33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
ハイゼンベルクの不確定性原理が修正される
2012-01-17 Tue 00:00
ハイゼンベルクの不確定性原理を破った! 小澤の不等式を実験実証

ここ最近、物理学界は大きなニュースが続いていて、なかなかエキサイティングだ。
1201162.gif数学者の小澤正直・名古屋大学教授が2003年に提唱した「小澤の不等式」はハイゼンベルクの不確定性原理を修正する式で、量子的揺らぎと測定精度の限界や測定の影響を明確に区別することで、これまで量子力学では原理的に不可能とされて来た誤差ゼロの測定が実現できることを示しているという。今回、ウィーン工科大学原子核研究所の長谷川祐司准教授らの実験で「小澤の不等式」が成立している事を実証したということで、今後の教科書では不確定性原理は「小澤の不等式」で表される事になりそうだ。1201163.jpg量子力学の基礎を学んだ程度の自分には、ハイゼンベルクの不等式が退陣することにただただ驚くのみ。日々、量子力学を仕事道具にされているS.Uさんにとっては如何なのだろうか?
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この記事のコメント
>量子力学を仕事道具にされている
 昨夜、2003年の「小澤の不等式」論文(※)を読み始めましたが、眠ってしまいました(笑)。これはなかなかの難物です。今日、いちおう続きを読んでみます。

 この研究は、ハイゼンベルクの研究を拡張した上で厳密化したものと言えますが、私どもの場合は、粒子性なら粒子性、波動性なら波動性と着眼が定まっているためか、ほとんどの場合はハイゼンベルクよりもおおざっぱな議論で十分です。

 おそらく、今回の研究成果は、測定によって対象系に擾乱を与えることが問題になる実験分野(可視光、原子分子、低エネルギーの中性子など)には重要でしょうが、素粒子実験では、量子ゆらぎのサイズが1fm(フェムトメートル)の粒子を1μmの位置精度で測定できれば十分なので、観測に擾乱などへっちゃらですから、気にする人はいないと思います。理論的な考察上の影響を受ける人はいるかもしれません。

(※) http://arxiv.org/abs/quant-ph/0207121 からPDFをダウンロード
2012-01-17 Tue 08:07 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>素粒子実験では、量子ゆらぎのサイズが1fm(フェムトメートル)の粒子を1μmの位置精度で測定できれば十分

そうかそうか、超高速で走っているから粒子の大きさに比べて位置精度は意外なほど大きいのですね。

こうした不確定性が効いて来るのは、少し前に話題にした量子もつれの実験などの場合でしょうかね。
2012-01-17 Tue 15:36 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>粒子の大きさに比べて位置精度は意外なほど大きい
 逆に言うと、1μm以上の精度で、1fm以下の出来事が観察できるわけですから、顕微鏡に喩えるとものすごい拡大倍率です。1兆倍くらいですね。どちらかというと、小さいスケールの現象ほど派手に見えますから倍率ではないですけど(波による現象ですから、回折に近いです)。

 理論のほうの論文を読んでみました。おそらく、量子力学における観測を厳密に考察するとそれが正しいということだと思います。でも、量子力学のストーリーが正しいかどうかはわからないので、厳密性のある理論として確証を得るためには何種類かの実験をする必要がありそうです。まあ、ニールス・ボーア以来続いている「量子力学の不敗伝説」に新たなページがつけ加わるだけなんでしょうが。

>量子もつれの実験などの場合
 確かに、量子もつれは互いに不確定性関係にある物理量の相関を観測するので関連はしていますが、量子もつれのほうは空間的に離れた粒子を測定し、また、離散的な量子数に関しても起こりますので、必ずしも精密な位置観測は必要ありません。似ているが微妙に違う状況の話題だと思います。
2012-01-17 Tue 19:07 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>顕微鏡に喩えると~1兆倍くらい

加速器は顕微鏡と言えば顕微鏡ですからね。倍率1兆倍ですか。

>「量子力学の不敗伝説」に新たなページがつけ加わるだけなんでしょうが

私のこの記事の最初に「物理学界は大きなニュースが続いていて」と書きましたが、この「小澤の不等式」は量子力学の土台を揺るがすものではない(むしろ土台の堅牢さを示すことになる)ということですね。

>量子もつれのほうは~必ずしも精密な位置観測は必要ありません。似ているが微妙に違う状況の話題だと思います。

そうか、これについては理解が全く及んでいませんで、知ったかぶりで書いてしまいました。
2012-01-17 Tue 20:16 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>むしろ土台の堅牢さを示すことになる
量子力学を正直に厳密に考慮すればこうなる、という論文のように感じました。その正直さがオーソドックスなものなのかあるいは勇み足なのかは私にはわかりません。

>理解が全く及んでいませんで
 いえいえ、私も似たようなもので、こんな難問を一般化できるほどの知識はありません。
実験のほうの論文(※)も読みました。実は中性子のスピン(離散量!)を扱っていて位置の精密測定ではありません。案外、かすてんさんのおっしゃる「量子もつれ」に近い状況かもしれません。が、1個ずつの独立の中性子を多数測定しています。

(※)http://arxiv.org/abs/1201.1833
2012-01-18 Wed 00:14 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
観測の問題に関わる分野は奥が深くて難しいです。「小澤の不等式」は今後教科書にも載る様になって来ると思いますが、分野によっては実験に要求される測定精度が高くなると言う事でしょうか。
2012-01-18 Wed 21:12 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>分野によっては実験に要求される測定精度が高くなる言う事でしょうか。

 どうなのでしょうか。観測の原理的なことと実際の効用との関係の理解が難しいので、今回の実験も含めて関連する実験をやっている方に、わかりやすい解説を出していただきたいです。
2012-01-19 Thu 06:03 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
量子力学を仕事の道具として使っているからといって、その原理まで遡って必要としているかは別ですものね。そのうちに、ブルーバックスで分かり易い解説が出るのを待ちます。
2012-01-19 Thu 22:34 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>量子力学を仕事の道具として使っているからといって、その原理まで遡って必要としているかは別

 物理学科4年で実験系研究室の配属になる時に、先生からも大学院生からも「我々の主要な研究に量子力学はほとんど必要ない」と言われたことを、今でも昨日のことのように覚えています。

 かすてんさんの学生時代は言われませんでしたか。

 私の場合、実際はどうだったかというと、自分が測定やシミュレーションをするのには量子力学は必要ありませんでした。でも、近くで行われているスピンを測定する実験や原子核や陽子の構造の理解には量子力学が必要でした。

 半分は「量子力学が苦手でもなんとかなるから心配するな」という親心からだったと思いましたが、「ほとんど~ない」というところが、決してウソではない、微妙なコメントだったと今は感心しています。
2012-01-20 Fri 07:32 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>測定やシミュレーションをするのには量子力学は必要ありませんでした

確かに、私の研究室が関係していた宇宙線の実験と結果解析とシミュレーションの範囲でも量子力学は出てきませんでした。一方、物性をやっていた友達の方は量子力学バリバリでしたね。

>「我々の主要な研究に量子力学はほとんど必要ない」

こう言うと本当に勉強しなくなるから言わなかったのかな?
2012-01-20 Fri 09:21 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
>本当に勉強しなくなるから言わなかったのかな?

 そうですか。勉強しなくていいわけではありませんので、これを言うか言わないかは、指導教官の胸先三寸ですね。

 この種の分野にこれから進む方々のために、「量子力学がほとんどいらない」ということは今後トップシークレットにしておきましょう(笑)。

2012-01-20 Fri 17:59 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>トップシークレット

若い方にはしっかり勉強してもらわなくてはなりませんから、内緒にしておきましょう。特に、KEKに就職したい方は量子力学もちゃんと勉強してくださいね。
2012-01-20 Fri 18:26 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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