2013-09-28 Sat 00:00
9月17日の記事にアップしたアイソン彗星の写真についての考察。
2分のガイドで大きく流れたのは赤道儀のバランスが崩れたからだろうと書いたのだが、ほんとうだろうか。写真は上下が北南、左右が東西なので、流れているのは東西方向ではなく、地上に対して上下方向になっている。 ![]() 写真の方向の超低空では写野の中に電線や高圧線が入ってしまうため、それによる回折現象で光が上下に散乱しているのではないかと最初は推測したが、余程望遠鏡の直前に物体が無い限り回折は起きないだろうとの指摘をいただいた。確かに、南西方向の超低空には問題になる様な高圧線が無いにもかかわらず、やはり上下方向へ流れた写真が多い。ということで、電線による回折ではなさそうだ。 大気差ではないかというご指摘があったのでそれについて考えてみた。 『天文年鑑』によると5度のときの大気差は9'53"、6度で8'29"だから、真の高度と9'53"のズレを持ったまま2分間追尾するとズレは8'29"へ狭まるのでその差9'53"-8'29"=1'24"の上下方向の光跡として写る。ただ、5度から6度までは上昇せずその40%くらいと考えられるので、1'24"x0.4=34″程度というのが大雑把な理論値だ。 写真は20cmシュミカセ(D=203mm、f=1260mm)で撮ったものをトリミングしてあるが、原板では横方向は230mmで約1度、光跡は3mmなので角度にして約48"となり、理論値と実測値がオーダーで合っている。 これまで星像が流れるのはバランス崩れとばかり思っていたが、東西方向の高度20度以下の低空で上下方向へ流れる場合はどうやら大気差が原因のようだ。この対策には、オートガイドか自動追尾+ガイド鏡による微調整しかないようだ。 |
大気差との結論に感激です
大気密度の差による屈折率の変化は眼視では屈折後の光をみており、屈折に関してはあまり話題にせず、低空であれば普通シーイングを主に気にしています。
今回の”流れる光跡”も眼視であれば一点の光であったでしょうが、大気屈折によっての光跡をカメラで捕らえたのを見るのは初めてでしたので感激です。 赤道儀のバランス崩れから、一歩進めて様々な考察の最後に大気にたどり着いた着想力にも感服です。 >眼視では屈折後の光をみており、屈折に関してはあまり話題にせず〜
本当にそう、眼視では問題にならないです。地平線下で本来見え無いはずの星が見えてしまって困った!って、そんな苦情まず言わないですよね。 南方向でもあり得るのですが、東西方向で数分以上の露出の写真を撮る時に特に顕在化する問題、、、奥が深く面白いです。 >着想力にも感服です。 私は凡庸ですが、友人に恵まれているのです。 日曜日の夜、久しぶりに桜堤に行ってました。時間が無かったのでご連絡しませんでしたが、いつか時間の都合が付きそうでしたら事前にお知らせします。
2013-09-30 Mon 21:21 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>電線や高圧線~それによる回折現象
これを確認するべく、避雷針による恒星の掩蔽を観測してみました。避雷針は100mくらい離れたビルの屋上にあって、太さはどんなものか知りませんが、10cmくらいでしょう。望遠鏡でピントを合わせて見ると、数’(角度の数分)くらいに見えます。望遠鏡の口径は20cmで、星は多少暗くなる程度で皆既にはなりませんでしたので、避雷針の太さは20cmよりはだいぶ細いのでしょう。 さて、望遠鏡の口径より小さい遮蔽が、望遠鏡から離れたところにあると回折像がでるかどうかということですが、結論は眼視で見えるほどのものは出ませんでした。利用したのは、みなみのうお座γ星とδ星で、4等星です。 まあ、望遠鏡の口径より細い遠くの電線では、回折像は出ないと考えて良いと思います。望遠鏡の口径より大きい障害物はわかりません。私の経験では、近くだとけっこう出ます。どなたか計算して下さい。
2013-10-11 Fri 20:00 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
確認をありがとうございます。
おかげで電線による回折は却下できそうで、大気差の線で決まりのようです。
2013-10-11 Fri 20:17 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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