レコーディング・エンジニア行方洋一さんのセミナー(その1)
幸運にも参加できた第2回目のセミナーは、ちょうど1年前に死んだベンチャーズ(The Ventures)のノーキー・エドワーズの話から始まった。ノーキーは山形県を気に入っていたという縁もあり、ご当地には〇〇ベンチャーズがたくさんあるという。ファンが催した追悼の集まりに招かれた折に渚ゆう子を誘って行ったのは、ベンチャーズの曲を歌った中で現役の歌手は彼女だけになっているからだそうだ。渚ゆう子といえば
「さいはて慕情」エンディングの蒸気機関車のドラフト音と汽笛に、当時の中坊のこころはディスカバージャパンへどれほど誘われたことか。つぎつぎ繰り出される業界裏話や70年代音楽によって、ベンチャーズ(The Benchers)というバンドを組んで遊んでいた時代へ連れ戻される思いがした。この日聞かせてもらったのは、渚ゆう子から平山ミキの話まで、『音職人・行方洋一の仕事』の74頁から134頁辺りまでの内容になる。その他に、文字だけでは分からない、実際に聞きたいと思っていた、4チャンネルやダイレクトカッティングの音源などもたっぷり聴かせてもらえて大満足の2時間だった。予習しておいてよかった。[右上写真はNEWSつくばより]
第2回目の内容はそんな感じだったので、おそらく第1回目は、少年時代の話、東芝入社や東芝音楽工業立ち上げ時代の話、坂本九の録音秘話、弘田三枝子の「私のベイビー」録音失敗談、寺内タケシとのエピソードなどなどが語られたのではないかと想像する。ネタはたくさん持っているので10回でも出来るよと言われていたが、参加者には半導体メーカーの音響技術者OBや年季の入ったオーディオマニアが大半を占める集まりなので、今後はテクニカルな話へ次第にシフトしていくのかもしれない。今回は難解な話は少なくてヨメさんにも十分楽しめたようだ。

この本のカバー写真は若い頃のもので厳しい表情だが、ご本人はとても柔和な印象の方で、サインも頂くことができた。