2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
『ハーシェル天体ウォッチング』
2009-08-04 Tue 00:35
0908026.jpg やっさんの掲示板にふわりさんが撒いた種(大野裕明著『いろいろな望遠鏡による見え方がわかる 星雲・星団観察ガイドブック』の紹介)から眼視派の興味を引く本の出版や再版を歓迎する話題が出ていたちょうどその時、日本ハーシェル協会およびブログ『天文古玩』の玉青さんが翻訳された「眼視派に贈る」新刊のニュースを知った。

 『ハーシェル天体ウォッチング』 ジェームズ・マラニー著 角田玉青訳
         地人書館 2800円 2009年

 内容については地人書館の該当ページ玉青さんによる紹介記事をご覧頂くとして、本書は大野氏の本とは異なり「スケッチ集ではない」ということをまず最初に強調しておきたい。
 第1部はハーシェルの生涯、望遠鏡、カタログ、観測テクニックについて興味深いエピソードが語られている。第2部が主要部分で、ハーシェルのカタログ2508個の中から「暗い」と「非常に暗い」に分類された1893個を除く615個について、位置、ハーシェルのコメント、著者による解説で構成されている。「暗い」と「非常に暗い」クラスのものはそのうちの少しだけ紹介されている。
 ハーシェル天体はメシエ天体よりも暗いものが多いので、ハーシェル時代よりも条件の悪い現代の夜空では「明るい」に分類される288個を見るのも苦労するのではないだろうか。私のような小口径ユーザーには第1部の他、「ハーシェルが見落とした見どころ」とか「「消えた」ハーシェル天体」、まえがき、むすび、訳者あとがきの辺りがより楽しめた。勿論ある程度大きな望遠鏡をお持ちならば全体を楽しめると思う。
 かつて星の内部にあった何かが光子となって膨大な時間と空間を越えた旅を続けた末に自分の網膜に到達して何千何万何億年の長旅を終える、著者がむすびで書いている「光子による結びつき」、これこそが手持ちの機材の大小に関わらず、全ての眼視観測者の喜びにつながっているのだと思える。

09年08月02日の記事
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この記事のコメント
光子による結びつき
こんばんは。
『ハーシェル天体ウォッチング』はスケッチ集ではないということですが、それでも興味深いですね。当方は空が明るくなかなか見るのは厳しそうですが、たとえかすかなシミであっても、その存在を感じとれれば最高です。
ぜひ本を入手して、「光子による結びつき」を体感してみたい気持ちです。
2009-08-04 Tue 22:01 | URL | やっさん #-[ 内容変更]
ご紹介いただきありがとうございました。
やっさん様も、ぜひお手にとってご覧いただければ幸いです。

ずーっと昔、「光害談義」という駄文を書いたことがあります(http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/05/12/1502430)。その中で 「目は脳の一部が出っ張ったものといわれるぐらいで、目に光子を注ぎ込むことは、私たちと星が直接触れ合っていることに他なりません。その魅力は何物にも替えがたいものです」云々と書きました。
そのことがずっと脳裏にあったので、マラニー氏のこの本を読んだときには、(ハーシェル本ということもさりながら)氏の「光子による結び付き」という考えに深く深く共鳴して、訳を決意したといういきさつがあります。

この点が多くの眼視派の方の共感をも誘ったとしたら、これぞ「光子による結び付きによる結び付き」!
2009-08-05 Wed 06:44 | URL | 玉青 #-[ 内容変更]
やっさん
 ハーシェルさんがどのように見たのかを記録した短いコメントが何百と載っていますのでそれは十分読んで楽しめます。

玉青さん
 上手な紹介文はかけませんでしたが少しでもこの訳本の魅力をお伝えできたとしたら幸いです。
 また、「光害談義」は力作ですね。写真派にとっては冷却CCDによって克服の目処は立ったと言えますが、眼視派にはその後もまだまだ苦難の日々が続いています。
 明らかに省エネが見込まれるはずの照明器具ですら、目に見えて効果的な対策がとられているとは感じられません。いつも言われる事ではありますが、天文趣味の立場だけからの訴えでは広く社会の共感を得るのは難しいので、「光害はエネルギーの無駄使いだし、人体や環境に悪影響を及ぼす」というような社会的にも受け入れられやすい問題へ置き換えて訴えないとならないのでしょう。
2009-08-05 Wed 10:09 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
かすてんさん、こんばんは。

大野さんの本と同時注文したのですが、此方の本は遅れるとのことで、大野さんの方だけ届き楽しく見ております。

此方の方は、スケッチ集ではないとのことですが、私は文章から想像力逞しく思い描くタイプなので、却って向いていると思ってます(^^) 又、この手の類の本は異常なほどに好きです。 ですから玉青さんの本、凄く楽しみです。

>かつて星の内部にあった何かが光子となって膨大な時間と空間を越えた旅を続けた末に自分の網膜に到達して何千何万何億年の長旅を終える、著者がむすびで書いている「光子による結びつき」、これこそが手持ちの機材の大小に関わらず、全ての眼視観測者の喜びにつながっているのだと思える。

このかすてんさんの紹介の結び、全く同感です。そして、大いに鼓舞されました。名文です!


2009-08-06 Thu 18:58 | URL | 晏次郎 #sSHoJftA[ 内容変更]
晏次郎さん、こんばんは。
 道南、天気はいかがですか?星見はともかくとして今年も作物に厳しい年のようで、ということは晏次郎さんにとっても厳しいということなので、とても心配しています。
 文章から想像を膨らませる特技をお持ちなら、ハーシェルさんの短いコメントと著者の詳しい解説から、本書を隅々まで楽しめる事と思います。著者の思い入れ、玉青さんの熱意、主要部の第2部以外の部分も良いですよ。
 結びの文章、お褒めいただきありがとうございます。完全オリジナルとは言えませんが、著者の文章を少し自分の言葉で書き直して、感想を付け加えたものです。
2009-08-06 Thu 19:50 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
お気遣い感謝
かすてんさん

お気遣い有難うございます。仰られるように当地の天候は非常に悪いです。未だに一日も夏日にはなっておりません。今年は日本全国、平年を下回る作況との報道が有り、平年並みは宮崎県のみとのこと・・・。 でも、収穫まで未だ時間が有りますので、今後の天候次第で平年作程度にはと期待は捨てておりません。・・でも不作は覚悟です・・

途轍もなく長い旅の末に辿りつく光を思うと、とても貴重で愛しいものに感じます。これからは、この星は見ても詰まらない等と片付けずに、シッカリ観察したいと思います(^^)
2009-08-06 Thu 21:05 | URL | 晏次郎 #sSHoJftA[ 内容変更]
夏日がせめて三日は欲しいですよね。

自分のからだが超新星爆発で作られた元素から出来ているという壮大な現実、そして何億年も旅した光子が私の目に飛び込む偶然の出会い、こんな不思議な感覚を天文ファンだけで独り占めしていていいのでしょうか。

小惑星Suzukisuzukoが17等で地球最接近した時、直径7mmの瞳孔へは30秒に1個の光子が飛び込むとS.Uさんが教えてくれました。網膜に像は結ばないけど光子による結びつきは確実にあったわけで、それは私にとっての感動でした。
2009-08-06 Thu 21:38 | URL | かすてん #MLEHLkZk[ 内容変更]
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