暴力的?とも言えるこのタイトル、この掴み、「なにがすごい実験なの?」と誰もがとりあえずは中身を見たくなる。

『すごい実験』
多田将著 イースト・プレス 1600円 2011年
金髪ロン毛で有名?な高エネルギー加速器研究機構(KEK)の多田先生が、茨城県東海村のJ-PARCと岐阜県神岡のスーパーカミオカンデで行われているニュートリノ実験(T2K)を中心に素粒子物理学と宇宙論について、高校生へ向けて分かり易く解説した4回の授業をまとめた本。帯に「類書に挫折した経験のある人にこそ推薦したい」という推薦文がある様に、一般の素粒子入門者向けの内容で、高校物理の知識があればさらに理解が深まると思う。
章立てはザックリ以下の様になっている。
第1章 加速器の説明
第2章 宇宙を構成する素粒子と力
第3章 素粒子実験の方法、粒子の捕まえ方
第4章 相対論や宇宙論、素粒子実験の意義
一つ希望を言うならば、かっこいい実験装置をもっとたくさん見せて欲しかった。実験をメインテーマにした本を読むのは加速器マニアが多いだろうから、全体の3分の1くらいを使って実験装置の美しいフォルムや実験室(素粒子工場)の内部を紹介してくれると「すごい実験」をより体感できるのではないだろうか。