33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
オオヒシクイの本
2012-04-16 Mon 00:00
ふと思い立って稲敷市の稲波干拓へオオヒシクイを見に行ったのは3月6日でその日は過去最大越冬数の87羽全羽が田圃に集まって餌を食っていた。そして、その翌日に79羽が北帰開始、5日後には残りの8羽も北帰して行った。この冬は国内最大のオオヒシクイ越冬地である新潟県豊栄の福島潟の越冬数も過去最大と、越冬ラッシュだったようだが、この秋にどのくらいここ稲波へ戻って来てくれるものか、今期はことのほか気にかかる。

1203182.jpgそれで、ちょっとオオヒシクイのことを知りたくて本を探してみたのだが、鳥類図鑑以外にはあまり無いことが分かった。地元の図書室ですぐに手に入ったのは以下の3冊だ。

『オオヒシクイの裁判が始まった』 坂元雅行著 アリス館 2000年 1400円
 関東地方はかつて国内最大のガンの越冬地だったが、1965年頃から激減して、今や江戸崎(霞ヶ浦南岸小野川河口)の越冬地は関東地方で唯一残されたガンの群れとなってしまった。そこへもってきて越冬地が圏央道建設予定ルートに掛かることが判明。国も県も江戸崎のオオヒシクイが天然記念物であることを知っていながらしらばっくれて計画を通す魂胆だったのがバレてしまう。著者は弁護士として江戸崎のオオヒシクイから委託を受ける形で「オオヒシクイ自然の権利訴訟」を水戸地裁に起こすことになった。本書の内容はその時点までだが、裁判については以下のようになっている。
 →雁を保護する会【オオヒシクイ自然の権利裁判の行方】

『なぞの渡りを追う』 池内俊雄著 ポプラ社 2004年 950円
 著者も参加した日本とロシアの共同調査でようやくオオヒシクイの繁殖地が夏のカムチャツカにあることが分かって来た。ツンドラに似た湿原で集団で子育てするヒシクイと違い、オオヒシクイはタイガの森を流れる小さな川で家族単位で子育てをしていることも分かって来た。それにしても、この本が出版された時点では「オオヒシクイは野生ではまだ巣とたまごが見つかっていない、なぞの多い鳥」であることに驚く。2012年の今は?

『霞ヶ浦のヒシクイ』 稲敷市・美浦村 2009年
 地元の自治体が作った14頁のリーフレット。オオヒシクイについての解説としてはこれが最も分かり易い。

本州で越冬したオオヒシクイは、一旦北海道へ移動し約1ヶ月滞在した後に、一気にカムチャツカまで飛ぶという。稲波で出会ったあの87羽もすでに異国の地にあるのだろうか?
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