
『忍性の真実』 理崎啓著 哲山堂 2018年 1500円
師叡尊をして「慈悲に過ぎる」と言わしめた忍性、三村山極楽寺(現在のつくば市小田)に足掛け10年止住し、布教活動を行った律宗の高僧といわれる。一方で、鎌倉においては日蓮を追い落とすため幕府に取り入った世俗まみれの僧良観と語られることもある。
戒律を重んじる律宗の高僧ということで厳格な人物像を想像していたが、意外にもアバウトな部分もあるらしい。つまり、結界というのはその内部では厳格に戒律を守る、でもねその外では、、、ということなのだろうか?
忍性の人となりにそれほど興味があるわけではないが、忍性本人あるいは関係者は県南の中世史に大きく関わっていることは確かなので、何かヒントを得られないかと目を通した。忍性を知るには師匠・叡尊、そして生涯の敵・日蓮を知れということで、本書は叡尊と日蓮が見た忍性という視点で書かれている様に感じられた。