33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
失敗は許されない?
2010-07-22 Thu 00:00
毎日.jpに、はやぶさプロジェクトマネージャーの川口淳一郎さんと島津製作所フェローの田中耕一さんの対談が載っていた。

 →特集:はやぶさに挑戦心を見た

その中に、はやぶさプロジェクトの顔としての川口さんらしい印象的な言葉があったので引用しておきたい。

川口:宇宙開発でも、若い人の中には「失敗は許されない」と話す人がいます。日本人には普通の感覚かもしれませんが、私は「とんでもない」と思います。新しい発想を評価する方法がない現在の教育は問題でしょう。「どれだけ完ぺきにできたか」をチェックする試験中心の評価法を変える必要があります。

良いこと言うなぁ。これを説得力持って言える人として、今の川口さんは最適任でしょう。

宇宙開発など科学技術分野に限らず、若い世代に「失敗は許されない」と萎縮した思考を植え付けることは、日本の将来をも萎縮させると思う。そもそも「失敗が許されるのは若いうち」と上の世代の寛容によって育ててもらった今の大人世代。その大人世代が次の世代に送るメッセージが「失敗は許されない」だとしたら、その差し引き分の寛容を自分たち世代で独り占めしていることになる。やはりそれは、失敗しないことの積み重ねの上に新しい地平が開けてくることはない、というメッセージとともに次の世代へ還元してあげるべきでしょう。

この歳になってもいまだに失敗ばかりしているかすてんには威張って言う資格はありませんが。

今夜の観測:快晴だが湿り気の多い透明度の悪い空で、月明かりのため全天白っぽい。
変光星10目測:η Aql4.0等、AF Cyg6.8等、P Cyg4.7等、V568 Cyg6.4等、W Cyg5.5等、X Cyg5.9等、Y Cyg7.3等、X Her6.4等、β Lyr3.7等、R Sct5.8等。
別窓 | 雑感 | コメント:4 | トラックバック:0
<<『星の写真展』 | 霞ヶ浦天体観測隊 | ルテティアとイトカワの大きさ比べ>>
この記事のコメント
 私は多少厳しい見方をしていて、今回のはやぶさが「失敗」だとは決して申しませんが、姿勢制御エンジン、サンプル捕獲、それからイオンエンジンも含めてこの計画の「新奇」な装置部分は決して順調に働いたとは言えないでしょう。でもそれでいいのです。「新しいことをする時は失敗してよい」というのはその通りですから。今回は、それを人智で乗り越えて回収までこぎ着けましたから、すばらしかったです。

 でも、壊れ方がもう少し悪ければ地球に帰還できないこともあり得たわけで、「失敗はしてもよい」と言う以上、そういう可能性も受容可能にしないといけません。問題は、この「はやぶさ」のような計画が10年に1回くらいしか存在しないところにあるのだと思います。成功しても失敗しても10年に1回しか挑戦できないのであれば、失敗は許されないと誰しもが考えるのは当然です。川口さんのような長年現場におられる先生はいいとして、やっとこさ計画に従事できるようになった若い人にそこまで達観せよというのは無理な話だと思います。盛りだくさんの1回の飛行ではなく、小分けにした多数回の飛行計画(地球周辺の宇宙空間での試験も加えて)を用意してあげるべきだと思います。これは、まずは打ち上げロケットの費用とか目標設定の問題になるのだと思いますが、このへんでやめておきます。

 深刻な話にしてしまって申し訳ありません。こういう話はできるだけ松浦晋也さんにお任せすることにしましょう。

 ましてや、一般社会で大人が若者の失敗をあまりとがめてはいけない、というのは、かすてんさんのおっしゃる通りだと思います。昔は、学生がへまをしても学校は将来をみて寛大な処置をとったものですが、いまは学校自身が保身に走っていることもあるように見えます。またまた、深刻な話にしてしまいました。
2010-07-22 Thu 19:23 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
はやぶさや宇宙開発に関する評価についてはそう簡単に語れるものではありませんので、おっしゃるように松浦晋也さんにお任せしましょう。

川口さんが指摘されている教育での評価方法は大切な問題だと思います。
明治開港以来、西洋に追いつこうとする段階では、視界の先に追いつくべき目標という正解があり、それに向かって「どれだけ完ぺきにできたか」を評価することにも意味があったと思います。しかし、いろいろな分野で目標だった西洋に追いつき先頭にならび、さらにその先へ出ようかという今になっても、旧態然とした評価方法がそのまま踏襲されている、そこに大きな問題があると思います。
「どれだけ完ぺきにできたか」を評価することから「新しい発想を評価する」ことへ、評価者側が変われと川口さんは訴えているのでしょう。
2010-07-23 Fri 13:34 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
そうですね。
 若い人の足らざるところをあげつらってふるい落とすのは誰でもできることでしょうが、「新しい発想」を見つけて拾い上げることは、今の集団主義の世の中ではなかなかできないことだと思います。 昔の徒弟制度などでは、おとなしい子でも腕に見込みのある者は親方に拾い上げてもらえたのですが、そういうようなことを現代に復活させる知恵が必要なのではないかと思います。
2010-07-23 Fri 20:44 | URL | S.U #MQFp2i1U[ 内容変更]
>現代に復活させる知恵が必要なのではないかと思います。

将来が開けるかもこういう知恵に掛かってくるのだと思います。
2010-07-24 Sat 22:56 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら


| 霞ヶ浦天体観測隊 |

FC2カウンター