11月20日の午後、つくばノバホールで開催された『科学と音楽の響宴2016』へ行ってきた。科学に関する講演は昨年ノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章さんのニュートリノ実験に関するお話。音楽は相澤政宏さんのフルートと大堀晴津子さんのピアノ演奏で、フルートの興味深いエピソードを交えての楽しい演奏会だった。梶田さんの話は深遠な物理学の講義ではなく、予想外の実験結果を徹底的に調べることで、ミスによる結果ではないことを確信し、新発見への突破口を見つけた過程を難しい話は抜きにわかりやすく語ってくれた。

その中で、カミオカンデはもともとは大統一理論の予言する陽子崩壊を測定する目的に作られたという話があった。陽子崩壊の観測は自分が世話になっていた超高エネルギー研究室の別の先生が研究されていたので記憶に残るテーマだ。それはそうと、「陽子の寿命は10^30年と予測されていたので、10^30個の陽子を観測すれば1年に1個程度崩壊を観測できる」について休憩時間にヨメさんから疑問が提出された。
(1)寿命が10^30年ならば10^30個を見ていたところで10^30年かかるんじゃないの?
いやいや、これは平均寿命なので、数はものすごく少ないけど短時間で死ぬのもいれば、もっと寿命の長いのもいる。数はものすごく少ないけどたくさん集めれば短期間でも1個くらいは死ぬ奴が見つかるだろうと考えられる。
(2)でも、10^30個を見ていると、1年目1個死に、2年目1個死に、、、10^30年経ったら0個になるから10^30年以上の寿命はありえないんじゃないの?
いやいや、1年目1個死に、2年目1個死に、、、と減っていくと次第に10^30個より少なくなってしまうからその頃には1年に1個のペースでは死ななくなるので10^30年を越えて生き残るのも出てくる。
(3)平均寿命100年の人間を100人集めても、1年目に1人死ぬようには思えない?
いやいや人間は若い頃死ににくくて年とるにつれて死にやすくなるから素粒子とは死に方(死ぬ確率)が違う。
とまぁ、結局納得してもらえず、おかしなモヤモヤ感の残るコンサートになったらしい。