33年の時間を巻き戻し天文少年ならぬ天文壮年へ再入門。隊員1名、200mm、65mmの望遠鏡と双眼鏡で星空を楽しんでいます!
星句 2022年
2022-12-30 Fri 00:00
星句というタイトル、カテゴリーにもかかわらず星を詠んだものはなし。

誕生日に詠める。
 コロナ禍を生き延び次の八月尽
 歌声を待ち侘びるころ八月尽(8月31日)

井関進さんの丹波篠山埋め墓参りの日に、遠方より詠める
 逢う機会ついに無けれど 科学者の責任世に問う道標の人(11月21日)

第36回都々逸全国大会(11月13日)
 宿題句 お題:「持」「続」「可」「能」のいずれか一字以上を使う
  声は交わせど逢えぬ日続き 募るは思いと電話代
 自由句
  あの娘目当てに稽古屋通い 思い同じは恋敵 [佳作]
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星句 2021年
2021-12-30 Thu 00:00
大阪市大木野茂先生の対話型授業最終講義をモグリ聴講した後に詠める
 声高の巷の雑音(おと)の向こうから届く友らの声ぞ楽しき
                         (2021年07月30日)

第35回都々逸全国大会
 宿題句お題:「東」「京」「五」「輪」のいずれか一字以上を使う
 東西宴の祝いのきょうも五濁悪世(ごじょくあくせ)の内輪もめ
                         (2021年9月14日)
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今年の都々逸全国大会は、、、
2021-11-08 Mon 00:00
2111052.jpg中止になった昨年を挟んで2回目の投稿をした第35回都々逸全国大会だったが、見事に掠りもしなかった。おめでたい五輪の時代や社会を揶揄する内容は祝賀ムードには相応しくないのかもしれない。こういう時こそ都々逸や川柳が生き生きすると思ったのだが目論見は大外れ。投稿句はいつものように年末30日にご披露しようと思う。
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星句 2020年
2020-12-30 Wed 00:00
今年はなんといっても常陸太田市の都々逸全国大会が中止になったことが残念だった。まだまだ新型コロナを笑いのネタにできる時期ではないのだが、敢えて抵抗のつもりで作ってみたものの中から一つと、石川県加賀市での熊出没のニュースを耳にして山中温泉の知人を思って作ったもの一つと、今年はこれだけ。

 目もとほめられ悪い気せぬが うれしさ半ばのマスク美人 2020年7月2日
 山中山代馴染みの獅子に 熊が恋路の邪魔をする     2020年10月17日
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常陸太田市の都々逸全国大会は中止
2020-09-06 Sun 00:00
第34回都々逸全国大会中止常陸太田市の第34回都々逸全国大会について、今年は歌の部は無理でも投句の部だけでもやりましょうよと教育委員会の知り合いにお願いしておいたのだが、願い虚しく中止のお知らせが届いた。コロナの年も変則開催で継続したという実績になったはずなのに残念だな。今年ならではの一句も作っておいたので思惑が外れたというのが本音なのだが。
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星句 2019年
2019-12-30 Mon 00:00
今年はとうとう星句は作らず出さずの年になってしまった。たまの変光星観測のときくらいしか実際の星空を見ないので、ああという感動も少ないのだから、作れないのは当然かもしれない。

ということで、今年は和歌一首(8月18日記事のもの再掲)と都々逸一句だけになった。

 帰国するご夫妻の送別会で詠める歌一首
  かぎろいの春に出会いのなかりせば
    なんぞ別れの悲しからまし

1911262.jpgもう一つは都々逸。春に「土浦まちゼミ」の男の着付け講座に参加したときの、ああという感動を題材にして作った作品を常陸太田市で開催された第33回都々逸全国大会へ投稿したところ、自由句の部で大賞に選んでいただけた。今年はこれをご披露して星句に代えたいと思う。

 先へ進もか 戻ろか行こか ここが思案の 身八つ口
1911263.jpg
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星句 2018年
2018-12-30 Sun 00:00
2018年
5月
 若草に光のどけき石仏1810271.jpg

15年ほど前に地元の石仏めぐりをした折にメモしておいた句をちょと改良した。(05月19日)

7月
 友の妻の病の知らせ 柚子の箱
 妻思う友思う妻思う友
 亡き妻の武勇や 蝉の声に消え

2013年10月、箱いっぱいの柚子を送ってくれた青木さんの手紙に妻美智子さんの癌発見のことが書かれていた。2018年7月9日ご逝去。(07月21日)

8月
 八月尽 荒天他所に宴果てず

昨夜は雷雨にもかかわらず、誕生日会は遅くまで賑やかだった。(08月28日)

9月
 猛暑の熱は宇宙へ及び燃える火星の大接近

地元のイベントで俚謡を募集していたので投稿してみたら、残念賞の参加賞が届いた。「猛暑」「熱」「燃える」「火星」と、今年の夏の熱風が蘇るような一句を目指したが力不足だった。(09月22日)

12月
 寒星のすき間に閃光ふたご群
 ふたご群の合間にチラ見ウィルタネン

透明度は良くないが19時50分から20時30分まで空を眺めてみた。明るい散在1個、ふたご群3個。合間にοCet3.7等。ミラはもう極大を過ぎたのかもしれない。ウィルタネン彗星のコマが5cm双眼鏡でもはっきり見えている。(12月14日)
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熱風蘇らす俚謡 力不足
2018-10-27 Sat 00:00
1810261.jpg地元のイベントで俚謡を募集していたので投稿してみたら、残念賞の参加賞が届いた。

 猛暑の熱は宇宙へ及び燃える火星の大接近

「猛暑」「熱」「燃える」「火星」と、今年の夏の熱風が蘇るような一句を目指したが力不足だった。
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星句 2017年
2018-01-04 Thu 00:00
2017年
1月
 年越しの宴はノロに流れども我が人生は流さずのろのろ (01月01日)

1701021.jpg ヴィーナスに美少女の月語りかけ

今夕は金星に月齢4の細く美しい月が並びかけていた。月の苦手なかすてんでもここいらあたりまでは愛でる心がないわけではない。ただ、、、

 美少女の月の季節は短けれ

ここを過ぎると魅力消失。(01月02日)

 金星は月と見まごう光発ち

暗い田舎の空だけでなく、明るい街の上にも金星は燦然と輝いている。(01月28日)

 節分の近づく空は 霞雲

長く安定した1月空にも薄雲がかかり始めた。もうすぐ節分。冬と春の境目。からす座の十字が、南の十字へ誘う季節。(01月29日)

 高齢化 三途の川まで送迎車
 虎の子の年金 三途の心づけ
 閻魔の庁 地獄めぐりの改札場
 あの世での 名優観劇お楽しみ

芝居が好きだった母のために川柳を作って、その後あの世観光の予習として桂米朝『地獄八景亡者の戯れ』を母を囲んで家族で見る。(01月30日)

2月
 香雪蘭 薫る季節に我逝かん

母に代わって作った辞世の句。母が逝ってもう1週間。初七日には、好きだったフリージアの花を食卓へ置いてみた。そして、今後母の命日は「香雪蘭忌」と名付けることにした。(02月03日)

3月
 南風得て 雁 高度を増しにけり
 雁高く 北へ消えるや 春の空

3月4日の「追い風を受け、群れは信太古渡上空を越え北東から北の方角に向きを変え、高い高度で飛び続け7:43視界から消える。」の描写は感動的。(03月07日)

5月
 十六夜月を背に早々と白む星 (2015年05月05日)

7月
 工場のあかりが消えて 天の川

ずいぶんと久し振りに観測小屋の屋根を開けた。6月6日以来だ。準備に手間取ってしまったがその間に曇ることもなく観測を始めることができた。(2015年07月10日)

 夕映えに 小魚弾む流れ海

一昨日、沖宿から土浦を臨み、思いがけず美しい夕景を目にした。(2015年07月29日)

8月
 夜明け前 虫を払いて 初すばる

まだまだ寝苦しい夜が続いているが、明け方の東の空に初すばるを見た。(2010年08月11日)

 8月の初晴れ夜空は天の川
 久々の 晴れ間を横切る流れ星
 漸くの晴れ間に名残りペルセ群

8月初めての晴れ間に天の川が見えていた。ヨメさんなど、わずか5分間に流れ星を3つもゲットしたと言う。(08月24日)

 真夏の夜歳まぜこぜの宴かな
 夢追いに八月尽も宴果てず

あまり気分に代わり映えのしない誕生日だが、これからはむしろ1年前と同じというのがハッピーバースデーのような気がする。(08月31日)

9月
 彼岸過ぎ 壁に百足の踞る (2015年09月21日)

 中日を境と知るや 彼岸花

先週から仕事の行き帰りにずっと気になっていた道路脇の彼岸花。彼岸の中日を過ぎ花の盛りも過ぎて、ようやく仕事帰りに撮って来れた。(09月26日)

10月
 星月夜 亀城の櫓 白き壁

宴が終わって店を出ると土浦城の東櫓の向こうに月が沈むところ。街中では星月夜を望めないのは残念。(2015年10月19日)

[記]過去に作って今年投稿した俳句は、作った季節のところへ年月日を入れて挿入してある。
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星句 2016年
2016-12-30 Fri 00:00
2016年
1月
1601012.jpg 年越しを笑い明かして目覚めれば青空の中に浮かぶ月かな

国本武春のDVD『どか〜ん! 武春劇場 tour2007』を見て大笑いしながら年越しし、目覚めた時にはすでに空は明るくなって白い月が西空に浮かんでいた。(01月01日)

 美少女の季節を過ぎし 夜半の月

数日前までの細く美しい姿から豹変、満月には数日早いが明るさは十分。(01月20日)

2月
 古城址の土塁に佇むダースベイダー

土浦市内の永井城跡を歩いていたら、こんなひとに出会った。土塁の上でお地蔵さんと並んで人びとを守ってくれているんだろう、古城趾のダース・ベイダー。(02月02日)

3月
 我が寒き駄句にも春陽 焔印

陶芸家の焔雄さんがかすてんの遊印を作ってくださった。こんな洒落たデザインの印ができてしまうと、しょうもない俳句でも量産してポンポン押さないともったいないな。(03月18日)

8月
 星めぐり 八月尽の歳還

玉青さんがブログで「八月尽」を取り上げていたのでさっそく頂戴した。八月尽は私の誕生日。(08月31日)

9月
 佐渡に来て 今宵は頭上の天の川

佐渡では両津港近くで裏庭が加茂湖に面している宿に泊まった。明治35年築の元遊郭だったという建物はなかなか良い雰囲気を醸し出していた。近くの路地から加茂湖の汀へ出ると、南西の水平線に横たうさそり座からカシオペア座まで頭上に天の川のアーチが架かっていた。天の川が佐渡に横たうと詠んだ芭蕉の句はあまりに有名だが、出雲崎からは佐渡に横たわって見えていた天の川は、佐渡では天空にアーチを架けているこの天の川だったのだ、なんてことはないのだが、加茂湖の水平線から湧き上がるあの見事な光景は忘れられないだろう。(09月03日)

 夕凪に魚跳ね遊び秋の声

仕事帰り、目を休めに霞ヶ浦の堤防に立つ。海風が涼しい。凪いだ水面に魚の跳ねた波が立つ。サギ、アオサギが岸で餌を食い、鴨はのんびり湖面を滑る。(09月10日)

 大水の記憶一筋樫垣根

鬼怒川決壊から一年。まだまだ元どおりとは言えないと思う。壁の泥も生垣の泥もほとんど消えてしまったかもしれないが、剪定する余裕の無い生垣を斜めから見れば、あの日の記憶が浸水のラインと共に蘇る。(09月11日)

12月
 大晦日 少女の月と星納め

45P/本田・ムルコス・パジュサコバ彗星は見られなかったが、美しい夕空に、細く綺麗な月と金星が見えたので、良い星納めになった。

番外
 どこかに忘れた荷物を探し道を辿れば我が自宅

昨年、四日市を再訪した時に大忘れ物をやらかしてくれた忘れの天才のヨメさんだが、荷物を受け取りに行く途中の駅で思わずできた俚謡にちょっと手を入れてこの秋の地元の俚謡コンテストへ投稿。(2015年9月29日)
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布川一茶俳句大会作品集
2016-12-18 Sun 00:00
1612172.jpg先月のことになるが、布川一茶俳句大会に事前投句していたので、最終日の11月27日に会場の利根町布川の徳満寺まで見に行ってきた。客殿の廊下には数百もの俳句が並んでいて、とても読み切れなかった。

1612171.jpgありがたいことに、全句を冊子にした作品集が今日郵送で届いた。全国から投句されているのに驚いた。
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駄句のホコリ叩き
2016-12-04 Sun 00:00
いつかどこかへ投稿しようとブログには書かずにいた駄句が溜まってしまったのでホコリ叩きと思い、この秋は3つの俳句イベントへ投句した。それらがすべて終わったのでようやくここに書くことができる。笑われそうなくらい昔のものもある。

1612011.jpg★写真&俳句のコラボレーション展(神立)

 秋桜に誘われたどる仏道

宝篋山ハイキング。小田休憩所の周りの秋桜に見送られ、極楽寺コースを登り、常願寺コースを下りてきた。4時間40分。このフォト俳句は、左上山頂の電波塔に気づいてもらって→宝篋山→その南麓、極楽寺跡と連想していただけると、仏道の意味が通じるという壮大な(無謀な)趣向が隠されている。(2015年10月13日)

★第17回小野小町文芸賞(土浦)

 星めぐり 八月尽の歳還

玉青さんがブログで「八月尽」を取り上げていたのでさっそく頂戴した。八月尽は私の誕生日。(2016年08月31日)

 佐渡に来て 今宵は頭上の天の川

佐渡では両津港近くで裏庭が加茂湖に面している宿に泊まった。明治35年築の元遊郭だったという建物はなかなか良い雰囲気を醸し出していた。近くの路地から加茂湖の汀へ出ると、南西の水平線に横たうさそり座からカシオペア座まで頭上に天の川のアーチが架かっていた。天の川が佐渡に横たうと詠んだ芭蕉の句はあまりに有名だが、出雲崎からは佐渡に横たわって見えていた天の川は、佐渡では天空にアーチを架けているこの天の川だったのだ、なんてことはないのだが、加茂湖の水平線から湧き上がるような見事な光景は忘れられないだろう。(2016年09月03日)

 夕凪に魚跳ね遊び秋の声

仕事帰り、目を休めに霞ヶ浦の堤防に立つ。海風が涼しい。凪いだ水面に魚の跳ねた波が立つ。サギ、アオサギが岸で餌を食い、鴨はのんびり湖面を滑る。(2016年09月10日)

 大水の記憶一筋樫垣根

鬼怒川決壊から一年。まだまだ元どおりとは言えないと思う。壁の泥も生垣の泥もほとんど消えてしまったかもしれないが、剪定する余裕の無い生垣を斜めから見れば、あの日の記憶が浸水のラインと共に蘇る。(2016年09月11日)

★布川一茶俳句会(利根町)

 秋風を身に纏いつつ初すばる

台風9号一過の爽やかな日が過ぎ透明度の良い夜がやってきた。(2010年09月09日)

 天狼も軒を離れて秋深し

隣家に隠れていたシリウスが漸く軒から離れて見えるようになって来たということは、もう秋も深まり冬の寒さを感じる季節になったということでもある。(2010年11月01日)

 東天に輝星揃いて風凍る

長らく観測小屋での観測をしていないが、MacBookAirでの制御可能の確認をして小屋を閉めると頭の上には冬の星々が勢ぞろいしていた。(2015年11月12日)
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「小野小町文芸賞」に挑戦 2回目
2016-05-29 Sun 00:00
一昨日の『常陽新聞』に今年も「小野小町文芸賞」募集の記事が載っていた。
 →短歌、俳句の力作公募 土浦「小野小町文芸賞」大賞額装し展示

1605281.jpg今年も無理を承知で挑戦するつもりなので募集要項を取りに行かなくてはと思ったら、早速郵送で届いた。
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星句 2015年
2015-12-30 Wed 00:45
近頃、どこかに投稿してやろうという欲どしいことを思いついたため、未投稿状態にしておく都合上作った句や歌を自分のブログでも公開できないでいる。ここに載せるのは投稿する気も起こらない駄作か落選作かどちらか。

2015年
1月
 月明かりに輝星もたじろぐ白き空でラブジョイが放つ青き光芒

1月11日頃最大光度になるラブジョイ彗星(C/2014 Q2)。現在は4等台後半だろうか。冬の輝星たちですら月明かりにたじろぐ中、双眼鏡の中で大きな青い光芒を見せて堂々たるものだ。(01月07日)

 目安星無くても迷わぬラブジョイ探し

「ヒアデス星団の近くにいる」程度の目安でも、双眼鏡を適当に振り回せばたちどころに青い光芒が視野へ飛び込んでくる。(01月10日)

 雲切れて水面に映える月影を早くも隠す霞浦かな

小野小町文芸賞落選。(2015年01月27日)

2月
 西空にオリオン傾き 冬惜しむ

寒い冬を惜しむ人は少ないだろうが、寒くはあっても晴天の多い冬の終わりを感じると惜しい気持ちになるのは星好きに共通した気持ちではないだろうか。(02月01日)

 土の香を纏い沸き立つ朝霞

雨上がりの朝、畑から物凄い蒸気が立ち昇っていた。陽の光にも春の香りを感じる。(02月27日)

5月
 ここまでは美少女に見える細い月

下の句をつけるとしたら、〜これを過ぎると恋も冷え冷え、ってところか。それを暗示する雨が間も無く降ってきた。(05月20日)

7月

1507271.jpg 短夜の土浦もまたマンハッタン

友人とISS観望地を探しに沖宿へ行ったときに見た土浦の夜景がけっこうきれいだった。10月に開催された神立商工振興会主催の「写真&俳句のコラボレーション展」に写真とともに出展した。(07月29日)

10月
 秋桜に誘われたどる仏道

1612011.jpg宝篋山ハイキング。小田休憩所の周りの秋桜に見送られ、極楽寺コースを登り、常願寺コースを下りてきた。4時間40分。このフォト俳句は、2016年「写真&俳句のコラボレーション展」へ出展。左上山頂の電波塔に気づいてもらって→宝篋山→その南麓、極楽寺跡と連想していただけると、仏道の意味が通じるという壮大な(無謀な)趣向が隠されている。(2015年10月13日)

11月
 東天に輝星揃いて風凍る

長らく観測小屋での観測をしていないが、MacBookAirでの制御可能の確認をして小屋を閉めると頭の上には冬の星々が勢ぞろいしていた。(11月12日)

 スーパームーンと浮かれてみても15%(パー)の違いを誰が知る
 暗くなるなりゃ愛でてもやるがスーパームーンのでかい面
 義理堅いこと旅立つ際の顔見せ挨拶はやぶさ2
 冬は寒いし夏場は蒸すし小屋はヤモリにまかせきり
 朝の快晴いつでも不思議夕べの曇りはいつ晴れた

都々一坊扇歌を話題にした時に天文都々逸(天どど)として作ってみた。(11月28日)

12月
 寝息立つ子牛の眠りを覚まさじとふたご座流星そっと飛び交う

小野小町文芸賞に落選したので1年遅れで掲載。S.Uさんに好評だったのはうれしい限り。(2014年12月14日)

1512273.jpg 年の瀬のもの侘しさと裏腹に 師走の原に揺れる菜の花

暖かな年末です。(12月27日)
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星句 2014年
2015-01-12 Mon 00:00
2014年
9月
 軒の間のわずかの隙に冬の星

今年は梅雨の最中も、梅雨明け後も、真夏にも星空はほとんど現れなかった。ようやく秋空になってきたようで、観測小屋からの帰りがけ、自宅と隣家のわずかの隙間から見上げた空にはもう冬の星々がぎっしりだ。(09月29日)

11月
 おうし座に微かな光 友の名の星

8月10日発表の小惑星公報(MPC)で命名された星友達に因む小惑星(9422)Kuboniwa。光度16.69等では目には見えないが光子は確かに届いている。(11月13日)

12月
 大流星 師走においしい酒が飲め

来年はぜひ大彗星でも旨い酒を飲んでみたいものだ。。(12月18日)
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星句 2013年後期
2014-01-07 Tue 00:00
2013年
8月
 晴れ渡り 1週遅れのペルが飛び
 澄んだ空 牡牛も応えて長便り
 低空にアイソン探して空白む

久しぶりに綺麗な星空だったので、撮影の合間はなるべく空を見上げていた。3時41分、ペルセウス座からおうし座へ流れ星。しばらくして、3時46分、今度はおうし座からペルセウス座へ長い流れ星。そんなこんなしている間に東の空は早々と白んでしまった。(08月19日)

9月
 うれしさも中くらいなり晴れの月

台風18号一過の昨夜、というか17日の明け方前は今年最高の星空になった。5月以来間断無く居座っていた湿気を帯びた空気は一掃され、涼しい空気と入れ替わった。最近は真冬にもなかなか現れないような気持ちの良い青い空が広がった。夜になっても湿気は戻らず快晴の夜が続いているのはうれしいが、満月直前の大きな月が手元ライト不要なまでに照明してくれている。(09月18日)

10月
 寒暖の18℃差に星冴える

昨夜は同好会の例会だったが早朝に備えて早引き。昼間の32℃からぐんぐん下がって今は14℃。夜の始めに一時豪雨があったが明け方は霧も無く快晴。(10月13日)

12月
 アイ&ラブ探し 冬星沈む冬初め

近日点通過で崩壊したためアイソン彗星は見えないがラブジョイ彗星だけでもと明け方霞ヶ浦へ出かけて行った。その頃冬の星々は西へ沈んで行くところだ。(12月01日)
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星句 2013年前期
2013-06-30 Sun 00:00
2013年
1月
 この朝もいつもと変わらぬ星始め

リニア彗星撮影の後は、バーティノフマスクを使ってNCT-12のピント確認、手動導入の生命線3cmファインダーの調整、EdgeHD800のファインダーの調整、極軸の調整をまとめて行った。いつもと変わらないとは言いながらも、調整作業を終えて気持ちの新たまる2013年の星始めだ。その後、今年は快晴にも関わらず太陽を拝めない初日の出となった。(2013年01月01日)

5月
 工場の明かりか 夏の天の川

天頂のはくちょう座にはボンヤリと天の川が掛かっているようだが、ケフェウス座からカシオペア座辺りは数ヶ月前に点灯された工場の明かりの中へすっかり飲み込まれている。もう今後はいかに快夜が来ようとも、アーチのような天の川が見られる事は無いのかなぁ。(2013年05月07日)
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星句 2012年後期
2013-01-22 Tue 00:00
2012年
8月
 雲一点ない空 架かる銀河雲

今夜は珍しく夜の初めから快晴で、夜半前の観測が終わっても快晴で、日が変わって寝る前にも快晴なのでミラを追加で観測、翌朝起きても快晴だった。こんな日はめったにない。快晴の空に天の川だけがぼうっと雲の様に架かっている。(08月19日)

 軒越しに 冬の星々昇り来る
 冬星に 二つの明星加われり

東側の空を見上げると、冬の星々に木星と金星が混ざっているものだから賑やかな事この上ない。(08月23日)

10月
 牛の寝息 オリオンの流星そっと飛び

オリオン座流星群の夜、椅子にもたれて空を眺めている割には飛ぶ流星の数はあまり多くはない。隣の放牧地から牛の寝息が聞こえて来る静かな時間。(10月21日)

 快晴も霞も同じ 秋の月

満月前後の明るい秋の月の下では、快晴でも霞でも同じ様にほとんど星は見えない。(10月31日)
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星句 2012年前期
2012-06-30 Sat 00:00
2012年
1月
 シリウスに向かいて 今年の星始め
 星始め 野帳の頁をひとつ繰り
 晴れたから観測しろと空が呼び
 晴れたので表へおいでと星の声

元日の今日も朝から仕事で呼ばれてしまった。夕方にも再度出るはめに。こういうときには帰宅時に見る曇り空を却ってありがたく感じてしまう。ところが、思惑通りには行かないもので、寝ようと思って空を見上げると晴れていたので2012年の初観測を行った。(01月01日)

 獅子昇り しかして春はまだ遠く

朝4時の小屋内の気温はー4℃で、缶のお茶もシャーベットになってしまった。春の代表的な星座のしし座が火星を従えて天頂へ駆け上って来たが、今年の冬の寒さは厳しくて暖かな春はまだまだ先の事のようだ。(01月30日)

2月
 見上げても 雨上がりの空 霞む星

雨上がりで、快晴にも関わらず霞に包まれて観測にならなかった。(02月23日)

3月
 西風の収まる夜半が稼ぎ時
 西風の収まる夜半の火星時

昼間の強風も「西風と日雇取りは日いっぱい」の言い伝え通り、夜になると嘘の様に収まって離れつつある火星を観望できた。(03月12日)

 霞立ち しし座の火星も色白み

今朝はようやく氷点下にならなかったようだ。昼間少し暖かくなったが夕方にはまた寒くなった。それでも、空は全体がぼんやり霞んで、春の夜空になってきた。(03月28日)

6月
 気がつけば さそりの鎌が被りおり
 雲間よりさそり怪獣現わるる

さそり座は気づかないうちに南の空に来ていて、ふと見上げた林の向こうから怪獣の出現の様に不気味な鎌をもたげて蠢いている。毎年この季節になると一度はさそりの出現に脅かされる。(06月26日)
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星句 2011年後期
2011-08-31 Wed 00:00
2011年
8月
 機器設置準備完了 秋雨の入り
 続く雨 今宵も開かず小屋の屋根
 秋雨で完成足踏み 雨の漏り

明日も雨が降るらしい。ガルバ波板施工やり直しで、ビスを抜いた100カ所の穴からまた雨が染み込んでしまいそう。(08月23日)

 潤む星 快夜を待ちつつ また一年

星の見える夜を待つうちにまたひとつ歳を重ねてしまった。(08月31日)

9月
 道ばたにころがる栗を月照らし

残暑は衰えず、まだ秋を実感できないのに、栗林の栗はもう収穫時期になっていた。(09月17日)

10月
 秋深く 縦三ツ星が昇り来る
 霞み散る冷たき空に星増える
 風邪ひきの感冒ゆえに観望はなし

空気が冷たくなり、星の数がぐっと増えた。(10月31日)

12月
 年の瀬の空にはすでに春の星

ちょっと遅い時刻に空を見上げると、一足早い季節の星々が東の空に勢揃いしていて、まるで舞台の袖で出番を待っている俳優のように見える。(12月22日)

 カノープス 梢が邪魔な南中時
 カノープス 梢の谷間を走り抜け
 カノープス 南中時には雲多し

23:45頃カノープス南中。23:57に5cm双眼鏡で見た今期初カノープスは観測小屋から見る初めてのカノープスでもある。その後も彼方の林の梢の隙間に見え隠れしながら24:35まで見えていた。(12月25日)
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星句 2011年前期
2011-01-08 Sat 00:00
2011年
1月
 うさぎ座の星見てともに年始め

雲が多くてうさぎ座の変光星RX Lepの観測はできなかったが、うさぎ座を眺めながらうさぎの年の始まりを迎えた。(01月01日)

 はくちょう座十字となりて 夏遠し

はくちょう座は夏の星座の印象が強いが、北十字となって北西の地平線に突き立つ季節になるころには、あの暑い夏のことなど遠い昔のことのように思われる。(01月04日)

 先達の遠き旅立ち 寒椿
 先立ちて西を目指すや 寒昴

西方浄土への先導なんてしてくれなくてけっこうなんですけどね。(01月13日)

2月
 からす座が十字となりて 春近し

雲が出て来て立春のからす座は見られないが、雲が多くなって来たというのも冬から春への変化の兆しだろう。(02月04日)

 冬星は 霞の向こうに遠くなり
 雨上がり 晴れてもにじむ冬三角

ここ数日ですっかり季節が変わった。空気に乾燥感が無くなって、風景も星空も霞の向こうに遠くなった。(02月09日)

 春一番 オリオンさえも西へ吹き

風も収まったので庭へ出ると、すでに冬の星々が西の林の向こうへ隠れようとしている。入れ替わるように、頭の上にはしし座、おおぐま座が昇っている。これからは三寒四温で春へ向かう。(02月25日)

3月
 震災の闇夜も 普段の光害
 床に入りまんじりともせず 余震の夜
 震災の停電の空に ベガ昇る

平成23年東北地方太平洋沖地震(M9.0)。茨城県南も震度6強。地域全域が停電のため民家だけでなく国道の街路灯も消えているのでこんなに暗い夜はまたとはないはずと観測に出た。しかし、首都圏の光は普段と変わりなかった。(03月11日)

 大震災あれども 天界移ろえり

3月11日の東北関東大震災から2週間。冬の大三角は西へ去り春のしし座もすでに天頂を過ぎようとしている。地上の泣き笑いなどとは何の関係も無く冷ややかに廻る天界だが、それを眺めて人はなぜ心を癒されるのだろうか。(03月24日)

4月
 寒空に星見の気分花曇り

4月になったというのに寒い雨が続いている。星見をする気分にならないというか、そもそも星が出ない。(04月05日)

6月
 気がつけば しゃっちょこ立ちの北斗かな

今年は春が素通りで、夏の大三角を頭の上に眺めてから、北斗が西へ急降下していることに気づいた。(06月28日)
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星句 2010年後期
2010-07-28 Wed 06:40
4月以降星の見える夜が少なくなるにつれて「ああ」という感動も薄れてしまっていた。梅雨明け直前の7月15日、久しぶりの好天に恵まれ、「星句 2010年後期」を始められる気分になった。

7月
 梅雨明けて 早くも低きさそりかな

3月中旬以降の悪天で、4ヶ月間ほとんど星が見られなかったので、梅雨が明けた時には夏の星座のさそり座もすでに西へ去ろうとしている。

 空晴れて ますます淡き天の川

数年ぶりの梅雨明けの快夜だが、以前の天の川はもう少しはっきり見えていたような気がするのだが。(07月18日)

8月
 高気圧 猛暑と引換え 天の川
 猛暑耐え 夜風と仰ぐ 天の川

今年は太平洋高気圧の勢力が強く猛暑になっているが、そのおかげで晴天が安定し三日連続の天の川日和になった。昼間の暑さとの戦いのご褒美として、ありがたく受け取ろう。(08月05日)

 明けの空 虫を払いて 初すばる

まだまだ寝苦しい夜が続いているが、明け方の東の空に初すばるを見た。(08月11日)

 天の川 仰ぎて 小さき年重ね
 低空に星々見える 誕生日
 白夜空(しろよぞら) しだいしだいに星が増え
 大三角かすめて 白き流れ星
 むら雲に包まれ 赤き月昇る

人間の時間なんて天文学的時間と比べると取るに足りないものだと考えてしまうが、とは言え、誕生日の夜の好天とはありがたい。天の川がうっすら見え、流れ星が飛び、風情ある月が昇って来て、プレゼントでいっぱいだ。

 夕涼み さそりのしっぽの沈み行く

相変わらず暑いので去り行く夏を惜しむとは言わないが、夜風には確かに秋の気配を感じる。(08月31日)

9月
 夏越えて 台風一過の星三昧
 秋風を身に纏いつつ 初昴
 昴出て 北へ移りし夏銀河

台風9号一過の爽やかな日が過ぎ透明度の良い夜がやってきた。今夜が初昴というのは嘘。(09月09日)

10月
 夜更け前 縦三ツ星が昇り居り

22時半頃、寝る前にもう一度外に出ると、東の地平線近くにオリオンの三ツ星が縦に並んでいた。今期初オリオンだ。(10月08日)

11月
 天狼が軒を離れて 秋深し
 天狼も軒を離れて秋深し

隣家に隠れていたシリウスが漸く軒から離れて見えるようになって来たということは、もう秋も深まり冬の寒さを感じる季節になったということでもある。(11月01日)

 空晴れて 我こそ秋の一つ星

低空なので雲に邪魔されやすいのだが、晴れさえすればこっちのもんさ。(11月03日)

 カノープス 瞬きする間に出消えり

木々のわずかの隙間から漏れて見える赤い光。我が家の庭から見えるのは実に短い時間なのだ。(11月05日)

12月
 風残り 降る星逃す 快晴夜

昨夜からの大雨は昼前に止んだが、その後は台風並みの強風が吹き荒れた。夜になっても強い風が残り、双眼鏡の視野の中で星が飛び跳ねていた。空はきれいなのだが星見は諦めだ。観測小屋ができたらこんな夜でももう少し快適に星見ができるんだろう。(12月03日)

 冬枯れの梢の隙に 流星群
 寒空にシリウス射抜く 群流星
 寒風の薄明 なおも星流る
 暁の金星に対峙 ふたご群

3時に起きるつもりが寝過ごす。4時30分から流星観望。西に傾いたふたご座の輻射点方向を1時間眺めて、群流星16個、散在流星4個を見た。薄雲があるわりにはまずまずの収量。東に金星が輝いていた。(12月15日)

 木星は 葉の無き欅の 枝に生り

木星が西の林の、それもずっと低いところにちらちらと見え隠れしていた。(12月16日)
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佐渡によこたふ天河
2010-04-08 Thu 00:00
松尾芭蕉の句

 明けゆくや 二十七夜も三日の月

が、新しい小学校理科の教科書で月の満ち欠けを学ぶ教材として取り上げられたと紹介くださったS.Uさんが、それに関連した「天文俳句」として

 荒海や佐渡によこたふ天河

を挙げられていた。これも有名な句で、1689年7月4日(陽暦8月18日)に現在の新潟県出雲崎から北西方向に佐渡を臨んで詠んだらしい。では、芭蕉はそのときどのような天の川を見ていたのか。
1004041.png1689年8月18日の宵の口21時に出雲崎から北西を眺めるとこんな夜空が見えていたようだ。天の川は天頂を通って北から南に大きくアーチを架け、とても、佐渡によこたふというイメージとは違う。1004042.png一方、明け方3時の北西の空には佐渡島に覆い被さる様に天の川が見える。昔の旅人は夜更かしはせず早起きだろうから、芭蕉が見たのはきっと明け方の空だったのだろう。
ちなみに、北西の水平線にべったり寝そべる天の川が出雲崎から見られるのは春のようだ。
★★

[お知らせ]科学技術ファンのみなさんへ「科学技術週間」に関するお知らせがS.Uさんから寄せられています。下のコメントをご覧ください。
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星句 2010年前期
2010-01-08 Fri 00:05
以前から、俳句、短歌、俚謡、川柳など自分でも作れるようになりたいと思っていたが、どうも密かに思っているだけでは進歩しないみたいなので、恥を覚悟で実際に作ってみる事にした。季語が無かったり、どこかにあるようなものも現れるだろうが、手習いをしていると思って大目に見てやってください。

2010年
1月
 新年の夜もひと夜 またひと夜 

年は改まっても星は変わらずにそこにありますが、同じ星を見ながらまた一期一会も感じます。

 風受けて 視野の火星 跳ね回る
 天仰ぎ ピュルルと風に 星凍る

今夜の火星は模様どころではありませんでした。 (01月01日)

 枯れ葉踏み 迎える火星 東空に 

2年間待ちに待った火星が近づいてきた。まだ小さすぎて観測には適さないが、東の空へようやく上がってくるのを待ちわびる様に冷え込みの厳しくなった夜半過ぎの庭へ迎えに出て行く。晩秋に感じた気分。(01月03日)

 天狼の 眩き光 青く冷え

この夜のシリウスの光のなんと冷たく青かったことか。天狼では季語にならないかもしれないが、星句であれば許されるだろうか。(01月05日)

 寒き夜 仰ぎて「ああ」と星一句

「ああ」という感動の叫びが俳句を作る源泉という山口誓子の言葉に励まされ、「星の俳句」カテゴリーを作ることにした。

 凍てし夜の 霞に赤き寿老星
 凍てし夜の 林に遠き寿老星

寿老星はカノープスとふりがなを振った方が良いかもしれない。この2句は昨年鈴木壽壽子さんに触発され作ったもの。(01月06日)

 小接近 視野へ火星を招き入れ

小接近でも今回は特に待ちわびていた。その気分から「招き入れ」た。冬場に起こる小接近は季語の代わり。(01月10日)

 夜明け際 寒風背にし 細き月
 細き月 筑波おろしで星三昧

1月11日の早朝、変光星観測を終えたとき、寒風吹く夜明け前の東の低空に月齢25過ぎの細い月が昇っていた。月が細くなった上に筑波おろしの空っ風が吹けば、雲も吹き飛ばされ星見の好機。まぁ、この際シーイングの悪さは諦めよう。

 賑わいの星々率いて 寒昴

冬を代表する明るい星々の先頭に立って1年の出発を宣言する昴。これは『星のふるさと』「旄頭胡星」の変奏。(01月11日)

 明けの雪 朝陽たちまち斑にす

冬型が強まって明け方に雪が降ったらしい。雲が切れて陽が射して来ると雪はすぐに解け始め、至る所斑な模様になってしまった。(01月13日)

 火の星を追う獅子 東空駆け上る
 火の星も 今夜は川底の石となり

鼻頭の火星を追うようにしし座が東の空へ駆け上って来た。寒いといいながらも春の星座が後に続く。ただ、シーイングの悪い今夜は火星観望は諦めた。(01月14日)

 西空の木星 空林駆け下る

帰宅するころ西の空で一番星になっている木星。この時刻この位置では私にとっての観望期はすでに終わっている。(01月16日)

 幼き絵 日食報告 小正月

大阪の小2の甥っ子に1月15日の日食の見方を事前に知らせておいた。しかし、日没直前だし、地平線近くまで見通せる場所を見つけられるか心許なかったので、まさか観察報告が届くとは思っていなかった。おまけに絵まで描いてある。「1月1日に日食(月食の間違い)があったといってたとおもうけどしってますか」だと、かすてんも甘く見られたもんだな。(01月18日)

 朝霜に さそりのかまの立ち上がり

1月25日の早朝、オリオンも西へ沈んだころ観望を終えようとしたとき、南東の林の上に怪獣が蠢(うごめ)く様にさそりの頭が現れていた。まさにウルトラQの光景、思わず仰け反った。火星観測を終えたときのこと。(01月27日)

 気がつけば 冬大三角も西に居り

つい最近までこの時刻にはオリオンもおおいぬも南にあったと思っていたが、ふと気づくともう西空の星になっている。季節の移り変わりを印象づけられる瞬間だ。(01月28日)

2月
 霜を枕横たう牛に 発つ火星

氷点下4℃の朝、観測台は霜でバリバリだというのに、隣の放牧場の牛は霜の降りた枯れ野原で悠然と寝ている。天空へ目を転じると、火星はししに追われて西の林に逃げ込んだ。2年2ヶ月後の次の接近までの旅立ちのときだ。(02月05日)

 天仰ぐヘッドライトに息凍る

午前中の雪もすっかり消え、12日ぶりに晴れた。ただ、風も無いのに、空気は凍っている。椅子に座ってしばし空を仰ぐ。点灯したままの赤いヘッドライトの先に凍った息が昇って行く。(02月18日)

3月
 名ある星 春に追われて みな西へ
 冬星は 西の地平へ みな集合

誓子の「名ある星春星としてみなうるむ」の発句をいただいたが、星のうるむ夜はまだしばらく先のことに感じられる寒い夜だった。(03月10日)

 雲だらけ 予報外れて句もだらけ

記事のタイトルに「雲だらけ」と書いたつもりが「句もだらけ」と誤変換。それを拝借。(03月16日)

 盃月になみなみ注がれた地球照
 彼岸入り 天狼霞を染め滲む
 火の星に追われし天狼青く燃え

火星もそろそろ見納めとは思ったが、そよそよとではあるが風が吹いて星が瞬いているので望遠鏡は出さずに終わった。(03月19日)

4月
 山笑う新緑の路に 膝笑う

久しぶりの晴れ間に誘われて、つくば市の宝篋山へハイキングに行った。小田休憩所から極楽寺コースで沢伝いにゆっくり歩き、途中いくつもの小滝を見ながら約1時間10分ほどで山頂へ到達。帰りも同じ道を下ったが、山にも膝にも普段の運動不足を嘲笑われてしまった。(04月06日)
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