
9月25日に刊行された中公新書の『荘園』が、発売から2週間ですでに3刷りになったらしい。事前予約で買った本が評判になっているのは嬉しいが、自分だけでなくみなさんもよくわからないから買っているのかもしれない。自分と同じように考えるなって声も聞こえてくるが、、、。
第一章 律令制と初期荘園、第二章 摂関政治と免田型荘園、第三章 中世の胎動まで読んだところで、2週間『枕草子』へ浮気した。復帰するにあたりもう一度最初から読み直した。第一章など4回読んだことになる(なのに頭に入っていない orz)。
第四章 院政と領域型荘園
第三章まででもう十分にややこしいのだが、第一章の初期荘園、第二章の免田型荘園に続き第四章ではいよいよ白河法皇の院政が始まり、その大権にあやかる荘園型が登場、それは鳥羽上皇へと継承され大荘園時代が花開く。鳥羽上皇と美福門院の皇女暲子内親王が受け継いだ荘園八条院領はやがて日本最大の荘園となるが、ここ霞ヶ浦の南岸地域一帯も八条院領の一つであった。八条院は日本最大の荘園領主でありながら、以仁王の子女を匿った他は政治的な動きをすることはなくとさらりと書かれているが、以仁王の平家追討の令旨は八条院領を駆け巡り、歴史の歯車を大きく回していくことになるのだから、表向きはともかく、大きな歴史的役割を果たしたことになる八条院とその荘園だったわけだ。
それにしても、「封」も「戸」も「便補」もそれ以前の章に出て来ているのだが、「封戸を便補の荘園に転化」といった言い回しの理解は一筋縄ではいかない。中公新書Twitterに、著者伊藤俊一先生のオンライン講演会の希望をリプしておいた。