2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
高エネルギー加速器研究機構2013年一般公開を見学
2013-09-09 Mon 00:00
先にお知らせした高エネルギー加速器研究機構(KEK)の一般公開日。今年は月初めでなかったおかげで久しぶりに見に行くことができた。とは言っても仕事を終えて午後からの参加。駐車場は遥か彼方に止めることは想定内の上に、雨もけっこう降っているので、半ズボン+裸足にサンダルで行くことにした。

会場に着いて、朝から来ていた友だちと合流。彼は最近素粒子について知る機会があったので、本イベントをお勧めしておいた。私の今回の一番の目的は15時からの「素粒子を見逃さない超高感度な眼(センサー):その最前線と意外な応用」についての幅淳二先生の講演。その前に少し時間があったので研究本館の展示をいくつか回って、超高精細な分解能のある開発中のSOIピクセル検出器、CERNでのLHC実験の改修と期待について、J-PARCの大強度陽子加速器施設の運用について、ニュートリノ発生標的交換を体験できるミニチュア装置などについて説明をしてもらった。

1309081.jpg講演会場は研究本館裏手の4号館。写真はロビーの壁のオブジェ。KEKの成果を代表する重要なイベントを表しているのだろうか?

講演内容は、まず、粒子検出器の歴史と種類をざっと。箔検電器、霧箱、泡箱、シンチレーション検出器、スパークチェンバー、ワイヤーチェンバー、ワイヤレスチェンバー、SOIピクセル検出器。ワイヤーチェンバーまでは学生時代に知っていたが、ワイヤレスチェンバーもあるんだな。かつての泡箱実験の時代には粒子の経路を読み取る作業のためにスキャナーと呼ばれる女性たちが働いていたものだと語られたが、大阪市大の高エネルギー研究室にもいましたね。その後はBELL検出器とATLAS検出器の構造とそれらのバームクーヘン状のどのリングが何を検出しているかをざっと。最後に、粒子検出器が社会でどのように使われているかと将来への期待について。

お話は具体的で分かりやすかった(ヨメさんの感想)が、基礎知識の少ない人にはけっこう歯ごたえあったようだ。確かに素粒子とその振る舞い、その関連装置など、業界人とマニア以外には馴染み無いのは当然かもしれない。

1309082.jpg本日の成果物。アンケートに回答してタオルをゲット。

初めて参加の彼の感想は「こんなにたくさん来ているとは思わなかった」というもの。日曜日1日のみの開催になったことはあるだろうが、こんな雨の中、実際たくさんの入場者だと感じられた。

一方でこんなニュースも。
・科学系の部活ない中学が73%、指導教員不足で
 いろいろな場面で日本が崩れ始めていることを感じるが、科学技術立国日本もまもなく今は昔の夢物語になることを暗示させるニュースだ。いくら世界最高の技術を誇っても後継者を育てる土壌が用意されていないのでは未来は暗い。また、先進的な科学と誰もが知らなければならない科学の乖離が激しくなりそう。科学的に考えることも生きるための技術の一つだが、科学技術立国と自称する割にこれまでもその辺りが育っていないのに、今後はどうなるんだと思わざるを得ない。
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