
『中世の家と性』 高橋秀樹著 山川出版社 2004年 800円
氏とか姓とか一門とか家とか名字とか、近世・近代に作られたイメージを元になんとなくわかった気になっているだけかもしれないので、整理を兼ねて読んでみた。日本史リブレットのシリーズなので95ページとコンパクトで、構成は(1)氏と家、(2)結婚と居住、(3)家の継承と相続、(4)家内のジェンダー、(5)さまざまな性からなっている。初読の時はすぐに挫折したのだが、冒頭で北条政子が例として登場するので、『史伝 北条政子』や『鎌倉北条氏の女性ネットワーク』などを読んだこともあり、もう一度挑戦してみたところ初回と打って変わって読み進みやすい印象に変わっていた。ただ、氏や家の概念を明瞭に区別して理解するのは難しいと感じ、宿題として残ってしまったことも確かだ。
(4)、(5)では、ジェンダーがどのように絵巻物に描かれているかを多くの例を紹介していて、本書の大きな魅力だと感じる。