2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
流れる光跡について
2013-09-28 Sat 00:00
9月17日の記事にアップしたアイソン彗星の写真についての考察。

2分のガイドで大きく流れたのは赤道儀のバランスが崩れたからだろうと書いたのだが、ほんとうだろうか。写真は上下が北南、左右が東西なので、流れているのは東西方向ではなく、地上に対して上下方向になっている。1309231.jpg我が家は北緯36度だから反時計回りに54度回転させると地上座標での見え方になる(右写真)。流れるのが東西方向でないということは単純にバランス崩れによる追尾ミスではないことになる。当然、ピリオディックモーションも関係ない。

写真の方向の超低空では写野の中に電線や高圧線が入ってしまうため、それによる回折現象で光が上下に散乱しているのではないかと最初は推測したが、余程望遠鏡の直前に物体が無い限り回折は起きないだろうとの指摘をいただいた。確かに、南西方向の超低空には問題になる様な高圧線が無いにもかかわらず、やはり上下方向へ流れた写真が多い。ということで、電線による回折ではなさそうだ。

大気差ではないかというご指摘があったのでそれについて考えてみた。
『天文年鑑』によると5度のときの大気差は9'53"、6度で8'29"だから、真の高度と9'53"のズレを持ったまま2分間追尾するとズレは8'29"へ狭まるのでその差9'53"-8'29"=1'24"の上下方向の光跡として写る。ただ、5度から6度までは上昇せずその40%くらいと考えられるので、1'24"x0.4=34″程度というのが大雑把な理論値だ。
写真は20cmシュミカセ(D=203mm、f=1260mm)で撮ったものをトリミングしてあるが、原板では横方向は230mmで約1度、光跡は3mmなので角度にして約48"となり、理論値と実測値がオーダーで合っている。

これまで星像が流れるのはバランス崩れとばかり思っていたが、東西方向の高度20度以下の低空で上下方向へ流れる場合はどうやら大気差が原因のようだ。この対策には、オートガイドか自動追尾+ガイド鏡による微調整しかないようだ。
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