようなところの研究や、ぜんぜん予言能力のない研究、理科系でもあまりリアリスティックでないシミュレーション研究や遊び半分のようなプロジェクトなど、そんなところに研究費や給料を回すのならこちらに回してくれよと思うようなことはけっこうあります。でも、そこは足の引っ張り合いは禁物で、口には出さずぐっと我慢です。

>生き残っている主流のように
 そうです。主流ですね。今のところは良いかもしれませんが、自分の足を食ってるタコのようなものです。人物が小さいなりに研究者が連合して訴えればよいのですが、そういう知恵がぜんぜんないのが情けないです。
2015-07-07 Tue 17:39 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>私から見るとあります。〜でも、そこは足の引っ張り合いは禁物で、口には出さずぐっと我慢です。
 なるほど、素人レベル以下の研究とかもありそうですね。

>自分の足を食ってるタコのようなものです。
 巧いなぁ。いや、本当に旨いのか?
2015-07-07 Tue 19:26 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>素人レベル以下の研究とか
 そういうのがあったら、その学問分野自体を批判するのはぐっと我慢するとしても、その研究学会を堂々と批判するのはいっこうにかまわないでしょうね。このへんの仕切は感情的にも微妙なところがあります。

 学問ではないのですが、スポーツ(オリンピック)だったら似たような例があります。選手個人がオリンピックを目指してがんばったり、東京都が50年に1回くらい誘致をするのはけっこうなことだと思うのですが、国の予算で突出した額の競技場を作ったり、国の主導でトップ選手を養成したりすることまでは、日本はやる必要がないのではないかと思います。通常の支援でできる範囲でほどほどでよいのではないでしょうか。余分のお金があるなら、学校の設備や保健体育の研究に回せばよいと思います。これは、我慢せずに書いてしまいました。
2015-07-08 Wed 07:27 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
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