2019-12-17 Tue 00:00
子供の頃の流行歌の中に芸者歌謡という1ジャンルがあった。そんな曲を集めたCD集の紹介をしたことがある(→うぐいす芸者歌手の歌唱を堪能)。コロムビアだけでもこれだけあるし、「明治一代女」など他社の曲も集めれば魅力的な曲はまだまだある。その中でも、神楽坂はん子「ゲイシャ・ワルツ」は西條八十、古賀政男コンビの大ヒット曲の一つで、聴いて弾いて歌って楽しい一曲だ。楽しいのだが、星好きの因果で歌詞のある部分が引っかかってしまう。2番の歌詞はこうだ。
空には三日月お座敷帰り 恋に重たい舞扇 会わなきゃよかった今夜のあなた これが苦労のはじめでしょうか さて、この芸者さんはいつの月を見ていたのだろうか。三日月と言った場合、一般の人は月齢3の細い月だけではなく、もっと後の月齢6辺りまでは三日月と呼ぶ様に思われる。そして、花街では地平線近くの低空までは見られないと思うので、「空には三日月」というのは「ふと見上げた高度30度以上の空」の情景が浮かぶ(右画像)。ここで、2019年の春分、夏至、秋分、冬至頃の月齢3、6、24に近い月の高度が40度、30度になる時刻を調べてみた。 ![]() 春分 月齢3.5 17:00 18:00 月齢6.5 20:00 21:00 月齢24.5 ー 06:00 夏至 月齢2.7 18:00 19:00 月齢5.7 20:00 21:00 月齢23.7 04:00 03:00 秋分 月齢2.7 16:00 17:00 月齢5.7 17:00 19:00 月齢23.7 03:00 02:00 冬至 月齢3.5 ー 16:00 月齢6.5 17:00 19:00 月齢24.5 05:00 04:00 昭和の花街の一例ではあるが、「お約束」という最初のお座敷が19時から21時までで、「後口」があれば22時過ぎや24時過ぎになることもあるという。とすると、お座敷帰りに三日月を目にできるのは春から夏にかけての季節ということになる。「ゲイシャ・ワルツ」の1番から4番までの歌詞には季節感はないのだが、少なくとも寒風吹きすさぶ冬の歌ではなさそうだ。 [参考]YouTube:芸者ワルツ ♪神楽坂はん子 大映映画『祇園囃子』の一場面。若尾文子、浪花千栄子、木暮実千代、みんなお美しい。そして最近強く感じるのは、いまやこの当時の映画というのは、内容の出来不出来とは別に、風景や人々の暮らしぶりを記録した、貴重な歴史的、民俗的史料になっているということだ。 [画像は映画『祇園囃子』のスクリーンショット] |
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