2023-10-04 Wed 00:00
![]() 五月書房 2023年 2000円 映画『福田村事件』を見ての短い感想と関連動画は、映画『福田村事件』に書いてみたが、この機会に本書を読まずに行き過ぎるわけにはいかないと思い手に取った。劇映画としての『福田村事件』に対して、本書は少ないながらも記録を掘り起こし・収集したドキュメンタリー作品となっている。本書を読むことで、映画のフィクション部分がより理解しやすくなる。上に少ないながらもと書いたが、香川県で千葉県で貴重な証言など多くの人による丹念な記録がなされてきたおかげで本書にまとめられ、映画のインパクトと相乗して事件から100年後の読者へ届いたのだと思う。朝鮮人虐殺の記録は本来政府の責任でまとめるべき事業であるはずだが、どこかの国の日本政府やどこかの都知事は、厚顔無恥にも朝鮮人虐殺の記録は無いなどとすっとぼけている。 ![]() 関東大震災直後(11月15日時点)に千葉県内で発生した、自警団・民衆による朝鮮人殺害および朝鮮人と誤認して日本人が殺害された事例のリストを見ると、22件中10件は福田村事件同様誤認殺人だった。これらは日本人なのに間違って殺されたかわいそうな事件なのか?映画では、虐殺の始まる直前に行商人の親方が自警団に向かって叫ぶ、「朝鮮人なら殺してええんか!」、、、。朝鮮人なら、被差別部落民なら、障害者なら、女性なら、暴行・虐待・殺人も正当化されるのか?という根本的な問いかけだが、あれから100年経った日本社会はこれを正当化しかねない狂気の崖っぷちに立っている気がする。 |
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