2014-02-07 Fri 00:00
1月27日早朝に古山茂さんが8.7等でいて座に発見したPNV J18250860-2236024だが、いまだに新星とは認められていない。超低空のため分光観測をしてくれそうな大きな望遠鏡がなかなかそちらへ向けられないかららしい。meinekoさんがそのあたりの事情について書いていた。
→新星の分光確認 新天体の発見情報や認定とかに関係する組織のことなどよくわからないが、meinekoさんがそれについても、一介のアマチュアの妄言との断り書き付きで、書いてくれている。 →新天体 ![]() [図はいるか座新星V339の極大時のHαのP-Cygプロファイル 日本変光星研究会・VSOLJ(日本変光星観測者連盟)『いるか座新星観測キャンペーン報告書』より] |
「新星として認められる」というのは、物理学的には理解できるのですが、制度の形式としてはどういうことになるのでしょうか。
Wikipediaの「新星」には、 >新星が発見されると、まず Nova Scorpii 2007(Nova Sco 2007、さそり座2007年新星)のような名称が付けられる。新星として確定すると、変光星として V1280 Scorpii(V1280 Sco、さそり座V1280)のような名前が付けられる。数字はその星座で発見された変光星の通し番号である。 と書かれています。これは、一昔前には確かにこの通りなのですが、考えてみると変ですよね。「新星」として確定する前は「新星」と呼ばれ、確定すると変光星一般の名称をもらう、これはたいへんわかりにくいことです。 で、現在は、確定するまでは、「PNV」(Possible nova?)なのでしょうが、確定するとやはり変光星一般の名称がつくだけなのでしょうか? 新星として認定されようがされまいが変光星なのですから、はじめから "Vxxx Sgr"とつけておけば良いと思います。 関連して、meinekoさんが天文学と物理学の違いについて書かれているのを興味深く拝見しました。私も概ね同じように思います。 天文学では、新天体の発見については、かつてはCBATあたりで比較的いいかげんな(よく言えば融通の利く)認定がされていましたが、それでは不十分ということで最近より厳密な基準が決められました。いっぽう、物理学のほうはそういう認定のセンスはなく(そもそも新現象やヒッグス粒子の発見を見てもわかるように、物理学ではどこかが認定するのではなく、データの積み重ねで全体集団として徐々に認められていくのが主流なので)、新たな物は現象論的に暫定的な名前をつけておけばよく、あとはデータを集めることが大事で、正体の決着を急ぐことはない、ということだと思います。これも妄言としてうけとっていただいてけっこうです。 さらにいうと、天文学の立場は「データを集めて統計的処理をする」ことに重点が置かれており、物理学の立場は「典型的な現象と特異な現象を峻別する」ことに重点が置かれていることが、このような違いを生んでいる主要な理由だと思います。
2014-02-07 Fri 06:21 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>新星として認定されようがされまいが変光星
「PNV」というのはその他の紛らわしい天体との峻別をしている段階の仮符号だと思うので、既知の天体でないことが分かったらさっさと変光星名をつけてくれたら良いのですが、既知の天体でないと確定するのに分光観測がどうしても必要なのでしょうか?あ、発見者側からするとまどろこしく感じますが、新星と確定するには手っ取り早いと言うことかも。 >新たな物は現象論的に暫定的な名前をつけておけばよく ヒッグス粒子である確率98%といわれれば、データをもう少し増やしてねとなります。TOCPに載って確認観測が追加される段階で新星である可能性は90%以上になって分光観測が追加されて98%以上になって、認定されて100%になる?これは発見者の安心度の%であってちっとも科学的ではないですね。 なにはともあれ西はりま天文台のなゆた望遠鏡が分光観測をしてくれたので大きく前進したと言えるでしょう。
2014-02-09 Sun 16:18 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>既知の天体でないと確定するのに分光観測がどうしても必要
少なくとも小惑星ではないことは確認したいでしょうが、12等前後ともなれば、小惑星は予報をあたればすぐにわかるでしょうし、新しい小惑星なら特異小惑星で動きが速そうだし、「PNV」が付くまでに確実に見破れそうに思います。 変光星のほかに紛らわしい天体がありますかね? 超新星、ガンマ線バースト、クエーサー? これらもひとまずは変光星でいいと思いますがね。 >安心度の% 統計的な「信頼度」のパーセンテージを確認するには、「多数統計的」なアプローチがあり、かつて「98%確実」と言われた事実を多く集めて、経験的に本当にそうだったのかを決着がついた時点で判定することができます。ただしこのためには、少なくとも数百の事例を集める必要があります。また、99.9%を確認するためには1万個近い事例が必要です。 実際にこれだけの事例を集めるのは、労力が多く割りにあわないので、シミュレーションでいろいろな事態を勘案して信頼度を決めます。これだったら、(結果の信頼性はさておいて) 一見、科学計算に載らないような「信頼性」でも定量的に推定することが可能です。
2014-02-10 Mon 06:28 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
分光観測がアマチュア望遠鏡でも手軽にできる様になればおもしろそうです。ただいま変光星MLでもStarAnalyzer100が話題になっています。
http://www.rspec-astro.com/star-analyser/
2014-02-12 Wed 13:29 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
|
|
||
管理者だけに閲覧 | ||
|
| 霞ヶ浦天体観測隊 |
|
FC2カウンター