2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
より遠きへ 金星へ
2014-12-14 Sun 00:00
1412141.jpg■和田城志についてもう一回書こう。『劔沢幻視行 山恋いの記』本文中にもあったが、『登山における困難とはなにか』(登山研修所友の会VOL.9文献「高所登山の実践と課題」)にもこう書いてある。「アルピニズムの呪文「より高く、より困難をめざして」(私はより遠くも含めたい)」と。「行きたいところは金星」と若かった自分やヨメさんに話してくれたのは出任せのからかいではなくこういう伏線があったのかと、35年も経ってから謎が解けた。[写真は金星探査機マゼランのデータからシミュレートされた金星の地形。こんな風景を想像していたのだろうか。]

実は前回『劔沢幻視行 山恋いの記』を紹介した同じ日、玉青さんも「世界の果てへ」という記事を書かれていた。以下はそのコメント欄からだが、玉青さんは「金星へ」についての最良の説明文を書いてくれたと感じる。「アルピニストの心に燃えるものは何なんでしょうね。 自分の能力を山を相手に試したいという、真っ当なチャレンジ精神もあるでしょうし、他人がまだ目にしたことのない光景を見たいという好奇心や、人間臭い功名心もあるのでしょうが、それらとはまたちょっと違ったところに、記事で書いたような「ひたぶるに遠くを目指す心」もあるのかなあ…という気がします。 この「遠くを目指す心」が、上で挙げたそれ以外の心理と異なるのは、「こちらの世界に戻って来れなくてもいい」と思ってしまうことで、純粋であると同時に、非常に危うさをはらんでいます。」

■『劔沢幻視行 山恋いの記』のところどころに挿入されている炊爨道具や草花の自筆スケッチに添えられているおっぱい型の「Wada」サイン。懐かしいと感じたのは、ダイコー産業に届いていた絵葉書の署名が思い出されたからだ。ブロード・ピークでポーランド人のWandaにあげた山のスケッチのサインもこのおっぱいだったんだ。その彼女もカンチェンジュンガのアタックで行方不明になってしまったという。

■65歳になった和田さんは異次元から戻って同次元の人となり、いまは下界を歩いているようだ。「道路はあるが道がなくなった」、道無き道を歩き続けてきた登山家にとって下界は実に住みにくいところなのだろうと思う。

知名度は低いが峻険!7000m峰
ランタン・リルンはこんな山。初登頂記録を残した山ではあっても和田さんにとって恋する山ではないようだ。しかし、私にとっては、チョモランマ-マナスル-ランタン・リルンとヒマラヤで3番目に有名なピークとなる。

■因みに、11月22日の記事に書いた「ナニワの将棋少年」和田柔大くんのおじいさんというのはこの和田さんのことだ。
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