すごく良い本なんだけどここだけは気になると、ヨメさんが借りて読んでいた絵本を持って来た。

『ぶどう酒びんのふしぎな旅』 原作:アンデルセン
影絵:藤城清治 訳:町田仁 講談社 2010年 2857円
46ページの文にこうある。
すばらしい晩でした。おまけに、
暑くもなく、寒くもない、ちょうど
いい気候でした。
星が明るく輝いていました。月は新月でした
が、黄金色の輪郭を持つ青みをおびた球のよう
で、まったく美しい光景でした。
47ページの絵は下の写真。

新月と書かれているのに満月の様に描かれている。黄金色の輪郭を持つ青みをおびた球って書かれているのに黄金色の球に描かれている。
ヨメさんの解釈と疑問はこうだ。
「新月は、本来は朔の後に初めて見える月のことである。陰暦二日までは月はほとんど見えないので、陰暦三日ごろの月(三日月)が新月となる。(Wiki)」つまり天文学で言うところの見えない新月ではなく、青みを帯びた地球照の外側を縁取るような細い月が低空に見えている。月も細く低いので空には星が明るく輝いている。アンデルセンはそんな光景を表したのではないかと。
そうなると不思議なのは藤城清治氏が描いた光景。全面が黄金色の満月が頭上に輝いている。「新月:(3)十五夜に、東方に輝き出た月影(広辞苑)」という意味もあるから満月を描いても間違いではない。だがそれでは文と挿絵がまったく合わない。
大変高く評価され、多くの読者がいる絵本らしい。それだけにここが引っかかってしまって残念とヨメさんの感想。この部分にこんな疑問を感じた人は他にいなかったのだろうか。