2007年、33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名。その後の変化でただいま星空は休眠状態。郷土史、草刈り、読書、ドローンの記事が多くなっています。
『月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立』
2012-09-11 Tue 00:00
1209092.jpg 『月のえくぼを見た男 麻田剛立』
     鹿毛敏夫著 くもん出版 1400円 2008年

渋川春海をモデルにした映画『天地明察』公開が話題になっているからというわけでもないのだが、S.Uさんの一連の研究(東亜天文学会『天界』、日本ハーシェル協会ニューズレター、西中筋天文同好会『銀河鉄道』などに掲載)や金井三男さんの書評で興味を持った麻田剛立の伝記本を地元の図書室で借りて来た。

麻田剛立最大の仕事である正確な暦の編纂と深く関わっている日食・月食の観測については多くのページを割いて書かれている。不食7回を含めると生涯に50回もの日食・月食観測を行っているようだが、本書を読んでいると雨や曇りに邪魔されたという記述が全くない。当時の日本は晴天率が格段に高かったのだろうか。本書は子どもが読んでも飽きない様にという配慮からだと思うが、観測や計算の具体的な記述が省かれているため物足りなさを感じる。その辺りを補ってもらえると天文学史の紹介書として深まると感じた。

金井氏は書評で「児童書コーナーに置かれるべき本ではない」と書いているが、「子どもと大人が共有できる新しい児童文学」と出版社は独自のカテゴリーを想定しているようなので児童書コーナーに置いても良いと思うし、地元の図書室でもやはり児童書に分類されていた。もちろん、誰が読んでも楽しめる本だという評価に変わりはないが。

月面には麻田剛立に因んだ「アサダ」クレーターがあるそうだ。危機の海に面した静かの海の縁で直径12km程らしいので、次の機会に見てみよう。
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