
『裸で泳ぐ』 伊藤詩織著 岩波書店 1600円 2022年
伊藤詩織さんは性犯罪の被害者であることを告白し社会に問題を提起した。その勇気に感銘を受けると同時に彼女が直面した苦しみとその原因を温存しようとする日本社会のあり方に愕然とする。性犯罪の根本的な問題解決や社会的な改革は待ったなしだ。

『声をあげて』 五ノ井里奈著 小学館 2023年 1650円
これまでの五ノ井里奈さんの勇気ある行動と発言に力を得た人や今は死ぬのをやめようと思った人は大勢いると思う。それは、性暴力によってもたらされる被害者の心の内だけではなく、前を向いて生きる姿をストレートに表現しているからだろう。『声をあげて』の一番の意味は「声を上げて」だと思うが、まだ声を出せないでいる人へ向けて「声を届けてあげて」という意味にも感じられる。