
『荘園』 伊藤俊一著 中公新書 2021年 900円
帯に「中世史の核心に迫る 荘園を知らずして日本の中世はわからない」とある。おそらくその通りなのだと思う。中世は、王権、貴族、寺社、武士の権力争いの歴史と言えるが、なんのために争ったのかと言えば、土地の奪い合いだったとなる。その土地の多くは元々は荘園だったと思う。
まずは律令制度における土地政策だが、大宝律令制定からまもなく始まる制度の見直しとその崩壊過程の中で、様々なパッチワークがされていくる。その大きな部分が土地制度であり、やがて荘園の誕生へとつながる。摂関政治のなかで律令の土地制度はますます形骸化して荘園制度が発展するが、それはもはや複雑怪奇としか言いようのないもので、とにかく何度も読み返さないと着いて行かれないややこしさだ。一章読んだらもう一度一章を読んで二章へ進む、二章まで読んだらもう一度一章二章を読んで三章へ進む、三章まで読んだらもう一度一章二章三章を読んで四章へ進む、、、と言う感じなので、九章まで行き着くのさぞや大変だろうなと、読み始めた今は思っている。
[追記]その後、第三章まで読んだところで別の本を読み始めてそちらに嵌ってしまい本書は一時中断している。その間に、刊行から1週間ほどで重版になっていることをTwitterで知った。やはりみなさんよくわからないから買うのかな?って自分と同じように考えるなって?