
書類の片付けをしていたら、またまた面白い物が出てきた。紙に包まれているのでこれだけではわからないかもしれないが、DSPCORと書かれたこの紙がストックフォーム(スプロケットで紙送りするタイプの連続紙)だと気づけば答えに近づけるかもしれない。
何十年かぶりに包みを開けてみたら止めていた輪ゴムが劣化してカラカラになっていた。これはFORTRANのサブルーチンパッケージ121行分が打ち込まれたパンチカード。

このサブルーチンを使うと、三次元空間の点の集合をラインプリンターに出力することができる。乗鞍のシンチレーションアレイで測定された宇宙線の空気シャワー1イベント毎のデータからコアの三次元的な分布イメージを出力するために作られたもので、プリンターにグラフィカルな出力機能のなかった当時のこと、文字出力のみを使ってイメージを描画するサブルーチンだった。これを作ったのは私の担当教官(大阪市大)の共同研究者で当時甲南大学研究生だったNさん。富士通を退職して宇宙線の研究へ戻って来た方だった。コンピュータを触り始めたばかりの学生の自分は、プログラミングによって思いもかけないことができることに驚いた。そして、Nさんは私の卒業祝いに、自由に使っていいよとこのサブルーチンパッケージを下さった。