33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
幕末水戸藩下級武士の日常生活
2018-02-20 Tue 00:00
1802021.jpg『武家の女性』山川菊栄著 岩波文庫 岩波書店
                  1983年 620円
 友人がやっているラジオ番組でゲストの辻川牧子さんが近世の武家の生活を解説する中で紹介していたので読んでみた。著者の山川菊栄は女性解放運動の先駆者の一人ということは知っていたが今回はじめて著書を読んだ。本書は1856年(安政4)生まれの実母から直接聞いた思い出話を主体にして、1819年(文政2)生まれの水戸藩下級武士であった祖父の残した記録や親類などからの聞き書きをまとめたもの。タイトルは『武家の女性』だが女性だけでなく、幕末の武家を取り巻く様々な階級の人々の日常がいきいきとまたほのぼのとしたユーモアを交えて描かれていて、たいへん読みやすい書だ。天狗党の乱以降維新後までも続く抗争についての無慈悲で凄惨な様子も詳しく描写されていて、近代以降に活躍するべき多くの人材を無駄に失ってしまった茨城県にとっての不運も見えてくる。これは話の流れの本筋ではないが、自分に知識が乏しい着物に関する部分を特に確認しながら読むのも興味深いものだった。この書も以下の書も菊栄の母の記憶を元にした聞き書ということで、「時代の空気を感じるにはよい本ですが、正確な記述でない部分が多いです」というご指摘もいただいている。そのことを踏まえた上で、岩波文庫で180頁ほどの薄い本なので、水戸藩、茨城の幕末、武家民俗、などに興味を持つ方々には一読をお勧めしたい。

『覚書 幕末の水戸藩』山川菊栄著 岩波文庫 岩波書店 1991年 1100円
 こちらはついでに買ったものだが、『武家の女性』が実母千世からの聞き書きを主体にしたのに対して、本書は祖父延寿の書き残した記録や古老からの聞き書きを主体にしたものの様だ。引き続き読もうと思う。

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