33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
『星のふるさと』 出会いを待つ人のもとへ
2011-12-24 Sat 00:30
2009年12月の四日市訪問から2年が過ぎ、再び火星が近づいて来た。そんな時期なので久しぶりに鈴木壽壽子さんのことを考えた。

1011242.jpg星と絵と物語がお好きで手先も器用だった鈴木壽壽子さんのことだから、たとえ四日市以外にお住まいだったとしても、星の随筆を書き絵を描き物語を語られたことだろう。その一方で、四日市にお住まいでなければ『星のふるさと』という本の形で世に出ることは無かったようにも思われる。そして、そうであったならば私たちの多くは、壽壽子さんの存在を知らないままだったはずだ。

大気汚染に苦しむ人たちの力になれるデータを残し、かつそれを利用してもらうために、「観望者」から「観測者」への一字の橋を渡る決心をされたことはご本人も書かれている。たまたま四日市にお住まいだったから四日市公害について書かれ、またそれに関われる観測対象として流星塵を選ばれた。しかし、敬虔なクリスチャンだった壽壽子さんを動かしたのは、人として人を慈しむ普遍的な心だったように思う。

071122.jpg時代は変わり、四日市の大気汚染は改善されたのかもしれないが、『星のふるさと』に記された壽壽子さんの祈りとこころざしの本質は「四日市」を越えて今も変わらずに生き続けている。あれから40年経った現在、社会の変化はおそらく当時の壽壽子さんの想像を遥かに越えてしまったことだろう。それでも、というよりもそれだからこそ、『星のふるさと』のこころを必要としている人、出会う機会を待っている人は今もたくさんいると思う。そういう人たちの元へ壽壽子さんの心が少しでも届くことを願っている。

この年末、1枚の喪中はがきが届いた。壽壽子さんのお連れ合いご逝去のお知らせだった。生前の壽壽子さんを誰よりもご存知の方だったので、とうとうお会いすること叶わずとても残念に思う。ご冥福をお祈りしたい。
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