33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
アイソン体勢解除
2013-12-15 Sun 00:00
やまのんさんの記事「アイは見えず」によると、12/09鹿角平天文台では写らず、ケベック天文台でも写っていない記事(12/10)を紹介してくれている。先にS.Uさんからコメントでお知らせいただいたスペインのGonzálezさんの報告では12/07に眼視7.2等で見えているとのことだったが、その後、同じスペインでのCernyさんの報告では、12/07に7.6等、12/09に9.6等、12/10に9.9等となっている。ここまで急激に暗くなると霞ヶ浦で180mm程度の望遠で写すのは厳しいだろう。どうやら諦め時のようだ。早朝の霞ヶ浦出張観測は止めにして、これでアイソン体勢を解除することにした。

AstroArts:明かされゆくアイソン彗星の正体 まずは大きさと組成
 直径数キロメートルと考えられていたのが実は数百メートルほどしかなかったらしいが、大きさの見積もりをどこで誤ったのかを知りたいものだ。発見直後の見積もりを修正する機会は無かったのだろうか。
 近日点で崩壊してしまったため大彗星としてのアイソン彗星の姿を眺める事が出来なくなりアマチュアレベルではガッカリなのだが、太陽系誕生に関わる情報を出し惜しみせず全部ぶちまけてくれたわけで、研究レベルではここからが楽しみといったところだろう。

今夜はふたご座流星群極大直後。忘年会から帰宅しヨメさんと暫し空を眺める。近隣の工場も今夜は完全消灯にしてくれている。ありがとう。10分で3個だから月明かりの割には大量だ。
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この記事のコメント
>アイソン彗星~直径数キロメートル
 これが、本当に確実な観測だったのか気になったので、かつてのNASAの発表を見ました。

(2013年4月23日のハッブル望遠鏡の観測報告)
http://www.nasa.gov/mission_pages/hubble/science/ison-view.html#.UqzLUeIqvSg

これの本文の第2段落の"Preliminary measurements from the Hubble images ... on November 28." を訳してみますと、

「ハッブル望遠鏡の画像による予備的な測定によって、アイソン彗星の核は、差し渡し3~4マイル以下であることが示唆されている。研究者は、この大きさの推定は、この彗星のこれまでの活発な活動を考えると、著しく小さいと言っている。11月28日に沸き立つ太陽表面から70万マイルのところを通る時の彗星の活動を予想するために、天文学者達はこれらの画像を使って彗星の活動度を測り、核の大きさに制限をつけようとしている。」

 とよく見ると、少なくとも4月の段階で、NASAが言っているのは、サイズは「4.8~6.4km以下」であり、「活動度のわりには核の小さい彗星だ」ということです。また、核直径をちゃんと計ることを意図しておらず、せいぜい上限を求めることしか期待していません。このようなニュースを広めていく上で、どこかで意味が曲解されたのかもしれません。意図的なのか読み違いなのかはわかりませんが。

 上のNASAの発表から、「アイソン彗星は活動がとても活発」と言うのは正しいと思います。でも、「巨大彗星アイソンの直径は数km...」という類の表現は明らかに誇張が過ぎているというか読み間違いに近いと思います。科学者の言う「~以下」というのは文字通りの上限値で、それも不確定さに対して余裕を持って大きめに設定するのが普通で、「3~4マイル以下」と言われた時は、3マイルである場合よりも3マイルよりもずっと小さい場合のほうが多いものです。

>ふたご座流星群
 昨夜も再挑戦し、合計数分の撮影時間中に1個写すことが出来ました。同じ流星を肉眼でも見ました。月明で青空色の画面になってしまいました。私はふたご座群とはこれまで相性が悪く、写真に写せたのはたぶん生涯2度目くらいです。
2013-12-15 Sun 06:48 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>誇張が過ぎているというか読み間違いに近い

その読み違いが、知識の無さによるものなのか、意図されたものなのか、とくに相反する予測が出始めた春以降は胡散臭さを感じながら過ごして来ました。

>ふたご座群とはこれまで相性が悪く、写真に写せたのはたぶん生涯2度目くらい

ふたご群は最も撮りやすそうに感じますが、相性と言うのはそのようなものでしょう。
条件最悪と言われながらも月が沈んだ後けっこうとんだらしいです。私は今期はアルコール漬けのため、体力温存を計りハードな星見は控えています(寒がっているだけとも)。
2013-12-16 Mon 23:42 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>知識の無さによるものなのか、意図されたものなのか

 日本語の語感に関することなのですが、「大彗星」と言われれば、光度が1等級であるとか尾が10度以上伸びるかとかの見かけ上の特性で納得がいきますが、「巨大彗星」というからには「カラ元気」でダテに明るいだけではだめで、核がハレー彗星程度の10kmくらい以上あるとか、太陽からほどほどの距離でも肉眼で見える(絶対等級が5等よりも有意に明るい)とかという条件が必要のように感じます。科学的な語感としてはそうだと思うのですが、日本人全般の感じ方としてどうでしょうか。一般的にも「巨大な物体」というのはやはり絶対的なサイズがデーンと大きくないとだめで、「目の前の小石が巨大である」とか「祭壇のロウソクの炎が巨大」というのは、文学的修飾としてはあり得ても、客観的記述としては成立しないと思います。

 その意味ではアイソン彗星は太陽に近づいて「大彗星」になることはあっても、そもそも巨大彗星ではないことは発見当初からほぼ明白であったと思います。そういう彗星の特性の詳しい状況を知っている科学研究者が、アイソン彗星を「巨大彗星」と呼んで本を書き、テレビ特番を監修し、宣伝したのは、意図的なのかどうかは知りませんが、言語感覚の欠如であり、そのへんに胡散臭さがつきまとうのでしょう。

 これは個人攻撃ではなく(必要なら個別の事例について問題提起もするべきでしょうが)、専門家による天文普及活動のやりかたの議論として取り上げさせていただきました。ちゃんとした表現をしないと、世界の天文研究者全体の信用に関わる問題になってしまいますし、現にそうなっていることを深刻に考えるべきであると思います。
2013-12-19 Thu 06:54 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>一般的にも「巨大な物体」というのはやはり絶対的なサイズがデーンと大きくないとだめで〜
>アイソン彗星は太陽に近づいて「大彗星」になることはあっても、そもそも巨大彗星ではないことは発見当初からほぼ明白であったと思います。

すごく分かりやすい説明だと思います。

>ちゃんとした表現をしないと、世界の天文研究者全体の信用に関わる問題になってしまいますし、現にそうなっていることを深刻に考えるべき

マスコミを通じて彗星やその他の星々に興味を感じて私へも質問をしてくれる人が増えました。その度に、専門家でも完全な予測はまだ出来ないからあまり期待しすぎないでねと、なんだか火の勢いを押さえ回っていた様な感じでした。
2013-12-19 Thu 10:11 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>火の勢いを押さえ回っていた
 アイソン彗星は、予想がもっとも難しい類の彗星でしたよね。核の大きさはたぶん中くらいだけどよくわからない、太陽に近づいて初めて明るくなる、太陽に近づくのはおそらく初めてで早くから活動が活発。

 「巨大彗星」といって問題ない春のパンスターズ彗星とか、実績のあるクロイツ群の2011年のラブジョイ彗星、に比べるとずっと難しかったです。彗星の天文学の普及のためには、このようなタイプ別と合わせて予想を出していただくと良いのではないかと思います。
2013-12-20 Fri 07:52 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>アイソン彗星は、予想がもっとも難しい類の彗星でしたよね。

彗星予測の難しさはどれにでも当てはまるでしょうが、「アイソン彗星は、予想がもっとも難しい類」という部分はあまり強調されていなかった様に感じます。この難しさは接近途中から分かっていたことなのであれば、やはり解説の方法が的を得ていたかの反省は必要に思われます。
2013-12-20 Fri 08:11 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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