
『山中節覚え書』によると、山中温泉の芸妓で山中節の歌い手だった柳香は、古賀政男に見出されて浅草ゆめ子という名で歌手デビューしたとある。ネットで探すと、五月みどりや島倉千代子といっしょに吹き込んでいる、「茶摘み音頭」(1957年)、「かんのん音頭」(1958年前後)、「浅草おどり」(1958年)の3曲が見つかった。世代的に、五月みどりや島倉千代子よりも10歳ほど年上なので、こうした若いアイドル売り出しの後方支援的な存在になってしまったのだろう。1曲を二人の女性歌手が歌っているので聴き比べすると、若いお色気の五月みどりや島倉千代子に比べて、浅草ゆめ子のしっとりとした情緒のあるすばらしい声が一段と映えて聞こえてくる。子どもの頃に、歌謡番組で歌う姿を目にしたことがあるに違いないのだが、この艶やかな魅力をわかるには、残念ながらまだ幼過ぎた。
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「茶摘み音頭」(加藤雅夫/浅草ゆめ子) →
「かんのん音頭」(浅草ゆめ子/伊東満/五月みどり) →
「浅草おどり」(島倉千代子/神戸一郎/浅草ゆめ子) (ジャケットには美空ひばりの写真のみ)