33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
スタアの時代はセピア色の中に
2019-10-14 Mon 00:00
以前にも記事やコメントに書いたことの繰り返しになってしまうが、昭和30年代を描いた映画、あるいはその当時作られた映画を見るたびに、自分はあの風景の中に生まれて育ったことに、自分のことながら深い感銘を受けてしまう。想い出の中では全てが美しいということかもしれないが、日本の映画の歴史に於いても、最も美しい俳優たちを独り占めした時代と言っても良いだろう。独断と偏見を持って言えば、今の俳優をいくら着飾り塗りあげてもあの美しさは再現できないだろう。食べているものが違い、体の形も違い、体の使い方も違い、取り巻く社会、経験してきた時代背景そのものも違うので当然だと思う。

1910011.jpg『スタアのいた季節 わが青春の大映回顧録』 中島賢著
               講談社 2015年 1800円

 そんな美しい本物のスタアがいた時代のことを、映画会社大映宣伝部社員の立場で綴った青春回顧録。当時は今ほど無節操には暴露されなかったスタアの楽屋裏やプライベートな姿は、一部の関係者だけが知り得る裏話として今となるとたいへん貴重な記録だ。一人また一人と往年の大スタアがこの世を去っていく昨今、フィルムを回せば当時の姿が蘇ってはくるが、そこに夢や憧れを重ねて彼ら彼女らの姿を見ることができたのは遠い昔のこと。本当の意味でのスタアたちの姿は、寂しいことではあるが、当時を知っている人たちの記憶の中にしかないのだろう。表紙カバーはそんなイメージで装丁されたのかもしれない。
 また、著者のブログ映画が中心のブログです!には本書に書ききれなかった多数のエピソードや写真の他、近年公開されている国内外の映画についての辛口評論が満載。本書もブログも共に、著者の映画への愛情に満ちている。
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