
『源氏の血脈』 野口実著 講談社学術文庫 2022年 920円
源義家は、後三年合戦の時に東国武士との間に結んだうるわしい主従関係により「武家の棟梁」と呼ばれ、またその恩に報いるために頼朝挙兵に多くの旧臣が参向したと言われる。本書では義家に続く、為義、義朝、頼朝、義経の4人の事績を深掘りし実際はどうだったのかを解明してくれる。いつものことながら、思い込みの鱗が目からぼろぼろと剥がれ落ちる。頼朝が鎌倉に幕府を樹立したのは偶然の結果という説に対し、著者はこれら4人を通じて「鎌倉でなければならなかったし、頼朝でなければならなかった」と結論する。